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7話 暗黒物質

 時折、パチパチと空気の爆ける音を出しながら、焚き火の炎は燃え上がる。


「どうして、焚き火って心が落ち着くんだろう?」

 

 完全にソロキャンパー気分に浸ったクロエは、大量のスケルトンに囲まれながら孤独を感じていた。

 

 良く焼けた川魚の串焼きをスケルトンから受け取ったクロエは、豪快にカプッと食い付いた。


「美味しい」


 空腹だからか、凄く美味しく感じたクロエは、ムシャムシャと黙って食べ続ける。

 塩も醤油も無いので味は淡白だが、焼き目が付いたパリパリの皮と合う。


「取り敢えず、今後の方向性について考えないとダメだよね?」


 お腹が満たされたクロエは、体力を取り戻し、頭も冷静になって来た。


「魔王になって世界征服をするって言っても、具体的に何をしたら良いんだろう?」


(世界征服って言っても、方法はいっぱいあるよね?)


 クロエは、大きく分けて3つの方法を思い付く。

 一つは経済的に力をつけて、世界を金の力で支配する。

 二つ目は政治的に成り上がって、内部から世界を支配する。

 最後は、戦争を起こして、力で世界を支配する。


「経済とか政治って言っても、単なる女子高生の私には無理よね」


(ってか、そもそもこの世界の事を何も知らないし)


「戦争もスケルトンだけで世界と戦えるとは思えないし、先ずはこの世界の事を勉強するのが第一の目標かな」


(この世界の政治、経済、戦力、地理、知らなきゃいけない事がいっぱいだし、学校があったら行ってみようかしら?)


 クロエは、第一の目標として、人が住む街に行き、情報収集をする事に決めた。


「グオオオオ!」


 その時、森の木々をへし折りながら巨大な影が飛び出してきた。

 紅く燃え上がる様な肌に、鋭い牙を生やし、巨人の様な巨体は、筋肉の鎧に包まれている。

 体長5mはある巨人は、大木でできた棍棒を振り下ろして、一体のスケルトンを粉々に打ち砕いた。


「何なの!?」


 クロエは、ビクリッと肩を震わせる。

 そんなクロエを視界に捉えた巨人は獲物を見つけた獣の様な笑みを浮かべて、クロエの方へと走り出した。


「い、嫌!助けて!」


 クロエが助けを求めると、周囲にいたスケルトンの軍団が、一斉に動き出した。


 クロエを守る様にスケルトンが壁となり、次々と巨人へと向かって行く。

 しかし、体格差は圧倒的であり、巨人が蹴り上げれば、スケルトンは盾ごと粉砕され、煩わしそうに棍棒でスケルトンを弾いて行く。

 それでも、数の力で少しずつだが、巨人の脚や腹に攻撃が当たり始めていた。


「グラアアア!」


 怒り狂った巨人がスケルトンを鷲掴みにして地面に叩き付ける。

 既に50体近いスケルトンが破壊されてしまったが、巨人も疲れと出血で息が上がっていた。

 

 戦いは1時間に及び、何とか巨人を倒す事には成功したが、スケルトンの7割近くを失ってしまった。


「あんなに苦労して召喚したのに」


 クロエは、骨の海の前に座り込んで落ち込んでいた。

 

(一定の魂が捧げられましたので、冥王の魔導書の力が解放されました)


 再び、クロエの頭の中に声が聞こえて来た。


「え?新しい力が解放されたの?」


 早速、クロエは冥王の魔導書を喚び出して、ページを捲る。


レベル2:暗黒物質(ダークマター)

 

 新しいページが捲れる様になっており、新たな冥王の力が使える様になっていた。


「ダークマター?」


 クロエが呟くと、クロエの目の前に漆黒の液体の様な物質が現れた。

 バレーボールくらいのサイズだが、ふにゃふにゃと揺らいでいる。

 

(何でだろう?まるで私の手足みたいに感じる)


 クロエが右手を翳すと、暗黒物質は、一瞬にして形を変えて剣の様に成った。

 何故かクロエには、直感でコレの使い方が分かった。

 試しに剣を振るって見る。


(軽い)


 クロエは、重さを感じない暗黒物質の剣を見て、ふと思い付いた。


(自在に形を変えられるなら)


 クロエが頭の中でイメージすると、暗黒物質は、一瞬にしてイメージ通りの形に変形した。


 それは、黒い服だった。


 フード付きの黒いパーカーに、黒いホットパンツと黒いロングブーツを着たクロエは、久しぶりに裸族から脱却できて感動の涙を流していた。


「まさか、服を着れる事がこんなに嬉しいとは思っていなかったよ」


 クロエは、自在に操れる服を手に入れて嬉しそうに笑顔になる。


「これなら、街に行ってもだい、イッ!?」

 

 その瞬間、クロエはビクンッと飛び上がった。


(だ、代償の事忘れてた!)


 クロエは、身体にある3つの突起を同時に摘まれた感覚で内股になって両手で胸を押さえた。


「やっ、離して」


 しかし、摘まれた感覚は消えず、引っ張られる様な感覚で息が荒くなる。


「はぁ はぁ はぁ、少し摘む力が弱くなった?」


 最初と比べたら優しい感じの摘み方になったが、消えたわけでは無いので、ジワジワと乳首と栗を弄られてる感覚だ。


(も、もしかして、暗黒物質を召喚している間はずっとこうなわけじゃないよね?)


 クロエは、嫌な予感が込み上げる。


(でも、解除したら全裸で過ごさなきゃいけないし)


 クロエは頭の中で全裸か快楽かの選択で葛藤していた。

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