番外編4 幸せな運命
付き合って一年半。タッちゃんは工場で少し昇格して給料が上がったということで、私にプロポーズしてくれた。
またもや私は沸騰。そんな私にタッちゃんは口づけしてきた。
タッちゃんはもはや仲良くなったウチの親に報告。みんなで楽しく祝い酒を飲んだ。
そしてタッちゃんはまるで決められたように言う。
「結婚式は半年後の2月14日にします。二人が出会った記念の日でもあるので。な、紗菜。いいだろ?」
いい。いい。悪いとこなんてない。なんて幸せなのぉー?
結婚式を計画しながら、新居を建てる計画もしてたみたい。間取りも決まってるとかって驚いたけど、素敵なおうちのプランに、私も親もただ頷くばかり。
私の職場に近いところに、売地があったのを見つけてたみたい。すごい。二人の貯金を合わせれば、頭金も払えるとか計画が~。ホント、なんでも知ってるんだね。さすが魔法使い!
父とタッちゃんのご両親がお祝いにくれたお金を頭金にして、二人の車を買った。国産の大きなSUV車!
「チャイルドシートは──、まだ早いか」
早いよぉ~。まだ出来るかどうかも分からないのに。
タッちゃんは車に乗り込んで、ナビによくいく地点を入力してた。
「『会社』『保育園』『紗菜実家』『紗菜仕事先』って、なんかへんなのぉ~。私の職場、市役所って入力しないんだ。保育園って。まだ赤ちゃん出来てもいないのに~」
そのツッコミに、彼は笑顔で答える。
「いいんだよ。この方が分かりやすいんだから。それに俺達、仲良いからすぐ出来ちゃうだろ。紗菜に似た、可愛い女の子」
「ふふ。なんで女の子? 私はタッちゃん似の優しい男の子だと思うな~」
「女の子だよ。賭ける?」
「賭けるってなにを?」
「そうだな~。俺の好きなことをいっぱいしてもらおうかな~」
「出ました変態さん。男の子が出来たらこんなに変態さんじゃなきゃいいな~……」
まぁ結婚してから七ヶ月後には超音波検査によって、その賭けは負けてしまったワケだけども。
タッちゃんはその子の名前をちゃんと考えてるみたいでした。
何から何まで不思議な人。その人が私の夫だなんて、すごく嬉しい。
あの2月14日の夜に、道端に眠るタッちゃんに声をかけたのは本当に偶然。
まるで天使が運命を運んできてくれたみたい。
あの浮かれて大嫌いだった恋の日が、私たちとって最高の記念日となったのだ。
いつもお読み頂きありがとうございます!
後3話追加。今度は達也ストーリーです。




