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女神様も恋はする  作者: 綾 風珠
1/1

告白

よろしくお願いします。

 

 「す……すきでしゅ。け、けっこんしてくだしゃい!」


 真っ赤な顔で、噛みながら一生懸命に告白をしている幼女は

周りのの空気が固まっているのには気づかず、そっと告白している相手

のことを見る。


 「あ、え。え~と。ごめんねぇ~。」


 困り顔で、断りながら、よしよしと頭をなでる。

ショックを受けた様子の幼女をみて、途方にくれながら周りの

騎士に助けを求めている。しかし誰も助けないどころかあの、

首に蛇を巻いた騎士アルスが告白されていること。

しかも幼女に。この事実から固まってしまったのだった。


 「もしかして、ロリ……コン」


 思わず出た騎士のその一言に顔がビシリと固まったアルスは慌てて

この事態に収拾をつけようと動いた。


 「えっと、名前は?」

 「……。」

 「……お母さんはどこかな?」

 「ぇ、ふぇ、ふぇぇぇぇ。」


 ポロポロと涙をこぼし走り去っていく幼女。

元々固まっていた騎士の皆はもちろんアルスもスピードの

早さにすこしの間固まっていた。


 我にかったときはもう幼女は見当たらず、今度は別の意味で

呆けた。


 「……ここは、山間部なのだが、あの子は……」


 先程の静まり返った空気と一転して今度は、走り回る、騒がしい音が

辺り一帯に響いた



 


  

  「アーデアぁ~~。」


 すすり泣きながら<縁結び、恋>を司る女神であるアーデアは

苦笑しながら、幼女リアデアの背中をさすった。


 「そもそも、アルスにとってはあなたは初対面じゃない。

 それに今、あなたは幼女の姿なのよ。人間にとって年が

離れすぎるのも駄目なの。」


 リアデアははっと自分の姿をみて、本当だと言わんばかりの顔を

した。それをみて、クスクスと笑うアーデア。


 「う~。アーデア、年が離れすぎているのも承知の上だぞ。

 …………やはり何千年も年が離れているのもだめなのか。」


 落胆した表情で先程の失恋を振り替える。はぁ~と

深いため息をついたリアデア。クスクスと笑っていた表情は

消えて、リアデアをどうやったら元気付かせることができるのかと

考え始める。悩ましげに頬に手を添える。


  「……ねえ、リアデア。私が恋のアドバイスをするから、

 少しの間下界に降りたらどう?」


  すこしでも、と思いそのような提案をしたアーデアだったが、

パッと振り返ったリアデアの表情は明るく笑顔になっていた。


 「うむ、ありがとう。そなたは恋の女神だからな。

 そなたのアドバイスがあれば百人力だ。」


 満足そうにうなずくリアデアをみて、アーデアははっと

気づく。


 「もしかして、あなた、これを狙っていたの?

 私がアドバイスあげないっていったから?」


  なにも答えないリアデアだが、さらに笑みを深めた。

 はぁ~とため息をついたアーデアは苦笑する。


 ーーべつにそこまで私も恋愛に強いわけではないから

いいたくなかっったのに。


  苦肉の策として落ち込みが激しかったリアデアを慰める

ためにいったのだが、自分が頭を抱えるはめになるとは

思わなかったと言いたい。

 言いたいが、喜んでるリアデアを見ると悲しんでいた

リアデアの姿も演技ではないだろうと言い出せなかったのだった。


 「ところで、アーデア、我が弟たちは私に便り

すぎだと思うのだが。私の管轄ではない仕事もでやって。

自立する機会でも与えた方がいいと思うのだ。」


 ふと、思い付いたように話題に出す。<太陽神と生命>を司る女神リアデア、

<冥界と死>を司る男神リュートス、<月と夜>と司る男神セレーニュこの最高神で

ある三柱を中心として世界が回っていく。

 のが、通常だったが、ここ何百年ほどリュートスと、セレーニュの二柱は

サボりがちで本来管轄ではないところまで手伝っているのだった。


 ーーべつに狙っているわけではないだろうけど


 ものすごくタイミングがよいのである。ちょうど、神々も二柱のサボりに

不満がくすぶっている。


 「……あなたはもう働きすぎだと思うわ。少しぐらい休んだ方が

いいわ。」


 心から心配して言う。なにも大袈裟ではない。酷いときは何十年も徹夜で働いて

下界で、戦争等いうものが起こるから、バランス調節に時間を費やしていた。


 「バカンスでもいきたいが、内緒で頼む。知っていると

 神々が頼ってきそうだ。」


 うんざりそうに言う姿には実感が沸いている。ちょっと不憫に思いながらも

彼女の言葉に同意する。


 「じゃあ、今すぐにでもいってくるぞ。」


 背中を向けて下界に降りようとした彼女に慌ててストップをかける。


 「まって、あなた。まだ幼女のままよ。それに

私のアドバイスを受けずに行ってもいいのかしら。」


 正直 アドバイスなんていいものを言える気がしないが

彼女のためなら、と声をかける。


 「あ、ああ。そうだった。……これでいいか?」


 紅い髪を後ろでまとめているなんとも凛々しくてリアデアの本来の姿に

近い造形をしていた。

 

 「いいの? 下界に影響を及ぼしすぎて居場所がばれてしまうかもしれないし

何より、人間には負担がかかるわ。」


 少し考えたリアデアは、髪の毛を薄くグラデーションにして、

凛々しいと言うよりはどちらかといえば美麗な感じに寄せた。


 「彼は、騎士団に属しているんだ。だからその。あまり力を

弱くしすぎると、騎士になれないからな。」


  「そう。……アドバイスは、とにかく親しくなればいいわ。

 その、友達をつくるような感覚で。」


  拙いが我ながらよいアドバイスができたと自負する。


 「友達? 私の認識では家族の次に親しい間柄だと言うものだが

その認識であっているか?」


 「え、ええそうね。まぁ頑張ってらっしゃい。応援してるわ。」



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