緒鳴堂 第玖話 ドデカちん
第玖話 ドデカちん
チン!
……。
チン! チン!
は〜い……少々お待ち下さいませ!
カンカンカンカンカンカン……。
タッタッタッタッタッタ……。
はぁ……はぁ……はぁ……。
「何に致しましょか? お決まりですか?」
「あのね! これ見てよ! 粋なサービス券付いて無かったんだけど……? ほら……これ? 開けたまんま持ってきたから」
「そうですか……済みませんでした! お客様カードは、お持ちでしょうか?」
「あるけど……ちょっとまってね……んん〜……あれ……ここんとこ入れたんだけど……待っててね! あるから……」
「あっ……はい……お急ぎにならなくても、大丈夫ですから……(あ〜……チンしたの冷めちゃうな……)」
「あったわ! はい、コレ!」
「有り難う御座います! お預かり致しますね! 済みません! そのお弁当のバーコード読ませて下さいね!」
「えっ? これもいるの? はい!」
「あっ……有り難う御座います! 失礼いたしますね!」
ピッ! ピッ!
「このお弁当に付ける筈の、粋なサービス券ロットナンバー付与致しました! これが控えのレシートです! ご確認下さいませ! どうぞ! カードと……お弁当包直しますね! お待ち下さいね!」
「紙で欲しいんだけど……サービス券?」
「難しい事は分からないんですけど……システム的な問題何ですかね? サービス券の発行は、壱度きりしか出来ないんですよ! カードと壱緒にご提示頂きましたら、お使い頂けますので、ご了承下さいませ! ご登録されてますので……」
「そうなんだ……」
「もし宜しければ……お手持ちの粋なサービス券、ご登録頂けますけど……ご登録されますか?」
「いいわいいわ! 分かったわよ! 紙がいいのよ!」
「はい! お弁当です! こちらの不手際で、大変ご迷惑お掛け致しました。 あの……こちら何ですが……来月発売を予定しております。ドデカちんすこう風焼き菓子のですね……ドデカちんミニと、そのご案内を入れさせて頂きますので……どうぞお召し上がり下さいませ!」
「そう……有り難う! 来月の売出しの新商品なの? これ持って来たら安くなるの?」
「壱月間の限定試験販売を考えております! 壱緒に入れさせて頂きました、ご案内をお読み下さいませ! こちらを切り取ってお持ち下さい! 特別サービス価格にてご提供させて頂きますので!」
「あ……そう……有り難うね! 切り取らなくても大丈夫よね?」
「あっ……はい! お持ち頂ければ結構で御座います! ご注文はお決まりでしょうか……? お客様?」
「いいのいいの! コレ言いに来ただけだから?」
「あっ……そうですか……またのご来店お待ちしております!」
キョロキョロ……。
「よし!」
タッタッタッタッタッタ……。
カンカンカンカンカンカン……。
バタン!
「おっ! 戻って来た! わたし達さ! 休暇終っから行くね! 壱人は前立つからさ、ゆっくりしときなよ!」
「有り難う! あ〜……話したい事あったんだけどな!」
「今日さ! 駅地下のスイーツバイキング、オープンでしょ! みんなで行こうって事になったんだよね? 予約取れたからさ! 行く!」
「あそこ今日でしたっけ? 行きたいです!」
「分かった! 追加しとくよ! テーブルの上の、ドデカちんのバリエーションパターンと……包とか箱とかデザイン選んで、壱つずつ試食したら意見そこに書いといてってさ!」
「あ……はい! 了解です!」
カンカンカン……カンカンカン……。
わたし前立つから……。
分かりました。
「へぇ〜……紅いドデカちんって何味何だろう……? 包はこれかな……? あっ……チンしてたやつ……ここんとこ出してある? あ〜……麺にするんじゃ無かったな……偶に麺にすると、コレなんだよな〜……辛っ! 紅いドデカちん! 無しだわ! バツしとこっと!」
第拾話 あかんべえぐる 後編へつづく……。




