緒鳴堂 第陸話 桃尻ぱん 前編
第陸話 桃尻ぱん 前編
「は〜い! 出席をとりま〜す!」
「矢尻さん!」
「はい!」
「野尻さん!」
「はい!」
「江尻さん!」
「はい!」
「尻無さん」
「はい!」
「早尻さん!」
「はい! これ、みんな出席とるんですか?」
「見知ったメンバー何で、良いんじゃ無いかと……? 思うんですけど……?」
ジッ!
「親しき中にも、礼儀あり何じゃないの?」
「そうだよ! 今回のキャンペーンの為の、特別チームでしょ! その後、このメンバーで、新たなシフトになるんだしさ! 出欠取ってもらおうよ?」
「続けて良いの……?」
「御尻さん! お願いします!」
「直ぐ済むからね! まあ、最初の通過儀礼とでも思って貰えればいいんじゃないのかな?」
「成る程! チーム結成式見たいなものですかね?」
「そんな大袈裟な?」
「大袈裟なんかじゃ無いわよ! リーダーが産休を終えて戻って来るのよ!」
「続けて下さい!」
「土尻さん!」
「はい!」
「澤尻さん!」
「澤尻さんは、遅れるって言ってました!」
「了解! 野尻野さん!」
「はい!」
「野々尻さん!」
「はい!」
「野々山さん!」
「野々山さんは、リーダー迎えに行ってます!」
「そう! 了解したわ! 友尻さん!」
「あっ! 友尻さんと、浦尻さん、江尻さんも付いて行ってます!」
「そう! ねえ! 何でわたしにじゃなくて、大尻さんに連絡してるのかしらね……? わたしが今の、仮リーダー何だけど……?」
「わたしは埜尻さんが、澤尻さん越しに……出かける前に頼まれただけです!」
「澤尻さんは寝坊なのね! 埜尻さんもいないと……後は、井尻さん!」
「はい!」
「これで全部よね!」
「すいませ~ん! 江尻忘れてますよ〜!」
「あっ! 江尻さん? 書いて無いけど? ちょっと待ってね……?」
「わたしも青紙貰いましたよ! コレ? 給料明細に入ってましたけど……?」
「みんな青紙持って来てる! 掲げて」
サッサッサッサッサッサッ……。
「みんな、揃ってるわね……? こちらの連絡ミスかな? 江尻さんと……御免なさい! 遅れて来るメンバーには、後で説明するとして、乾杯の音頭は誰になってるの?」
「御尻さんの番で、止まってますけど……?」
「えっ……わたしだった? この前澤尻さんでしたから! 乾杯言いませんでしたけど……?」
「あっ……思い出した! 参平発言事件の時か? みんな、グラス持って! 良いわね! いくわよ! チーム桃尻再始動すっぞ! 乾杯!」
「乾杯!」
コンコン! コンコン! コンコン! コンコン……。
「オードブル食べちゃって良いんですか?」
「食べながらで全然構わないから! 此方の方は、意見が言える程度に程々にね!」
「蟹蟹蟹蟹蟹蟹だあ〜っ!」
「あっ……ずる〜い!」
「わたしも狙ってたんですからね!」
「そんなに山盛りは、ズルっ子ですよ?」
「じゃあわたしは、お伊勢さんを頂きますかね!」
「いきなり伊勢海老いっちゃうんですか?」
「だってみんな、蟹派何でしょ!」
「ここにあるのは、御飾り何かじゃ無いのよ! カピカピに干からびるまで、黙って眺めてる何て絶えられないよ!」
「人気がないようなので、鮑頂きますね!」
「そこそこそこ! 何ドサクサに紛れて鮑、殻ごといっちゃってるんですか?」
「蟹とか海老にたかってる方々が、何言ってるんですか? その山盛りを、片してから言って下さいよ!」
「ストップ! 久しぶりにチーム桃尻、再結成したのに自由過ぎでしょ! あなたたち!」
「食べながらで良いって言ったの御尻さんですよ? 続けてて下さいよ! 耳の方は空いてますから! ね、みんな!」
「そうですよ! 続けてて下さい!」
「続けててって……な、何かカチンとくるわね?」
「ああ! そこそこそこ! てっちり、皿ごといかないでよ?」
「てっちりは駄目でしょ?」
「あれみてよ?」
「何してんすか? 雲丹、箱ごと抱えて?」
「あっ……ばれた?」
「あ! バレたじゃないっすよ!」
「全く……耳の方は、ちゃんと此方向けててよ! 手元の資料の壱枚目、桃尻の節句っす
! キャンペーン! に、ついてから説明するね!」
コンコン!
入りま〜す!
ガラガラガラガラガラガラ……。
「木戸全部開けないでよ! 美味しい香りが逃げてくじゃん?」
「連れてきたよ! 叩き起こして来た!」
「浦尻さん! お疲れ! お先してるよ!」
「入って!」
「あは……どうも!」
「浦尻さんと、澤尻さんはあそこの空いてるとこね!」
「何ですか? この怪獣無法地帯は……?」
「浦尻さ〜ん! 早く取らないとなくなっちゃいますよ〜っ! その大トロ大間産ですかね! うめ〜っ!」
「いきなり来て! 大トロ中トロ壱気は駄目だよ!」
「あっ! やられた!」
「みんな! 澤尻シフトを組まないと、片っ端から無限の胃袋に吸い込まれますよ!」
「頼べば良いから、がっつかないでよ! 今日は社長の奢りだからさ!」
ピタッ!
「みんな! 罠よ!」
「先に言って下さいよ! ズルっ子ですよ!」
「わたし達……何をやらされるんですか?」
「先に話を聞かせて下さい!」
「どうしたのよ……急に真面目モードになって……?」
「続けて下さい! お願いします! みんな! 冊子を手に持って! 壱ページ目を見よ!」
ゴクリ!
「あれ? いいんすか! 頂いちゃいますよ!」
「澤尻さん! 空気読も!」
「は〜い! 早くして下さいよ! お腹ぐうぐう何ですから!」
「遅れて来てそれ言う?」
「まあまあまあ……」
「よし! 気持ちは固まったようね! じゃあ、説明するね!」
第?話 桃尻ぱん 後編へつづく……。