異世界旅行(第8部)
薫は、朝から忙しくしていた
今日は翔平の誕生日
朝からケーキを焼き
メッセージを書いていた
薫
「よし!出来た」嬉しそう微笑む
翔平は休みのため
遅くまで休んでいる
翔
「ふわぁー、そろそろ起きるか」
背伸びをして着替えを済ませる
翔
「そういえば、今日は誕生日だな」
薫の家に行くまで
まだ時間がある
レンタル店に行き
数枚DVDを選んだ
店を出て、家へと戻る
翔
「んーこれにすっか」
DVDを2枚程選び
薫の家へと持っていくため
バックに入れる
1枚を手にとって
デッキへと入れた
アクション映画を暫く鑑賞
翔
「もういい時間だな」
翔平は、薫の家へと向かった
翔
「薫〜」
薫
「翔、おはよう、いらっしゃい」
翔
「おう!」
薫の部屋へと入る
薫はケーキと珈琲を
テーブルに置いた
薫
「翔、お誕生日おめでとう!」
翔
「おう、ありがとう薫」
ケーキに蝋燭を立て、火をつける
翔が、蝋燭の火を吹き消した
薫から誕生日プレゼントを受け取ると、嬉しそうに微笑んだ
翔
「DVD持ってきたょ見るだろう?」
薫
「うん」嬉しそうに微笑む
2人は
ホラー映画とファンタジー映画を
見ながら、ソファーで寛いだ
薫
「今日は翔の誕生日だから
何でも言ってね?」
翔
「へーいいのか?
今んとこ何も思いつかないや
思いついてから言うよ」
薫
「そう?何だか少し怖いわね」
笑いながら応える
薫の部屋は
本棚とテーブルにソファ、タンス
ベッドが置かれ、至ってシンプル
翔は、本棚に手を伸ばす
翔
「ふーん、これ面白いか?」
薫
「ああそれね好きな小説家の本よ
読む?」
翔
「うん、これ借りるわ」
薫
「うん、どうぞ」
薫の部屋で、2人で過ごす時間は
楽しく過ぎていく
TVをつけて、バラエティを見ながら
薫と、他愛ない会話をして過ごす事は、翔にとっても幸せな時間だ
薫
「今度行く
異次元旅行の準備は進んでる?」
翔
「ああ、まあな」
薫
「ああー!ん、もう
ちゃんと準備してね」
笑いながら翔平に話す薫
翔
「へいへい」
応えながら微笑む翔平
ピンポン♪
玄関の呼び鈴が鳴った
薫
「はーい、誰かしら?」
玄関へと出て行くと
隆史が立っていた
薫
「隆史さん、こんばんは」
隆史
「こんばんは、薫ちゃん」
隆史
「今日は、翔平君も来てるんだね」
薫
「はい、今日は翔の誕生日だから」
隆史
「そうかい、お邪魔だったかな?」
薫
「いいえ、そんなことないですよ」
照れくさそうに、微笑む薫
隆史
「この間、公園に居たよね?
何か変わったことあったかい?」
薫
「いいえ、特にはなかったけど
そういえば何だか少し
変な場所かあったの
何が変かって言えないけど
一角だけ蜃気楼みたいな場所が
あってそこに触れようとしたら
隆史さん達にあったから
そのままだったけど…」
隆史
「そうかい
やっぱり気付いてたんだね?
あそこには触れないで
欲しいんだ」
薫
「えっ!何かあるんですか?」
薫は、1階のリビングへと
隆史を通し珈琲を煎れ
テーブルに置いた
隆史
「いや、特に何もないよ…」
言葉を濁す隆史に
違和感を憶えたが
聞いてはいけない気がした薫は
それ以上は聞かなかった
しかし
隆史が、あんなことを言うのも
今までになかったこと
薫は、興味が湧いた
隆史が帰ると
すぐに2階へ上がる
薫
「ねえ、翔
あの公園今から行ってみない?」
翔
「隆史さんは帰ったのか…
どうしたんだ薫?急に…」
薫
「隆史さんと話てて
急に思いたったの
ねえ行きましょう?」
翔
「薫らしいな、わかったよ」
2人は、公園に向かった
公園に着くと、夜のため誰もいない
薫は、真っ直ぐに
あの一角に向かった
やはり蜃気楼のように揺らいで見えた
薫はそっと手を伸ばし
その一角に触れた
「ブゥゥゥゥン…」
微かな音が聞こえたと同時に
軽い目眩をおこしふらつく
翔
「薫!大丈夫か?」
側にいた翔平がすぐに薫を支えた
薫
「うん…大丈夫…」
翔
「もう帰ろう」
薫
「うん…」
薫は、翔平に支えられながら
帰宅した
ベッドに横になる
翔
「薫、大丈夫か?」
翔平は、コップに入れた水を
薫に手渡した
薫
「ありがとう、翔、もう大丈夫よ」
薫は、ベッドから起き上がる
薫
「隆史さんに言われて気になって
行って、あの一角を触ったら
目眩がしたわ
何なのかしらあの一角?」
翔
「ああ、不思議だな
目眩起こすなんて…」
薫
「うん…気になるわ
でも隆史さんの言うとおり
もう触れないわ
何だか…不気味だもの」
翔
「うん、それがいい」
2人は、その出来事を
忘れるかのように
異世界旅行への話を始めた
この夜は、満月で
月明かりが優しく薫の家を
照らしていた。