閃きの瞬間
分岐点です。
露柱、西柱、中柱は秘密を知ってしまったことから生きたまま壁に埋められた。
非人道的だが組織を守るためには仕方のないことだ。
三人も初めは嫌がっていたものの、最後は十字を切り、壁として生きていくことを決意したようだった。
運が良ければ経年劣化で壁が崩壊し、生きたまま外に出られるかもしれない。
~十二勇士、残り【6人】~
そのころ、王国の外れでは身体を取り返した俺が復活していた。
ただ、しばらく外に放置されていたせいで肌は小麦色に焼けてしまっていた。
安堵したのもつかの間、首筋に冷たい刃が当てられる。
「動くな、死ね!!」
動いてないのに、俺は首を切り落とされる。
落ちていく視界の中に映ったのはマコの姿だった。
「こうするしかなかった…家族を助けるためには…」
泣きながら血まみれのナイフを握りしめる彼女に、俺は何て声を掛けたら良いか分からなかった。
「すまない…次会うときは、お互い敵同士だ…!」
そう言って彼女は、振り向かずに走り去っていった。
一方で俺の身体は、急なハプニングに怯えてしまい、俺の制止を振り切り、走り去っていってしまった。
万事休す。一難去ってまた一難…どうしてこうもうまくいかないのだろう…。
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「フン、同じ十二勇士として情けなくなる。すでに6人があの男にやられたことになるな…。」
「全くだ。返す言葉もない…。そこでお前の出番というわけだ…。頼まれてくれるな?」
「誰に口をきいている…?何、すぐに帰ってくるからそこで待っていろ。」
赤草に 秋晴れ写す かの日かな
~十二柱が一人 淫柱 メアリー=ドネア~
(今日ほど、奴が味方で良かったと思った日はない…!)
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「オーライ、オーライ!」
つり上げ式のクレーンで、俺の頭部は引き上げられる。
下にはスペアのボディが用意されている。こんなこともあろうかと、保険会社と契約しておいてよかったと心の底から思う。
あとはクレーンを操作している作業員の腕次第だが、見たところこの若者はまだまだ不慣れなようだ。
窓中に張り巡らされた初心者マークを見てもそれは明らかだった。
そのうえ、気づけば辺りは暗くなっていた。
真っ暗闇の中、少しずつ首が下りていく。
徐々に身体が近づいてくるのが分かる。
ドッキングシステムが稼働し、蒸気が吹きあがる。
青白い光が夜空を照らし、星の光と相まって幻想的な光のカーテンが夜空を覆いつくす。
栄光のカウントダウンはもう始まっている。世界の果てを見る準備は良いか。
その日、世界中が歓喜した。




