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欲望のカボチャ村と古都の荒くれ観光協会  作者: 源健司
ワールドスポーツフェスティバル葦原京
122/125

南瓜はアカンやつでした

 夢南瓜が実は、違法薬物を用いて人工的に作られた薬物だったとの報告がなされ、大広間は騒めき立った。 


「更に罪が大きくなったな、貴様ら!」


 堺という後から来た警部が島田に変わってこの場の最高責任者となっていた。


「そんなことはない。夢南瓜は神が我々に与えた給う、聖なる穀物である」猫の坊が立ち上がった。


「坊主が神を語るな、ボケ!」


「でっちあげじゃ、でっちあげじゃ!そんなでっちあげをして、大宮様をどうするつもりじゃ!」


「本当に、知らんのか?貴様ら。現に、夢南瓜を作っていた部屋が抑えられているのだぞ!」


「拙僧ら、下賤な村男は、宮の大奥へ入ることは許されてはいない。否、事実、大奥にそんな部屋があったとしても、大宮様が主導した根拠はない。無実じゃ、大宮様は無実じゃ!そうじゃ、大宮様も含めて我々はこの国家には実態のない人間じゃ。裁きを受ける道理はない!」


「屁理屈をこねるな、糞坊主!そんな道理が通るなら、お前等は人殺しも許されるのか!」


「もういい、猫の坊」


「大宮様!」


 警官に付き添われて大宮桃龍が戻ってきた。


「大宮様、これは事実なのですか?」


「ええ、そうよ。夢南瓜は我々、高天の宮の女が、ごく普通の南瓜を、非有合法薬物の成分を使って加工していたのよ。だから言ったでしょ。安心しなさいと。議会には法が邪魔して取り扱うことなんて出来る代物じゃないのよ」


「では大宮様、我々はどうなるのです?」


「お前たちには罪はない。だって知らなかったのでしょ?」


「いや、知っておった。なぜなら、この拙僧が夢南瓜を発明した高僧なのだから。さあ、裁け。拙僧を裁け。桃龍よ、騙して済まなかった。真の黒幕はこの拙僧じゃ。暗黒の僧侶、旦国寺猫の坊とは拙僧なり!」


「猫の坊よ、その気持ち、私は嬉しく思うぞ」


「大宮様、何とか!何とか、知らなかったと言ってくれ。そこの変態腐れ陰茎クソ坊主が全て悪いと言ってくれ。大宮様に代わって拙僧が死刑になる!」


「おい、その変態腐れ陰茎クソ坊主を黙らせろ!」


 堺警部に命じられた警官によって、猫の坊は喚きながら引っ立てられた。


「さて、大宮様よ。あなたは罪を認めると?」


「ええ、認めるよ。でも、ここにいる人間の中で、罪があるのは私だけ。猫の坊も言った通り、村の下賤な男たちは、あの部屋のことは知らなかった。そして若い宮女も皆、知らない。実際に加工に携わっていた者はすでに、逃がしたからここにはいない。決して、見つかることのないところにいるわ」


「なるほど。では後の話は署で聞こう」


「警察だけで罪を追求できるなんて、不公平だわ」


「どういうことだ?」


「私の氏子がふたりも殺されたのよ。私にとって、あなたたちも立派な罪人だよ」


「お前らのような虫けらが、国家権力に逆らうからだ。それとも何だ?何か祟りでも起そうってか?」


「聖女無天村も、夢南瓜も、滅びることはない」


 桃龍はそういうと、自ら進んで高天の宮を後にした。


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