零章
以下は物語のあらましである。
超魂能力という異能力が存在する、現代日本に近い世界。
入木灯字は書道をこよなく愛する、魂魄高校の学生。
灯字は幼馴染の茶之間仁美甘に足りない内申を補填するために、無理矢理『治安維持委員会』に入会させられていた。
委員会の活動内容は学校内及び近隣の不良共が起こす騒ぎを鎮圧すること。
しかしその委員会は、『公的機関を関与させず、事件を学生内のいざこざということにし事件数を減らす』という記録改ざん目的で国家により生み出されたものだと発覚する。
同時期、不良とは別に自分の意志とは関係なく放心状態で暴れ出す生徒が現れていた。魂魄高校の委員会はこれをゾンビ症と名付け、対策について提携校と協議していた。
会議終了後、ひょんなことから灯字と美甘は同盟校の博愛女学園の鳥楽志水香が自分達を裏切っているのではないかという証拠を発見。
その真相を調査すべく、もう一つの同盟校であるドリーム高校の世界マイン達に協力を仰ぐ。
マイン達は博愛女学園に潜入しての調査を提案。その実行者に灯字が選ばれる。
灯字がいぬ間に、ドリーム高校が何者かに襲撃され、そこで待機していた美甘がさらわれる。
直後に顧問の出弥流から電話がかかってきて、自分こそが犯人だと告げられる。なぜ先生がと疑問を抱きつつも、指定された場所へ救出に向かう灯字。
それは罠だった。弥流と美甘は共謀関係にあり、戦力を分散すべく狂言誘拐を実行したのだ。ドリーム高校の襲撃も彼女達によるものだった。
美甘は委員会を大敗させることで信頼を失墜させ、警察などの公的機関が取り締まるシステムに戻そうとしていた。だが灯字は「こんな暴力的なやり方では何も変わらない」とし、彼女を説得。
急ぎドリーム高校に向かうも、そこではゾンビ症になった者達が何者かが通報した警察に逮捕されていた。
その通報者に灯字は呼び出される。
途中、悪魔だった弥流に操られたマインとの戦いを退け、指定場所に辿り着く。
指定場所で待っていたのは水香。
彼女は委員会に任された事件を全て警察に回し任せていた。
委員会や学校生活により人間の汚らしい部分を見続けていた彼女は世界に絶望しきり、灯字を殺し自分も死のうとする。
灯字は水香に魂を込めた書を見せることで、彼女に生きる希望を取り戻させた。
――というのがおおまかな作品の全貌だが。
果たして、本当にそれだけなのだろうか?
数々の騒動の裏では、得体の知れない何かが蠢いているのではないだろうか……?
その真実をぜひ、勇気ある者に確かめてほしい。