また明日【AIのべりすと作品】

作者： AIのべりすとと松岡七海

ここはどこだろう。今はいつだろう。私は誰だ。

男は、ふっと我に返って目を瞬きながら周囲を見回した。

そこにはただ暗い虚空だけがあった。

──ああ……そうか……私は死んだのか……それとも……

男は自分の胸にそっと手を当てた。

自分の身体がもう存在しないことを改めて認識し、苦笑いを浮かべて自嘲気味な笑みを浮かべる。自分は一体何のために戦っていたのだろう。なぜ戦い続けていたのだろう。そんなことを思い出しても仕方がない。

そして、男は思い出そうとしたその考えを振り払うように小さく頭を振った後で視線を落として目の前にいる存在へと意識を集中させる。

そこにいたのは一人の娘だった。長い黒髪の少女である。まだあどけなさの残る顔立ちには不安げな表情を浮かべている。

彼女の目から涙が零れ落ちてぽたりと男の額の上に落ちた。だがそれはすぐに彼の体温によって消えてしまう。

しかし、少女はそれを気にする様子もなく、懸命に手を伸ばして男の身体に触れようとする。彼女は泣いているのだ。

声こそあげてはいないものの涙を流し続けていてそれが止まらなかった。そんな少女の姿を見つめて、彼は胸の中で呟く。

お前は強い子だから泣かないと思っていたよ……だけどやはり……辛かったんだね……すまない……私は結局何も出来なかった……こんな弱い私の為に涙を流してくれるというのか……本当にすまなかった……ごめんよ……許してくれ……

男の手が震えながらゆっくりと持ち上がっていき、娘の頬に触れたところで彼女の手がそれに気付いて止まった。

少女の頬に涙が流れ落ちる。男は優しく微笑んで囁いた。

……ありがとう……。でも……もう良いんだよ……。君のせいじゃない……。

娘は大きく首を振る。いやだと泣き叫ぶ。だが次の瞬間その身体は淡い光に包まれていくと次第にその姿を薄れさせていき、やがてその場から消えてしまった。

同時に男もまた光の粒子となって霧散していき、その形を失っていく。最後に彼が口元に浮かべていた穏やかな笑顔も消えた時には全てが終わっていた。

世界が再び色を取り戻した時、その場所には誰もいなかった。ただ静寂だけが満ちていて、まるで先ほどまでの戦いが夢であったかのように錯覚してしまうくらいに平和だった。