緒鳴堂 第参拾話 饅ぴー 後編 制服 前編
第参拾話 饅ぴー 後編 制服 前編
バン!
ピィ〜〜〜〜〜〜ッ……!
「はい! みなさ〜ん! 手を止めて整列して!」
「うるさぁ〜い! 勘弁して下さいよ! 栗戸さん……? こんな狭い部屋で、ホイッスル吹く意味あるんですか……?」
「このワッペンを付けた今のわたしは、栗戸ではありません! お忘れになられましたか? 参卍のリリスとお呼び下さいと申しましたはずですよね!」
ビシッ!
ヒュンヒュン……ヒュン……。
「悪夢弐度……?」
「栗戸さん? この前、割烹チェック有りましたけど……? このクッソ忙し時に……わんさかしめじ稲荷釜飯、弐佰釜の仕込み中なんですけど……真逆ですけど、この時を狙って来たんですか……? この前もトラック待たせて、出荷ギリギリだったんですからね?」
「割烹A! 今は、栗戸ではありませんよ? コ、レ!」
「はあ……参卍のリリスでしたね……? もう良くないですかその設定(面倒くさいな……)? そこまで頑なに守らなければならない、縛りでもあるんですか……? 栗戸さん!」
「チッチッチ……この参卍が目に入らないの! わたしは参卍のリリスですよ!」
「栗戸さん? 分かってますって……何度も何度も、名乗らなくて良くないですか……? リリスですよね?」
「参卍のリリスです! 割烹A!」
「また割烹着の右肩のアルファベットで、呼ぶ感じ何ですか?」
「こちらへどうぞ!」
「ここで良いですか……?」
「あと壱歩右に!」
「……はい?」
「んん〜ん……もう壱歩ですかね?」
チラッ……。
「はい?」
「もう半歩お願いします!」
チラッ……。
「何ですか……コレに何の意味があるんですか?」
「流石ですねぇ! 文句言いながらでも、ちゃんと半歩移動有り難う御座います! いいでしょう! おいでませ~!」
パン! パン! パン!
ガチャ!
キュルキュルキュルキュルキュルキュル……。
ガチン!
「ここで宜しいですか?」
「参卍のパピヨン! 有り難う! そこで良いわ!」
「舞子さん? 何やってんですか……? 蝶の仮面つけててもほっぺの黒子でちょんばれですからね?」
「んんん! わたしは、舞子ではありません! 参卍のパピヨンです!」
「そうよ! 参卍のパピヨンよ! 総務の舞子君代部長じゃ無いわ! ねっ!」
「はい!」
「今フルネームで言いましたよね? それって、確定じゃ無いですか!」
「違うって、はっきり言いましたよ! 割烹A!」
「はいはい……で……今日は何用ですか……? 早く済ませて下さいよ?」
「割烹A! はっきり言ってあなた次第よ! 早く終わるも、長期戦になるのもね?」
「わたし次第って……何が始まるんですか……? 素直に従えば、早く済むって事ですよね……?」
「そう願いたいわね!」
次回 第参拾壱話 饅ぴー 後編 制服 後編へつづく……。




