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外伝1の1【深層領域1】

外伝1の1【深層領域1】



「……ねぇ。『深層領域サイコフィールド』って何なの?」


 真人まさとは紅茶を一口して首を傾げつつシンに聞いた。



「まあ慌てるな」


 足を組んだシンが紅茶を口に含んだ瞬間――真人達がいた一室は移り変わり真っ白な空間に切り替わった。



「ー…ッ、また空間転移?!」


 吃驚しつつ大袈裟に声を張り上げる武雄たけお


「そうだな」


 シンは事もなげに頷く。



「いきなりやられるとすごい吃驚するんだけどッ」


「そんな悠長な事言ってられるのか?」


 真人が拗ねた様に言うとシンは呆れた様に彼を見やり、


「此処はーー俺の領域フィールドだ」

「……え? それってどう言う……え? あれ、何だっけ?」


 真人は次に自身が言おうとする言葉を忘れてしまった。


「真人どうした? ……あれ?」


 すすむが真人の異変に気付き眉を顰めるが、彼もまた次には何やら首を傾げる。



「この領域フィールドは、人が持つ『五感』は徐々にゆっくりと、だが確実に消失していく」


「それは一体どう言う……あれ? 俺は今何を言おと……?」


 進もシンに問い掛けようとしたが、次に何を言えばいいのか、何を言おうとしていたのか分からずに不思議そうに首を傾げていた。


「も〜。二人とも何やってるんですか?」

 武雄は真人と進を見て呆れた様にするが、

「……あれ? 俺、何してたんだっけ?」

 と、真顔になって呟いた。



「まあーー五感もそうだが。記憶、思念、肉体……全てを確実に失っていく」


 真人達を一瞥し、シンは淡々と言う。



「ねぇ」


 そんな中、美琴みことは至って普通の様で――


「何で私は平気なの?」


 隣に立つシンの方を見る。



「……お前には干渉しない様にした。あの三人と同じ空間にはいるが、まあ時空間が違うと言えばいいか?」


「何を言ってるのかよく分からないわよ」


「……」


 シンの説明に眉を顰めて口を尖らせる美琴に、シンは呆れた様に溜息を吐いた。


 おもむろに指を打ち鳴らし、

「説明した所でお前等には理解出来んか……」

 と、小さく呟いた――その後に、空間は先程の事務所の一室に【戻る】。




「あ、あれ? 僕、何してた……?」


 テーブルを挟み向かいに座る真人は目を数回瞬いて首を傾げたが、


「あ、思い出したッ」


 と、今気付いた様にシンに視線を向ける。


「『深層領域サイコフィールド』って……」

「今説明したが?」


 真人が言い終わる前に被せてシンは嫌味にも取れる笑顔で答えた。



「……え? 今って……あれ?」

「空間転移したのは覚えてますけど……」


 首を傾げる真人と同じ様に武雄もまた意味が理解出来ずに目を瞬いた。


「先程の空間転移とは若干違うがーー」

 軽い溜息を吐いてシンは前置きする様に言う。

「要は、相手を『自分の領域』に引き込む事だな」



「……」

 簡潔に説明したシンの言葉に、真人は眉を険しく顰めて何やら考え込んでいたが、

「やっぱり良く分かんないや」

 と、諦めた様に情けなく苦笑する。


 それはシン以外の全員が同じように思っていたのか、真人に同調する様に、うんうんと頷いた。


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