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戦姫、ブリュンヒルデに捧ぐ  作者: 野之 乃山
四章 プラッツ
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4-3 決闘

 夜。

 りーんと、鈴の音が鳴った。

 柔らかな風が頬を撫でる。


 後ろに二人の気配がある。


 彼女は椅子に座らせている。

 もう夏は過ぎたから、夜は冷え込むようになってきた。


 身体を冷やしてはいけないので、二人には厚着をしておいてくれと頼んでいる。

 本当はもっと多くの人が居るだろう。

 だが、今は、ここには三人だけだ。


 木々がざわめく。


 “こんな時間に人が居るぞ”と、野次馬のようにせり出す枝葉が、とても騒がしい。


 淡い青い月明かりが、冷たい石畳の道を照らしている。

 夜になり、大きな影となった母屋に続く道だ。


 昼間でも、母屋への道は長く見えるが、夜になると、さらに長く感じる。

 そんな、引き延ばされた道に立ちはだかるように。


 緑色に淡く光る人影があった。


 べちゃ、べちゃ、と。


 粘着質な足音を立てながら、それは近づいてくる。


 しかし、やはり、以前よりもヒトの形に近づいているようだ。

 手前の木々の影から、それらは月明りの下へ姿を現した。


 濡れぼそった、制服を着た若い男性が、二人。

 顔は見えない。いや、そもそも顔のパーツがないのだろう。


 皮膚は爛れたようにみえ、泡立った場所が時折はじけ、液体が地面に落ちる。


 一人は短髪。前髪を上げている。

 一人は長髪。眼鏡らしきパーツも再現されているようだ。


『あ……、ああ……』


 不快感だけが沸き上がる、水音交じりのうめき声。

 おれは槍をいつものように構えた。

 左手を沿えて前に、そして下に。

 右手はしっかりと保持し、持ち上げて。

 槍の実体が、光から現れる。


「あ――ッッ!!」


 後ろで声が上がる。

 それに呼応するかのように。

 大きく泡立つと、奴らの手にも武器があった。いや、手は無くなっている。腕と武器が一体化しているようだ。


 それらは魔法によって武器を再現した、再構築された魔力である。殺傷能力も再現されているだろう。


 ブルブルと、ヒトの筋肉では難しい痙攣をおこしながら、それらは再び歩みを進め始めた。


 りーん。

 やけに長く、通りの良い鈴の音が鳴っている。

 風は、まだ吹いている。

 りーん。


「行きます」


 静かに駆け出す。

 鈴の音よりも、静かに。


 夜の風よりも■■に。

 ■■■■な■のために。


 ■と■■■グは■■■――。


――文章はここから乱れている。


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