異世界旅行(第5部)
薫は、翔平と
朝からホテルの部屋で
朝食を摂っていた
テーブル上には
見慣れない料理が、並んでいる
色とりどりの料理に
舌鼓をうつ2人
薫
「どれも美味しいわね?」
翔
「うん!見慣れない料理だけど
全部旨いわ」
異世界では
薫達の世界では、味わえない
色とりどりで、変わった料理が
並んでいた
薫
「今日は何処に行こうかな?」
翔
「ああ、楽しみだね」
異世界へ行くには
鏡の異世界にある
絵のない額縁の、真ん中に
掌を広げ置く
すると、違う異世界へと行ける
理沙
「おはようございます
朝食はお気に召して
いただけましたか?」
薫
「おはようございます
ええ、とても美味しかったわ」
理沙
「食後の珈琲をどうぞ」
薫と翔平が、テーブルにつくと
理沙が、珈琲を煎れてくれた
理沙
「今日はどちらへ?」
薫
「そうね…
チラッと覗いた
あの異世界へ
行ってみようと思ってるの」
理沙
「そうですか
ではお茶の後
ご用意いたしますね」
理沙
「その前に
また幾つか見てみたいわ?」
理沙
「はい」
お茶が終わると
理沙は、額縁の側へ行き
額縁の、上にある番号を
手に持ち
書類に、書き込み始めた
薫
「ねえ翔、この後
また短時間、覗いて見るの
楽しみだわ、今日は
あの異世界へ行くのも
楽しみだし…」
翔
「うん、ちょっとだけ
見れるのも面白いし
今日行くところも
楽しそうだょな」
薫
「ええ、もうワクワクしてる」
2人が、話しているところへ
書類を、書き終えた
理沙が戻ってきた
理沙
「それでは
準備が、整いましたので…」
そう言うと、2人を誘った
2人は、幾つかの額縁に、軽くタッチする
額縁の枠の中に、異世界が広がる
チラリと覗き見る
薫
「あっ、ここもいいわ」
翔
「うん」
2人はまた、1枚の額縁の側に立った
今度は、翔平が掌を置いた
「シュン…」微かな音
異世界へ着く、着いた途端に
辺りは、乳白色の真っ白な世界
霧の様に見え、数メートル先も見えない
薫
「今日は、霧がかかってるのかしら
辺りが、真っ白ね」
翔
「ああ、真っ白でよく見えないなぁ、薫大丈夫か?」
薫
「あ、うん、大丈夫ょ…だけど…」
そう言いながら、翔の腕に掴まる
翔は、薫の手を引きながら
理沙に聞いていた、場所に向かった
暫く歩くと
少しずつ、霧が晴れるように
辺りが、晴れてきて
周りが、見えるようになってきた
辺りが、見えるようになってくると
周りに、ドーム型の何かが
幾つもあることに、気付いた
ドーム型の何か?は
家なのだろうか
最初、白っぽく見えていたが
霧の様なものが晴れて
はっきりと、見えるようになると
それらは総て
ガラスの様に見える
ドーム型の、点在する
家らしきものは
切子細工の様に全面が装飾を施された、ガラスの家に見えてきた
薫
「うわぁー綺麗ー!」
翔
「うん、綺麗だね」
2人は、家らしきものの装飾に
見惚れていた
薫
「素敵ねぇ、キラキラと光が
反射して、輝いてるわ」
翔
「ああ…すごいね」
点在する
ドーム型の中を、通って行く
1つ1つが、違った細工に
なっていて、同じものはなく
どれも美しく
芸術的な、家になっていた
切子細工の様に、なっている為
家の中は、見えず
静かな、住宅街のようであった
薫
「ねえ翔、あれじゃない?」
翔
「うん、あれだね」
2人が更に、数分程歩いた先に
今までよりも、一層美しい
ドーム型の、家を見つけた
薫
「ここだわ、入ってみましょう」
翔
「うん、入ろう」
切子細工の様な、扉を開くと
ドーム型の中が、見えてきた
中には、透明なガラスでできた
テーブルや椅子が置かれていた
薫
「何だかステキ!とっても綺麗ー」
翔
「ああ、ほんとだな」
硝子細工のテーブルや椅子は
型どってなければ
気づかないほど
透明度が高く、美しかった
エマ
「お待たせしました」
声がする方へと、振り向くと
透き通った女性が立っていた
エマ
「ようこそ!透明の異世界へ」
薫
「こんにちは、素敵な異世界だわ」
エマ
「ありがとうございます、私はエマここで案内をしております」
薫
「こんにちは、エマさん
よろしくね」
エマ
「はい、こちらこそ
宜しくお願いします」
エマの案内で
透明の、異世界の中を
案内してもらう
透明の異世界になる前は
闇の異世界だった事等の話も
面白く、聞き入っていた
ドーム型の、家の中にあるものは
総て透明な、ガラスか
切子細工の様なもので溢れていた
1つのグラスを手にとって
じっと見ていると
グラスの中には液体が溢れてくる
魔法の様に、あっという間に
飲みたいものが
なみなみと注がれている
薫
「スゴいわ!
ひとりでに注がれてる」
エマ
「そうですね、ここでは普通の事
なんですょ、皆さん驚かれます」
薫
「ええ、本当に驚きます」
エマ
「それでは、お飲み物を手に
こちらへどうぞ…」
更に奥へと入って行く
透明なエレベーターが
目の前に現れた
「ヴィーン…シュン」
エレベーターに乗り
上へと、登っていく
「ガタン…シュン」微かな音
エマ
「こちらへどうぞ…」
薫
「ありがとう」
透明の
ガラス張りの、天井からは
外の景色が一望でき
益々
光の反射で、周りのドーム型の家がキラキラと、輝いて見えていた
全ての物が、透明のガラス細工
で、出来ているその割には
柔らかさもあり、柔軟性があって
触れても
壊れない、造りになっていた
エマ
「いががですか?」
薫
「うん、
ステキすぎるくらいステキ!」
窓からの眺めに、うっとりと
見惚れている
エマ
「こちらパンフレットです」
渡されたパンフレットは
透明なため、絵や
写真が、浮き出たように見えている
パラパラと、捲りながら
薫は、1枚の写真に目を留めた
闇の、異世界だった頃の暗闇から
透明な異世界に変わった写真には
薫
「あれ?これって楓さん?
まさかね…でも似てるわ」
小さく写ってる写真には、
楓が、以前の住人と
話している姿が、写っていた…。