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(仮の)公爵夫人として身につけること

読んでいただきありがとうございます。感謝しかありません。

 メリーは公爵に

「奥様の身の回りのお世話をするメイドをおかなければなりません。お一人で出来られるようですが髪や身体のお手入れ化粧をする者、衣装を選ぶお手伝いをする者が必要です」

「必要なことなのであれば任せる」

「申し上げるまでないと思っておりましたが。社交に出られる時には勿論、屋敷にお客様が見えられる時に輝いていていただかないと坊ちゃまがまた狙われますよ。メイド達の居場所は坊ちゃまから遠く離しますのでご安心ください。それに人選は慎重に行います」

「じゃあ頼むよ。食事のマナーはメリーが教えてやってくれ。それとどのくらいの常識があるのかと見極めて欲しい」

「かしこまりました。蕁麻疹は出ていないのですね?良かったですね」

「女性として意識していないからかな、助かったよ」



微妙な顔をしたメリーは執務室を後にした。今日は奥様の取り敢えずのドレスが届く日だ。サイズを計ってもらいちょうどいいサイズのドレスを注文しなくてはいけない。


出来合いのドレスの一番細いサイズを持ってきてもらったが未だ身頃が余っている。頑張って食事をしていただかなくてはとメリーは拳を握りしめた。


メイドは三十過ぎの既婚者を選んだ。邪な気持ちを持った者を万が一にでも近づか無いようにする為だ。身持ちが良さそうで気の優しそうな三人を選び奥様専属にした。


早急に奥様を綺麗に磨く必要がある。髪はボサボサで、とても貴族令嬢とは思えない肌をしていらっしゃる。実家でどんな生活をしておられたのかと思うと涙が出そうになる。メリーは仕事には厳しいが情に脆い女性だった。



毎日きちんと食事をし十時と三時のおやつまで食べられるようになったララは自分に出来る領地経営の事務をさせて貰える事になった。

吊るしだが可愛いデイドレスを着ているとなんだか嬉しい。それに仕事をしていると契約を果たしているという充実感があった。家でもさせられていたので分からない所は無かった。数字の桁がかなり違うが。



割り当てられた仕事が早く終わりララは他にも出来ることがないか尋ねたが、ステビノから言われたのは自由にお過ごしくださいと言う言葉だった。

ララはこの三年を使って色々な事を勉強しようと夕食の後図書室に通い始めた。



公爵家なので膨大な数の本がぎっしりと並べられたそこは王立図書館にも負けないくらいだと思った。

昔の事だが一度だけ入ったことがあるのだ。字が読めない頃だったので凄いと思ったことしか覚えていない。誰に連れて行って貰ったのかさえ覚えていないくらい小さい頃だった。

「ここでは静かにするのだよ」

と言われた様な気がする。



仕事が終わって空いた時間にはメイド達がララを磨いてくれた。湯船に浸かり髪や身体を洗ってもらいオイルで仕上げをしてもらった。段々貴族令嬢らしくなったがまだまだだ。



図書室で語学の勉強から始めた。絵本を見つけ単語から覚える事にした。絵本の単語は直ぐに覚えたので次は童話にした。王子様とお姫様のでてくる可愛らしいお話だった。宮殿の花畑で迷っていたお姫様を王子様が助け、友だちになった二人が大きくなって結婚するという幸せな物語だった。


苦しい人生ばかりのララにはほっこりとした癒しの物語は宝物になった。いつかお金が貰えたらこれを買って宝物にするのもいいかもしれない、ララの心に小さな光が灯った。

童話の次は恋愛小説だった。ララの様にお飾りの妻だと初夜に言われる小説が流行っているようだった。メリーに話を通してあるので本屋が原書を配達してくれた。「旦那様はこれを読んでおられたのかしら」と思うほどララの状況によく似ていた。小説と違うのは段々女主人公に絆されるというところだ。



顔も会わさないのだから絆されるも何も無い。社交界ではクレブス公爵が花嫁を溺愛して隠しているということになっているようだ。


何も身につけていない(仮の)妻を社交界に連れて出るわけにはいかないだろう。ダンスさえしたことがないのだから。





☆☆☆




メリーはダニエルの執務室に来ていた。

「奥様は大変努力家でいらっしゃいます。常識は持ち合わせていらっしゃいます。使用人に対する態度もお優しいです。外国語を学ぼうと一人で頑張っておられます。絵本から始められ今や小説が読めるようにおなりです。話すのは経験がないとどうにもなりませんのでおできにはなりませんが」

「頭が良いということだな、馬鹿な親だ。あれほどの執務ができるのに学院にも通わせなかったのだから」

「だからでございましょう。執務をずっとさせておけば人件費がかかりませんから」

「それが俺が縁談を申し込んだので予定が変わったのだな」

「家庭教師を雇いましょう。ダンスも覚えていただかないといけません」

「そうだな、王家が招待状を送ってくれば断ることができない」

「そのためには奥様と親しくなっていただきませんと嘘がばれますよ」

「仕方がない、おいおいに親しくなるとしよう」


メリーは頑固な主人の心を諦めながら見守ることにした。




ララはご飯がちゃんと食べられるようになり三年先の未来に向けて頑張り始めました。

これからも応援よろしくお願いします。


朝投稿していたのにうっかり又投稿して

しまいした。仕方ないなと思ってやってくださるとありがたいです。

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