奇想天外
感想やアドバイスなんか頂ければ、うれしいです。
………白いな……。
意識が戻った俺が最初に見たのは真っ白な病院の天井だった。
天国じゃなくて何よりなんだが、体中が痛い。
まあもぞもぞ動けるんだから骨折はしていないようだ。まったく、階段から落ちて気づいたら病院とは…。人生何が起こるかわかったもんじゃないな。
そうして体を起こし、ふと隣のベッドの方に目をやる。
「……あれ?」
これは俺の声。なんか高い気もしたがそれどころではない。
いやまったく……驚愕したね。5秒は思考がフリーズしていたと思う。
そこには湿布やら包帯やらを巻いた男がぼんやり辺りを見回していた。
別にそれだけでは驚愕する必要はないんだがな、なんと、まあ、そいつの顔が俺と瓜二つではないか。
俺がそいつを凝視したまま動けずにいるとそいつと目が合ってしまった。
怪訝そうな目つきでこちらを見ている。
まずい!!何か言わないと!!
ふと我に返った俺は半ば叫んでいた。
「お……お前!誰だ!!」
突然声を出したためか、声が裏返って妙に高い声が響く。
「あ?。俺?俺は斎藤。斎藤鏡哉だけど……?」
「なっ…!?」
耳を疑ったね。
その時再び俺の思考はフリーズした。
人間全く理解できない現象が起これば何も考えられないもののようだな。
再び沈黙が流れる。
一体これはどういうことだ!?!?!?
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窓から穏やかな光が降り注ぐ穏やかな昼下がり。目が覚めるとそこは病院のベッドの上だった。
体中が痛いが、まあ天国でなくて何よりだな。
そう思いつつあたりを見回していると、隣の患者と目が合った。包帯やら湿布やらをまいている。
こいつも階段から落ちたんだろうか?…んなわけねぇか。
ん?なんかすごいこっちを見ているな。なんだ?
4秒ほど経ってからだろうか。
突然そいつが声を発したんだが、…お前は誰だ?とは、俺に言っているのだろうか?
まあこの病室にはそいつのほかに俺しかいない。答えた方がいいのだろう。
だがしかし、俺が名前を告げるとそいつは驚いたような声を上げ、再び俺を凝視したまま黙ってしまった。
ん?俺変なこと言ってないよな?それとも斎藤鏡哉という名前が変だというのだろうか。
うまれてもうすぐ16年経つが、そんな経験一度もないのだが……。
どうも様子がおかしいな。こいつは。
「おい。いったいどうした?俺変なこと言ったか?」
………。そいつの返答に俺は困惑した。いや、呆気にとられたといった方が正しいのだろう。
「………俺も、斎藤鏡哉なんだが……。」
確かにそう聞こえた。
何を言っているのだろうかこいつは。同姓同名ということが言いたいのだろうか?
「お前、誕生日は?」
今度は誕生日を聞いてきた。なんなんだ?一体。
だがすごい真剣な目つきだ。ふざけているようにはみえないが…。
一体これはどういうことだ?
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「…11月、23日だが…?」
俺にそっくりなそいつは確かにそう答えた。
11月23日はたしかに俺の誕生日である。
いや偶然だ…そうにきまってる。
もっと…そう、俺しか知らないようなことを質問しなければ…。
「お前の携帯の暗証番号は!?」
これなら俺しか知らないはずだ…。
「は?」
「いいから答えろ!」
さすがに面食らっているようだ。どうしたものだろう。
「1923だろ?」
これでどうだ……?
「!?…なんでお前…?」
どうやら当たりのようだ。
だが偶然俺とそっくりで同姓同名で携帯の暗証番号が同じ奴がいるかもしれない。
まだ希望は残ってるはずだ…!!
……いや。いま確実な質問が頭に浮かんだ。
「………お前、住所は?ちょっと住所教えてくれ。」
……………………。
……………終わった。
こいつは寸分の狂いなく俺の現住所をいい当てやがった。
間違いない。こいつは俺だ。
斎藤鏡哉だ……。
しかし、俺も斎藤鏡哉なんだぞ?こんなことってありえるか?あれか?ドッペルゲンガーってやつか?
後になって思い出してみるとこの時の俺は相当意味不明な質問を繰り返していたように思う。
誰かほかの人がいなくて助かった。もし居たなら多分速攻で精神科行きだっただろう。
そしておそらく人生の中でも最高レベルでパニクってる最中である当時の俺はそこである重大な事にやっ気が付く。
…いやまてよ。そういやこいつ…斎藤鏡哉と名乗るおそらく斎藤鏡哉、は俺、斎藤鏡哉を見て驚いていない。
驚いているというよりはただ単に俺の態度に混乱しているだけに見える。
これってどういうことだろうね。
「……っ!?」
俺はベッドから跳ね起き、病室に備えられている鏡の前にたった。
そして叫んだ。
「……………はぁぁぁ!?」
そこに映っているのは俺、のはずなんだ。
しかしちがう。俺じゃない人間が映っている。
なんというか俺っぽい顔はしているが、ちがうと断言できる。
なぜかって?説明しよう。鏡に映っていたのはな、
女だったんだよ。
そうか!!これは夢かなんかだ!!そうに違いない!!
あはははははははははははは!!