緒鳴堂 第漆話 あっかんべえぐる 前編
第漆話 あっかんべえぐる 前編
「あかん……あかんわあ〜っ……」
「どないしたんや! 御萬田はん?」
「あかんねや……あかへんねやんか?」
「どないしはりました? 御萬田はん?」
「わたし……あかんたれやわ! やってもうた!」
「わかりまへんがな? ちゃんと言うとくれやす?」
「尾多津ちゃん? どないしょ
? やってもうたんやがな?」
「やってもうたって……何をでっか? わかりまへんがな……?」
「どないもこないもならへんわ……あかんたれやわ……あかん……」
「兎に角! 兎に角やな……壱旦落ち着きなはれ!」
「そうでっせ! 落ち着いて話しとくんなはれ、何がおましたんや? 御萬田はん? 見た所……特に、何もおまへんけどなぁ? なあ、尾多津ちゃん?」
「そうでんなぁ……特に……おまへんけどな? 何でやろ……?」
「ベーコン……」
「ベーコンでっか?」
「うん!」
「ベーコンが、どないいたしました?」
「ちゃんと切って、ココにありまっせ?」
「せやな……このベーコンとちゃ〜うんでっか? 言ってはるベーコンって?」
「そのベーコンやがな? 見て見て分からんか?」
「見て見て分からんか……言われてもなぁ……? 分からんけどな? 御多津ちゃん! 何か分かるか? このトンチ?」
「いや〜……わかりまへんけどな? 何でっか? 勿体振らんと教えとくんなはれな……なあ……御萬田はん?」
「そんないけずせんと、どやしつけてくれた方がスッキリするんやけどなぁ?」
「いけずなんかしてへんで? ほんまに……分からへんのやがな?」
「ほんまでっせ!」
「ほんまに、いけずしてへんの?」
「してへんて? なあ……」
「ふん!」
「ほんまにほんまに……いけずしてへんの……?」
「やから! してへんゆうてんやんか? なあ……」
「ふん!」
「ほんまは……分かってるんやろ?」
「ええ加減グジグジすんのわな……やめてんか! 御萬田はん! あんたらしないで!」
「まあまあ……御萬田はん……聞かせてぇな、何があったんや? 心配しとるんやがな?」
「ほんま、あかんたれやわ……ほんまに……」
「そないにしおしお、黄昏られてもなぁ……伝わらへんで」
「せやさかい言っとるがな? ベーコンやがな?」
「ベーコンは分かっとるがな? ベーコンベーコンベーコンって言われてもな……ベーコンはベーコンやがな? 何処にも歩いていかへんがな?」
「誰もベーコンが逃げ出すとか言っとらへんわ!」
「そんな事言われんでも、わかっとるがな? ベーコンがどないやねんな?」
「まあまあ……で……ベーコンがどないしましたんや?」
「ベーグル……ケトリングしてもうたんや?」
「はあっ? 別にベーグルは、茹でるもんやがな? ケトリングしたって、可笑しないけどな?」
「ケトリングしたんでっか? あっちゃ〜っ……そりゃあきまへんがな? どんだけ茹でたんでっか?」
「60個全部!」
「全部でっか?」
「何何々? わたしだけ置いてけ堀やがな? わかりやすうに説明してんか?」
「これ全部、べーチーでんがな?」
「べーチーって……チーズ、ベーコンで巻いて生地で包むやつやね?」
「ベーコン!」
「チーズは?」
「ベーグルん中、入っとるよ!」
「そら、あかんがな……」
「せやさかい、ゆ〜とるがな!」
「もう、茹でてもうたんか? ああ……ケトリングしたんやな……」
「せやな!」
「全部茹でてもうたんやな?」
「せやな! そこに列なして並んどるやろ」
「あほ!」
「せやな! あほやな……」
「綺麗に出来てまっせ!」
「あほやな……」
「どないしよ……?」
「取り敢えず、茶しばきながら考えへんか?」
「せやな……茶しばこけ! ええ案がぽっと降りてくるかも知れへんしな!」
第?話 あっかんべーぐる 後編につづく……。