外部宇宙における不条理の定理について
独自の世界観を重視して書いているため、一部の方には難解な表現があるかもしれませんが悪しからず。
やるべきことは決まった。そうなれば後は歩を進めるだけだ。
私はチーズ牛丼を食べ終わると、手で口の周りについたチーズ牛丼を拭う。当然手にはチーズ牛丼が付着するがさらにそれも舐めとる。これはもう、チーズ牛丼の永久機関といっても差し支えないだろう。
「……!」
その時、私は突然、尿意に襲われる。が、しかし閉鎖された空間にはトイレは存在しない。
「くそ…」
万事休す…だ。
俺は小さくため息をついた後、戦闘態勢に入る。人間は時としてその尊厳を失ってでも、守らなければならないことがある。
その時だった。私の睾丸、いわゆる命の泉が突如として明滅し始める。
その光はどこか儚げで、でも何かを伝えようとしている。意思のようなものを感じた。
「…そうだな」
思えばこいつとも長い付き合いだ。できればこちらの世界に来る前に、正しい用途で使用してやりたかった。いつも損な役回りをさせてしまい本当に…すまなかった。
「…もしかしてこれは?」
私は明滅にある規則性を見出した。モールス信号だ。こいつは…何かを伝えようとしている?
もしかしてこれは?
「ア・イ・シ・テ・ク・レ・テ・ア・リ・ガ・ト・ウ」
あぁ、そうか。俺はやりたいことがやっと見つかった。
いつだって人がやりたいこと、生きるための使命を見つけるのは終わり際だと言われている。
『だが、だからこそ…命の輝きは、美しい』
ようやく俺はやりたいことが見つかった気がするよ。
人の世の終わりには自らの使命、即ち生まれてきた本当の意味が理解るものだ。
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「お父さん、どうして空は青いの?どうして風は冷たいの?」
「それはね、お父さんもわからないんだ。だからユウト、お前がいっぱい勉強して、お父さんにその答え
を教えてくれ。」
「…うん!」
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…なんだか長い夢を見ていた気がする。
気づけば俺は、研究室の、自身の書いた机上の論文の上に突っ伏していた。
インスタント・コーヒーを一杯入れる。
いつものように渋みがかったスカイ・ブルーのタンクトップの上に白衣を羽織る。
やがて学生たちも登校してくるだろう。
始業のベルが鳴る。俺の言葉は生徒たちに届いているのだろうか。
全員じゃなくていい、一人でも、たった一人でも俺の話を聞いて知的好奇心が刺激されればそれだけで意味がある。
人類共通の認識として発明の父はエジソンだ。
だが、私に限ってそれは違う。
私の発明の父は父だ。
あの日、父の言葉がカギとなって、私の博士への道は拓かれたといっても過言ではない。
そして今は、私が教鞭をふるっている。
自らもまた、発明の父として、誰かの道標になれるようにと。
父さん…。
薫風に乗せられ、鮮やかに彩られた日々に、始業のベルは今日も響いていますか…?
起承転結を忠実に再現したうえで新しい表現への試みに挑戦しています。よろしくお願いします。