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自業自得だ。その後

「しかしな。なんでお前あんなことしたんだ?」


鏡哉が尋ねてくる。


「腹が立つやつらだったから。」


今俺たちは、家までダッシュして、そのまま晩飯を作っている。

母さんが夕方から夜にかけてパートがあったりするの日が多いので俺は結構料理をする。

やってみるとこれが案外面白くて、まあ週に一回くらいはしているだろう。

それ以外?…主にコンビニ弁当だな。母さんが何か作り置きしてくれている日もあるが、俺は結構コンビニ弁当も好きだし、現状に満足している。今日のメニューはカレーだ。


「それはわかる気がするが。喧嘩したこともないのに、よくもまあ一人倒せたもんだよ。…人参とってくれ。」


俺は人参を手渡しながら答える。


「あの変態一号が馬鹿野郎じゃなきゃ二人倒せてた。それになんかの漫画にあっただろ?肘と膝でやわらかいところ狙ったら意外と何とかなるもんらしい。後、不意打ちな。」


しかしまだ膝と肘がジンジンする。喧嘩なんてするもんじゃないな。


「ほぉ。不意打ちに関しては同意見だ。しかし今度からは逃げた方がいいんじゃないのか?いつも相手が弱っちいとは限らんしな。仮にも女になっちまったんだし。…仮じゃねぇけど。」


「オイオイ。今度があるみたいな言い方はやめろ。言われんでも逃げるよ。もう御免だ。まだ膝が痛い。それよりお前だよお前、あんなすさまじい蹴りをどうやって。」


あれには心底驚いた。俺にはあんな蹴りをする素質があったなんてなぁ。


「蹴り…俺は蹴ってたのか…。自分でもよく分からねぇんだよな。つまずいて、気づいたらああなってた。ほんとはタックル入れてひるんだ隙にお前とアイコンタクトとって全力で逃げる予定だったんだが…。」


なんじゃそりゃ。まあそんなとこだろうな。しかし惜しいなぁ。あのすさまじい蹴りを俺はちらっとしか見れなかった…。


「ま、結果オーライでよかったじゃねぇか。よっし、肉の下ごしらえ完了。」


「まったくだ。あれでコケてたらかっこ悪すぎる。」


「さて、と。俺着替えてくるわ。」


あれで結構走ったからな。疲れた。早く着替えるのに越したことはないだろう。


「ついでに風呂入ってこれば?湯、そろそろ沸くだろ?」


「うっ。」


風呂…風呂ね……。まあ入らんわけにはいかねえし、避けては通れないんだろうが…。


俺の反応にすべてを察したのか鏡哉が


「…あぁ………。ま、まぁ頑張れ。」


と言ってきた。


「……頑張るよ……。カレーは任せた。」


ん?まてまて。下着や服は今日買ったが、パジャマ買ってねえじゃん。

まあいいか。俺の部屋…もとい、鏡哉の部屋からスウェットを取ってこればいい。そもそも俺、鏡哉の服はもう俺にサイズが合わんから、なんやかんや買ってきただけなのであって、鏡哉のものは俺のものでもある。うん。問題ない。


んで二階の俺の……鏡哉の部屋まで行くと…


「なんじゃこりゃ……。」


俺…、ああもう!違う!…鏡哉の部屋の向かいにある部屋に


『☆☆響子の部屋☆☆』


なんてプレートがかかっている。


「なんと……。」


ここはもともと俺の姉の部屋だ。都会に就職して一人暮らしをするために家を出てから物置状態になっていたんだが、きれいに片付けられている。まあ私物は姉が全部持っていったため、机とベッドとタンスくらいしかないが…。

ちなみに父は単身赴任中で現在この家には俺…俺達と母さんしかいない。


後で服やらを運んでこないとな…。母さんに礼を言っておかないと。ほんと今回の件では迷惑をかけっぱなしだ。…あとプレートは外すことにしよう……。


さあ準備は整った。いざ行かん。

と、意気込んで脱衣所に入ったんだが…どうも恥ずかしい。体は女でも俺の頭は思春期とやらの一般的な男子なのだ。女のからだなど、見る機会なんかほとんど、いやまったくない。これはいつか馴れるのだろうか?それはそれで嫌だが、鏡に写った顔が真っ赤な自分を見ていると余計に恥ずかしい。

ええい!ままよ!もうどうとでもなれ!俺は一気に服を脱ぎ捨て、風呂に突入した。まあ脱ぎ捨てれたのは服だけで、下着を脱ぐのにはすごい時間がかかった。手ぇ届かないんだよアレ。


しかし、ウチの風呂に鏡がなくて助かったな。前までなんで無ぇんだ?とか思ってたが、おそらく、この日のためだろう。俺は久々の風呂を堪能した。元々、めんどくさいからそこまで風呂は好きじゃないが、やはり気持ちがいいものだな。体洗う時以外は、だが。


風呂で一息つくと猛烈に腹が減ってきた。そういやロクに食ってねな、今日。そろそろカレーもできただろう。


俺が風呂を出てブカブカのスウェットを着てリビングに戻ると、鏡哉がカレーの準備をすべて終えて待っていた。


「おせーぞ。もう食っちまおうかと思った。」


俺を待ってたのかこいつは…我ながら変に律儀だな。


「呼んでくれりゃあよかったのに。」


少し長く入りすぎたかな…。


「呼びに行って鉢合わせ、なんて嫌だからな。」


「ああ、なるほど。俺は問題ないけど。いやむしろ俺が散々味わった恥ずかしい思いをお前にも味わわせてやりたい。よし、今度から呼びに来てくれ。」


まったくなんで俺が女になってこいつは男のままなんだ?いや、まあどっちも俺なんだが。なんか不公平だ。


「おいおい勘弁してくれよ。普通逆だろ。それより早く食おうぜ。」


「お前風呂入らないのか?」


「ん?ああ。腹減ったしな。後でいいだろ?」


「風邪引くぞ?汗流さねぇと。」


「大丈夫だよ。そんなんで風邪をひいた経験がないじゃねぇか。それに俺はそこまで汗をかいてない。お前こそ汗だくのまま料理してて大丈夫だったのかよ?」


ふむ。どうやら女になった分、体力が低下しているようだな。まあこれは仕方ないか。


「まあいまさら言ってももう遅い。食べようぜ。」


「賛成だ。」


色々あったが俺は何とか日常を取り戻せたようだ。これを日常といって良いのかは謎だし、なんで女になったかもいまだに謎なんだが…。て言うか治るのかこれ?まあ考えてもブルーになるだけなので考えないことにする。


それより今日は久しぶりに思う存分ゲームとしゃれこもうじゃないか。二人プレイでな。

おぉ。別に友達が遊びに来てないのに二人プレイができるとは…これはうれしい発見だ。







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