異世界旅行(第9部)
薫と翔平は
鏡の世界のホテルで、寛いでいた
薫
「ねえ翔
今日は何処に行こうかしら?」
翔
「うん今日は理沙さんが言ってた
ある場所に行こうと思ってる」
薫
「ある場所?」
翔
「うんある場所さ」
2人は、
朝食を済ませると
理沙の待つ部屋へと、向かった
理沙
「おはようございます
お待ちしておりました」
薫
「おはようございます」
翔
「おはようございます
今日は理沙さんの
話してくださった場所へ
行こうと思います」
理沙
「はい、どうぞこちらへ」
鏡の世界の奥にある
ドアへと向かった
大きなアーチ型のドアには
切子細工が、施されていて美しい
理沙がそのドアを開ける
ドアの外には一面の草原
その、草原の奥には
変わったシャトルが止まっている
理沙が近づきシャトルの横を
軽くタッチする
タッチした場所が、円形に開く
「いらっしゃいませ
お待ちしていました」
シャトルの中には
ピッタリとした服を着た
人物が乗っていた
薫
「おはようございます
初めまして、薫と言います」
翔
「初めまして、僕は翔」
「初めまして、私はマーシャル
どうぞ宜しく、こちらへどうぞ」
シャトル内には
銀色の丸いテーブルと
椅子が置かれている
テーブル上には
薄い下敷きの様な物が
数枚置かれている
その横には、古書が置かれていたが
その古書は、隆史の部屋で見た
古書と、同じもののように思えた
薫と翔は、マーシャルに促されて
椅子に腰掛ける
銀色の無機質な
椅子もテーブルも
冷んやりした感触
壁には大きな鏡と
絵のない、額縁がかかっている
マーシャル
「理沙さんからお聞きしています
ようこそ私の船へ
お越しくださいました」
薫
「素敵な船ですね」
マーシャル
「ありがとう、今日はお2人に
私の話を聞いて頂きたく
存じます」
マーシャルが
2人向かって、話しだした
マーシャルの話は
とある男女4人の
異次元体験に関する話だった
薫も翔も、興味深く聞いている
薫
「その男女4人の方は
今どうされてるのですか?」
マーシャル
「彼等は、今も其々の異世界で
異次元の扉を
守っているのですょ」
薫
「凄すぎる話ですね
お話をお聞きして
1つ気になった事が
あるのですが…」
マーシャル
「はい、何でしょう?」
薫
「実は、さっきから
気になってたのですが
ここに置いてある古書を
知り合いの部屋で、見たんです」
マーシャル
「こちらの本ですね、そうですか
失礼ですが、その方のお名前を
教えてください」
薫
「隆史さんです」
マーシャル
「隆史さん?…まさか
こんな偶然があるのですね」
薫
「こんな偶然とは?」
マーシャルは
隆史と楓の事を、話し始めた
長い話の内容は
薫には、到底理解できない
凄まじいものだった
マーシャル
「お2人は、今もこれからも
異次元の扉を
守り続けられます…」
薫は、話を聞き終えると
隆史や楓の言動に
違和感を感じた事も、頷けた
翔
「こんな凄い話が
まさか身近な人達の話だった
なんて…信じられないよ!」
薫
「ええ、私もよ…」
マーシャルは、更に続けた
今の異次元の均衡は危うく
明日にでも、壊れるかもしれない
もしも薫と翔平に
その気があるのなら
異世界への扉を、隆史達と共に
守ってほしい…と
薫も翔平も
その提案に驚いていた
薫はマーシャルから聞いた話に
すぐに返事はできない、と話した
マーシャルは、ゆっくりと頷いた
その後、マーシャルは
この異世界の事や、薫達が行く
異世界について、語り始めた
薫と翔平は、真剣に話を聞いた
草原には
柔らかな風が、吹き渡り
沈む太陽が
シャトルの窓に差し込んできた
マーシャル
「今日は私の話を
聞いてくださってありがとう」
薫
「こちらこそ
ありがとうございました」
翔
「ありがとうございました」
2人は、円形の扉から外へ出ると
マーシャルに、手を振った
帰り道
翔も薫もあまりの衝撃に
話すことを忘れたかのように
無口になって歩いていた
理沙
「お迎えにあがりました」
薫
「ありがとう理沙さん…」
この日2人は
夕食もそこそこに、部屋に戻った
部屋に戻ってからも
マーシャルの話してくれた
衝撃に無口になっていた
翔
「凄い話だったな…」
薫
「うん…」
2人とも、眠れぬ夜を過ごした