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異世界旅行  作者: 肥後 椿
4/29

異世界旅行(第4部)

薫は、その日

隆史の家ヘ遊びに来ていた

楓も、来ており


隆史の、部屋ヘ入って行くと

2人で、何か話している

その雰囲気に、声をかけにくく感じた


「隆史さん」

思い切って声を掛けた


隆史

「ああ、薫さん、いらっしゃい」


「こんにちは」


「こんにちは、お邪魔だったね」


「そうそう、なんて嘘ょ」


「とても

 真剣な話だったみたいだから

 入るのためらっちゃった」


「ごめんなさい、大丈夫ょ」


隆史

「そうさ、大丈夫だょ」


「何だか最近

 二人共難しい顔してるわね?

 何かあったの?」


隆史

「いや、何もないょそうかい?

 そんなに難しい顔してたかな?

 たまたまさ」


「そう?それならいいんだけど」


「ええ、何もないわょ

 ありがとう心配してくれたのね」


「そっか

 たまにはそういう事も

 あるわよね?」


隆史

「そうそう、気にしなくていいよ」


「うん」


小さい頃から知っている

隆史の様子に

薫は、どことなく

腑に落ちないでいたが

話したくない事もあるだろうと

それ以上は、隆史に尋ねなかった


薫は、隆史の部屋の本棚に目を移し

なぞりながら


「ねえ、隆史さん

 これ借りてもいい?」


隆史

「いいよ」


「ありがとう」


一冊の本を選び、

部屋のソファに腰掛ける


隆史

「それじゃあ、僕は珈琲でも

 煎れてくるょ」


「ありがとう隆史さん」


「うん、ありがとう隆史さん」


薫はソファに腰掛け一冊の本を読み始める

楓もまた、隆史の本棚から分厚い古書を一冊とって、読み始めた 


時計の、秒針を刻む音だけが

静かな部屋に、聞こえてくる


隆史が、珈琲を持って

部屋に入り、2人の前に置いた

隆史は

薫が、部屋に入って来たときに

持っていた読みかけの古書を手に

読み始めた


薫は、隆史の本棚に並ぶ

あらゆる本や、隆史の父親の

古書を、読むことが好きだった


隆史の、部屋で一冊を読み

数冊借りて、家で読む


隆史の部屋が、薫にとって

図書館よりも、有意義な場所

学生の頃には、隆史に勉強を見てもらったりもしていた


熱い珈琲を、口に運びながら

ゆっくり、頁をめくる


静かな時間が部屋に流れる


隆史と楓が、古書を手に

また、話始める


薫は、本を読みながらも

翔平との旅行に思いを馳せていた


薫が、数十頁読み進めた頃

時計の針が、18時を告げた


隆史

「もう、こんな時間か…

 薫ちゃん夕飯食べてくだろう?」


「うん、勿論」

そう言いながら、微笑む

隆史と楓、薫は本を閉じ

階下へと、降りていった


「さて…」


楓が、夕飯の支度を始める


隆史

「僕も、手伝うよ」


「楓さん、私も手伝うわ」


3人で、料理を作り始めた


料理ができ、テーブルにつく


「そういえば、隆史さんと楓さん

 この前大きなバックを

 持っていたけど

 旅行に行ったの?」


隆史

「あ…うん、ちょっとした旅行さ」


「そうなんだ

 私も、今度翔と旅行に行くのょ」


隆史

「そうかい、楽しんでおいで」


「うん、ありがとう」


食事を終え、部屋に戻る

それぞれが、手にした本の続きを読み始めた


薫がふと、本棚に目をやると

隆史の本棚に今までなかった

変わった本を見つけた


その本に、触れようと手を伸ばす


隆史

「薫ちゃん!その本は駄目だょ!」


薫は、いつになく厳しい

隆史の声に、驚いた


「あっ!ご…ごめんなさい」


隆史

「いや、こちらこそごめんね

 驚いただろう」


「ううん、大丈夫ょ」


薫は、そう言いつつも

隆史の様子に

ただならぬ何かを感じていたが

聞いてはいけない気持ちになり

それ以上は尋ねなかった


そういえば、この部屋

最近、変わった本や物が

知らない間に増えている


薫は、改めて部屋の中を見渡した

触れようとした

変わった古書をはじめ

見たことのない道具のような物も

部屋の各所に置いてある


恐らく、触れてはいけないのだろうと直感で感じていた


好奇心旺盛な薫

気にならない、と言えば嘘になる


部屋の、角に置いてある

木の枝のような物や

数個の黒い石も、気になっていた


数時間がすぎると

外も、暗くなり


「そろそろ帰るわね

 あっ、借りて行くね」


隆史

「ああ、うん

今日は驚かせたね、ごめんね」


「ううん、私こそごめんなさい

 じゃあ、今度返すわね」


隆史

「いつでも、いいよ」


「ありがとう、楓さんまたね」


「ええ、気をつけて帰ってね」


「はい、近所だもの大丈夫です」


薫は、隆史の家をあとにした


「それにしても

 やっぱり気になるなぁ

 今日の隆史さん…」


気になりながら部屋に入る

数冊借りてきた本の中に

変わった羊皮紙の本を見つけ


「あっ!

 間違えて持って来ちゃったわ

 まぁいいか、今度返そう」


そう思いながら

羊皮紙を捲って見たが

わからない

文字らしきものの羅列


「全然読めないなぁ」


数頁捲って、すぐに閉じた


「もしかしたら

 すぐ必要な本なのかも

 しれないわね」


薫は、本を手に隆史の家へと向かった


隆史の、家へ着き

本を返す


隆史

「ああやっぱり、薫ちゃんが

 持って行ってたのか」


「ごめんなさい

 間違えて

 持って来ちゃってたから」


隆史

「いや、大丈夫だよ

 ありがとうね、薫ちゃん」


「うん、じゃあまたね」


隆史

「うん、じゃあ」


「やっぱり

 すぐ必要な本だったのね」


家に戻ると、本を返せて良かったと

胸をなでおろした


隆史から借りてきた本を

読み始めた


窓の外は、雨が降り始めていた。











































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