緒鳴堂 第捌話 チンチン! して下さいね!
第捌話 チンチン! して下さいね!
「ふ〜っ……お客さん、やっと途切れたかな……? 今日はメッチャ多かったな……ちょっと早いけどお昼にしよっかな……チンベル置いて……コレを貼っとくと」
只今席を外しております。
御用の方はチンベルをチンチン! して下さいね!
「坪蜜さ〜ん! ちょっと早いけど、お昼にしようよ!」
「ほ〜い! もうそろかな〜と思って、マカナイ用意してあるよ! ほかほか殿下ボックスに入ってるよ!」
「有り難う! 今日はお試しで、ドキッ! 本しめじだらけの蛸さん釜飯に挑戦何だ! 坪っちは何にしたの?」
「わたしは……コレ!」
「そんなのあったんだ? ふぞろいの林檎パイ?」
「本日のお試しマカナイ頼んだんだ!」
「ああ! ?のチャレンジメニューか? よく考えたら、坪っち何時も変わったの食べてるよね?」
「?のチャレンジメニュー、意外といいんだよ! 偶にさ、この前みたく烏賊墨まっ黒黒助パンとかで、お歯黒状態とかさ……外れもあるけどね」
「あれは……やばかったね! 見た目も味も……そうそう……笑えなかったよね?」
「ああ……お昼の黒歴史を思い出してしまった……今日は当たりでしょ! アップルパイに外れは無いしね! 王林具ティー付いてるしね! 具入口のティ何てあるんだ? 付いてる奴だから、これもお試し何じゃないの?」
「お昼になるまでドキドキだからなあ……それにすれば良かったな?」
「わたしは毎日ドキドキハラハラ楽しんでるからね!」
「それってさアンケート書かないと行けないんだよね? 噂で聞いたよ?」
「そうだよ! 先週くらいからかな? マカナイ杓子定規でしょ? ピンクの封筒あるでしょ!」
「それがそうなんだ……へぇ〜……」
「佰の質問に答えるだけだけどね?」
「そうなんだ……」
あははははは……。
カン! カン! カン! カン! カン……。
黒い影がいったり来たり……店の中を様子を伺っている……。
暫くして……。
チン!
……。
チン! チン!
「は〜い! 少々お待ち下さ〜い!」
タッタッタッタッタッタ……。
はあ……はあ……。
「お待たせ致しました! ご注文はお決まりですか?」
「あの〜……コレ何ですけど……?」
粋と書かれたサービス券。
「粋なサービス券ですけど……何でしょうか? 壱枚ですと、お買い上げ頂いた金額の壱%引きですけど?」
「コレ見てよ! 拾枚貯まったのよ?」
「有り難う御座います! 壱枚壱%引きですので、拾枚ですと拾%引きにてお使い頂けますけど? 大変申し訳ありませんが、壱度のお会計でお使い頂けるのは拾枚までとなっております。ご注文はお決まりでしょうか……?」
「拾枚貯まったんだけど……マスの何かあるのよね? 小耳に挟んだんだけど……? 言わないと駄目な奴何でしょ……?」
キョロキョロ……。
「小耳に挟まれましたか……裏のサービスですか?」
「それよ!」
「活き鱒券とお引き換えになられますか?」
「それよ! 活き鱒券! 拾枚集めるとお得なクーポンの抽選出来るって聞いたんだけど?」
「ここだけのお話ですよ! お客様の御口コミだけで、聞かれた方にだけお伝えしておりますので! 御口コミだけですよ! こちらが活き鱒研究です! 拾枚集める頂きますと、豪華お食事券付きマス書きグッズの抽選補助券をお渡ししております!」
「拾枚で補助券なの?」
「補助券と言いましても銅賞は確定致しておりますので、抽選せずに銅賞と交換は出来ます! 金賞、銀賞、プラチナ賞、天下賞の外れ無しの籤引は拾枚お集め頂けますと挑戦していただけます! 籤引きされないで更にグレードをお上げされたい方は、マス書き券へと交換させて頂いております! 更にその上をご所望されるお客様も多数御座いまして……只今到達された方々からのご要望を検討しております。活き鱒券にお取替え致しますか?」
「そうね……ちょっと考えさせて? また、後で来るから!」
「あ……はい……お待ちしております! ご注文はお決まりでしょうか?」
「いいのいいよ! コレ聞きたかっただけだから! 御免なさいね! また来るわ!」
「有り難う御座いました! またのお越しをお待ちしております!」
ふう!
お昼の続きしよっと!
カンカンカンカンカンカン……。
チン!
……。
チン! チ〜ン!
は〜い! 少々お待ち下さいね!
カンカンカンカンカンカンカン……。
タッタッタッタッタッタ……。
はぁ……はぁ……はぁ……。
「あっ! さっき来てたから分かるわよね!」
「えっと……お決まりになりましたか?」
「活き鱒券と交換してもらうわ! これ!」
「はい! 有り難う御座います! 確かに拾枚御座います! どうぞ! 活き鱒券です」
「有り難う!」
「ご注文は、お決まりでしょうか?」
「いいのいいの! コレだけ! じゃあね!」
「有り難う御座いました! またのお越しをお待ちしております!」
ふう……。
……誰もこないね……。
キョロキョロ……キョロキョロ……。
よし!
タッタッタッタッタッタ……。
カンカンカンカンカンカンカン……。
第玖参 ドデカちんへつづく……。