緒鳴堂 第弐拾玖話 あん庵(仮)
第弐拾玖話 あん庵(仮)
「朝礼始めるよ!」
「朝礼ですか……?」
「急に言われても……? 何故にですけど……? いたした事とか、ありましたっけ……?」
「朝礼なんてしたこと無いですよね? 急にあらまたまって……何でしょう……?」
「おお! ズバリ切り込むんだ!」
「今日から仮店舗での、営業再開だもん! そんなの、朝礼から始めるっしょ!」
「その理屈が……ピンと来ませんけど……?」
「今まで通りで良くないですか……?」
「だよね? 小豆茹でてて、いいかな?」
「だから! 朝礼するって言ってるじゃん? 集まれ! 集合!」
「集まってるじゃん? うちら肆人しかいないんだよ! 仕込みに来てるのは……?」
「集まれ! ここに整列! こ、こ!」
「いいじゃん? このままでさ? 変わんないよ? どっちみち円陣組むんでしょ?」
「いいから! ここに整列! 点呼取るよ!」
「それも無意味だし! 全員揃ってるじゃん? 顔見知りしかいないんだよ!」
「融通聞かないな! 全く!」
「最初が肝心何だよ! はい! はい! 集まれ! 集まれ! 集まれ!」
「しょうが無いな……? みんな! ここ並ぼ!」
「はい、はい……?」
「並んだよ!」
「点呼! 番号!」
「番号って何よ? どっちからだよ?」
「そんなの番号っていったら、右からでしょ?」
「わたしからなの……?」
「はい! 番号!」
「ワン!」
「えっ……ワンって……ええ……えっと……ツゥ!」
「変な感じ何だけど……スリー!」
「もとい! 番号! 壱から!」
「だよね!」
「……壱!」
「弐!」
「参!」
「よ〜し! 円陣くむよ!」
「えっ……点呼取るためだけなの? さっき、円になってたよ?」
「そうだよそうだよ!」
「意気込みとか、やるぞ〜見たいなのあるのかと思ってたけど……?」
「円陣組まないと、始まん無いじゃん?」
「時間の無駄使い!」
「ぐだぐだ言ってても始まんないし! 円陣組も!」
「ですね!」
「よ〜し! ここで、本オープンまでの半年間乗り切るぞ!」
「あっち建つのに、半年かかるの……? 初耳だけど……?」
「言ったよ! みんな聞言ったよね!」
「聞いてないけど?」
「わたしも?」
「うっそ! 言ったよ! 絶対言ったから!」
「みんな聞いて無いで、意見壱致してるんだけど……? 認めようよ!」
「本当だって! 言ったもん!」
「頑固者め! 何月何日何時何分何秒に言ったのよ!」
「そんなの覚えてるわけ無いじゃん? みんなも忘れてるくらいでしよ……?」
「わたしたちは、忘れてるんじゃ無くて! 聞いて無いのよ!」
「わたしが言ったの、忘れてるんだよ!」
「頑固者め! 言って無いことを思い出してよ!」
「言いました!」
「言ってない!」
「まあまあまあ……半年後っては、伝わったから……ね!」
「作業始めても良い? 最初だから、色々と勝手が違うから時間かかっちゃうよ!」
「掛け声しないと始まんないし!」
「はいはい……いいよ!」
「仮、あん庵頑張るぞ〜っ!」
「仮ってのが、締まらなあんだけど? あん庵で良くないかな……?」
「だって……仮店舗だし?」
「仮店舗だって、あん庵何だしさ!」
「あん庵継続店とかは?」
「継続店ね……? それなら、あん庵(仮)で良くない?」
「(仮)ね? あん庵が上なら良いんじゃ無いの」
「何時まで無益な時間を過ごすもの、アレだしね!」
「(仮)で!」
「よ〜し! 行くよ! あん庵(仮)で、半年間乗り切るぞ!」
おお!
パチパチパチパチパチパチパチパチ……。
次回 第参拾話 たぶん、饅ぴー新後編だと……へ、つづく……。




