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緒鳴堂 【WEB】  作者: 雨澤 穀稼


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緒鳴堂 第弐拾捌話 マス書き 次之前編


   第弐拾捌話 マス書き 次之前編


 ととちゃんの場合


「ねぇ……とと! そんなあらわな姿で、何してんのよ……?」


「書いてんのよ!」


「書いて無いじゃん……?」


「あっち〜い……お風呂入ったのに、もう汗だくだよ〜……」


「で……何してんのよ?」


「マス書いてんのよ!」


「えっ? マスかいてんの……?」


「そうよ!」


「テーブルの上で落書き帳、ライオンさん笑ったままだよ!」


「妄想の中で、鱒書いてんのよ!」


「えっ……なにそれ? 絵書いてるんじゃないの……?」


(ここ)のイメージが大事(なん)だよ! どれだけ膨らませられるかがね! いけるかいけないかの、微妙な線狙ってるんだ!」


「そう……あんまり深くは聞かないね……御免ね……」


「何……誤ってんのよ? 鱒書きの、微妙な線の、話ししてんだよ……?」


「分かったから……もう言わないで、これ以上聞かないから!」


「何よ? あち〜い……ねえねえ! クーラー掛けていい!」


「駄目よ! 漆月(なながつ)までは、我慢の子しようねって約束したよね! あ……れ……忘れた?」


 チラッ……。

 とと宣言!

 わたし情熱に比べれば

 夏の暑さなんか、身震いするぜ!


「ちぇっ……扇風機は良いよね!」


「はあ……ととちゃん……忘れたのかな……?」


「何よ! 脳筋だって言いたげに? 扇風機くらい知ってるよ!」


「そんな事、言って無い! 分かってるんなら、扇風機出せば良いんじゃ無いのよ!」


 ダン!


「何よ! そんな棘のある言い方、しなくても言いじゃんか? 言われなくたって! 出しますよ! 出しますとも!」


 ダッ! ダッ! ダッ! ダッ! ダッ……。


「そっちに行ったついでに、暑いってわりによく着てられるわね? もこもこのバスローブから着替えたら? 流石に姉と弐人(ふたり)暮らしだからって、たわわに育っそれ……目の毒(なん)だけど?」


「何時もの事でしょ? わたしは、ねえねえの見慣れてるよ!」


「五月蝿い! 着替えてよ?」


「分かってるって! ええ! 扇風機の伍枚羽(ごまいば)何処いったのよ? 風が起こせ無い扇風機(なん)て……意味無いじゃん?」


「思い出した?」


「え! これ? わたしの仕業なの……?」


「やっぱり忘れてたるんだ? あの事……?」


「全く記憶にないわ……?」


「あれに……着替えなよ? バスローブ?」


「着替えたよ! 洗いたてのバスローブに?」


「ええ? やめてよ……それ別で、ふわふわ仕上げ洗わなくちゃならないから。そんなポンポン着替えないでよ?」


「着替えろって言ったの、ねえねえだよ!」


「言ったけど……あんた洗わないから、洗濯物の山築けるのよ!」


「じゃあ! わたしの食事担当と代わってくれる?」


「御免ね! 誰にも得意不得意が有るもんね?」


「よ〜し! 整いました! 鱒書くぞ〜っ!」


「邪魔しちゃあ悪いから……少しの間、出かけて来るね? 何か欲しいものあるかな? ととちゃん?」


「ええ! 全然邪魔になんかなんいよ? 居てくれていいのに……?」


「姉だって空気くらい読めるわよ! 気くらい使わせてよね……悪いから……ね」


「それなら……元気になる奴、買って来てよ!」


「スタミナ的な奴ね!」


「ドリンクもお願い! 元気のでる奴!」


「分かったわ! 行ってくるね!」


「行ってらっしゃ〜い!」


 バタン!

 カンカンカンカンカンカン……。


「よ〜し! 壱丁(いっちょう)、活きの良い鱒書いちゃいますか! 金壱封(きんいっぷう)は頂きだぜ! ふふふふふ……」


 次回 第弐拾玖話 次こそは、饅ぴー 新後編へつづくぞ……!

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