ゲヘナトレイン vs 巨大ゲヘナ 夢のど根性27番勝負
ようこそ!バルバレ交通へ!
こちらは機内サービスです!
(満面の笑みでヤマノコンリーママゴズを差し出す)
トンネルを抜けたると辺り一面の紅葉。
元の世界に戻ることは難しいと理解した俺は、早々に元の世界に戻ることをあきらめ、第二の故郷を探すため、この「ゲヘナトレイン 快速 小田原行き」に乗っていた。
目に映る景色が、流れては消えていく。
いくつか候補となりそうな場所はあったが、快速列車は止まらない。あんなに長かった東ゲヘナも、気づけばもう最東端を過ぎようとしている。
『まもなく、荒田梅、荒田梅。』
片言のアナウンスが流れると、快速列車の二両目以降が突然切り離される(全六両編成)
これこそがこの、ゲヘナトレインの長所であり、短所でもある。運転手のみを乗せた一両目は加速し、もう遥か遠くを走っている。
当然、動力を失った二両目以降は徐々にスピードを落としていき、やがて止まる。
乗客の反応は様々だ。
慌てるもの、嘆くもの、慌てふためくもの…。
『いっちょやったりますか』という顔をしているもの。
こうなればあとは時間との勝負だ。
もたもたしていると後続列車が来て事故を起こしてしまう。
特にそれが貨物列車やお怒り機関車だった場合は目も当てられない。
私はドアから降り、線路に立ち、せかせかと元来た道を戻る。
なぜ戻るのかと問われれば、理由はわからぬ。
ただ、少しでも元の場所、見知った土地へ戻ろふとしたのかもしれぬ。
ものの30分で、一つ前の駅に着く。
『パチンコ 藍色ドルフィン前」駅だ。
ここは無人駅だが、至る所にリラクゼーションスパが設置されているなど、サービスは手厚い。(もちろん有料だが)
惜しむくは吾輩、感度が高すぎてリラクゼーション施設を出禁になってしまったことか。
この駅は断念し、次の故郷を探す。
さらに徒歩にて西進。およそ15分程で、駅に着く。
「パチンコ せかんどちゃんす前」駅だ。
ここでは駅員が切符を回収し、地面に埋めるという古典的な手法が今でも用いられている。
私は駅構内に入り、切符を渡す。
「あんた、たけのこ館から来たのかい。ずいぶん長旅だったね。」
まさか話しかけてくるとは。完全に想定外だ。
「あぁ…まぁ、ね。帰省みたいなもんだよ。」
ここだけの話、俺は今までキセル行為を何度も繰り返していた。それがバレてしまえば逮捕され、余罪が追及され、最悪の場合刑務所行きだ。それだけは避けたい。
駅員が切符を埋めたタイミングを見計らい、俺は改札を抜ける。こんなことならICカードを作成しておくのだった。あれはデポジットとかいう訳の分からないシステムが怖くて手を出していない。
「ふぅ…」
こうなればあとは自然にパチンコ店に入るだけだ。
今日は…今日こそは勝てそうな気がする。
吾輩の勝負師としての勘がそう告げている。
今日こそ六等の「オークのフィギュア」を手に入れる。
俺は胸の前で十字を切り、憎悪と欲望が渦巻く悪魔の館へと足を踏み入れる(素足で)
勝つか負けるか。それは運次第。孤独な男の戦いが、今始まる。
11:07分発
ゲヘナトレイン 快速 小田原行き
※
この列車は快速、バルバレ発小田原行きです
途中「東バルバレ」「御竜川」「異世界ネットワークサービス」「秘密結社 暗黒」「株式会社 今日も元気おじさん」「パチンコ デカデルデ」「パチンコ ノーサイドゲーム」「グエンタクリヌンチャス直営販売所」「第三都市小田原」「小田原大学」「グエンタクリヌンチャス最終処分場」には止まりません。
※乗車の際は乗車券、特急券のほか、国から支給される「黒ゲヘナチケット」が13枚必要です。