異世界旅行(第3部)
理沙
「どれも素敵でしょう?」
薫
「ええ、どれも興味をそそられるわ」
翔
「ああ、どれも面白そうだな」
翔平と薫は、理沙の話に耳を傾け
数時間が過ぎた
薫
「ねえ翔、翔は何処がいい?」
翔
「うん、薫は何処がいい?」
薫
「そうね…まずはここにしない?」
翔
「うん、いいね」
薫と翔平は鏡の異世界の
1つの額縁に決め手を当てた
「シュン…」微かな音
そこはまるで不思議の国のアリスの
ような世界
アニメの中に出てきそうな動物達が
楽しそうに会話をしている
小さい扉や、大きな扉が幾つもあり
ミニチュアのような家や
大きな家具がまばらに置かれている
どれもがロココ調で可愛らしい
その1つにピアノが置かれていた
薫は、ピアノに触れてみる
1つのキーに1つの映像が流れた
薫
「うわぁー素敵!」
翔
「凄いなぁ…」
その映像はまるで
プロジェクションマッピング
夢の様に美しい映像が
キーを叩く度に、空一面に広がる
キーを叩く度に、呼応するように
森の木々がザーッと動く
薫はその映像にうっとりと見惚れている
翔平もまた、その映像に見惚れながらも、薫の横顔に見惚れていた
動物達が話している
その会話に耳を傾けてみる
リス
「ねぇねぇ知ってる?」
リス2
「なぁに?なぁに?」
リス
「あのね、鏡の世界の理沙に恋人ができたんだって!」
リス2
「えー!そうなの?すごいね理沙に恋人ができだんだぁ?!」
薫は、リス達の会話を聞きながら
思わずふきだした
翔
「面白いね、リス達の会話」
薫
「ええ、とっても」
薫は笑いながら応えた
リス達の会話は、面白かったが
向うに見える森の湖の
動物達の演奏会も気になり森の奥へと進んだ
動物達が、ピアノやヴァイオリンを弾いている
奏でられる曲は、美しく
心が、癒やされていく
動物達の演奏会の横では
透き通った湖が、広がり
青空と森の緑、透き通った湖が
美しく、どれも1枚の絵画を
見ている様な気持ちになった
森の木々には妖精たちが
可愛らしく舞っている
しばしの間
薫と翔平は、その演奏会に聴き入っていた
夕陽が差し始めた頃
動物達は演奏を止め
森の中へと帰っていった
薫
「素敵だったわ!」
翔
「ああ、いい演奏会だったね」
翔平は、薫を見つめながら
薫が翔平の方へ顔を向けると
照れくさそうに、目を逸らした
森の中は暗くなり夜になった
翔
「そろそろ、帰ろうか?」
薫
「そうね、また今度来ましょう?」
翔
「うん」
2人は額縁へ手を当て鏡の異世界へと戻ってきた
理沙
「如何でしたか?」
薫
「ええ、とっても素敵な
時間だったわ」
理沙
「それは良かった、
この季節は素敵なんですょ」
薫
「ええ、凄く可愛らしかったわ」
翔
「季節によって違うんですか?」
理沙
「はい、季節毎に
違う面が見られますょ」
薫
「ステキね!また行きたいわ!」
理沙
「はい、是非!」
翔
「うん、また来ような」
額縁はあるものの
どんな異世界なのかは
行ってみないとわからない
理沙
「今日は、お疲れ様でした」
薫
「こちらこそ、ありがとう」
異世界の世界で、過ごした1日も
現実には、数時間程度しか経っていない
鏡の異世界では、
ホテルにもなっている
薫と翔平は、
部屋へと入ってきた
薫
「うわぁーステキ!」
翔
「薫が、好きそうな部屋だな」
部屋の中は
ロココ調の家具が
置かれていて
あの異世界で、見た家具と
そっくりだった
薫
「うん、私好み」微笑みながら応えた
テーブルには、ワインと果物
「ようこそ鏡の異世界へ、
ごゆっくりお過ごしください」
とカードが添えられている
薫
「ねえ、翔、来てよかったわね」
翔
「ああ、
何より薫が喜んでくれてるのが
僕は嬉しいょ」
ホテルの窓からは、
鏡の異世界が一望できる
夕陽に照らされて鏡が反射し
キラキラと輝いて見えていた