表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界旅行  作者: 肥後 椿
18/29

異世界旅行(第18部)

翔平はまだ部屋で寝ていた為

薫はそっと部屋を出て

鏡の間へとやってきた


理沙がカップに珈琲を注いでくれた

窓際に近い、テーブルに腰掛け

窓の外を眺めると

朝日が、鏡の家々に反射し

キラキラと美しく輝いていた


鏡の異世界では

滅多に雨が降らず

気温も温暖で過ごしやすい


薫がテーブルについてから

1時間程経過した頃

翔平が現れた


「ごめん、ごめんすっかり寝坊しちまったな」


「やっと起きてきたわね」

微笑みながら翔平に話す薫


「今日はあそこに行ってみない?」


「うん?あーあそこねいいかもしれないな」


2人は、パンフレットに

目を通しながら話した


「ここ、いいでしょう?」


「ああ、薫が行きたい所でいいよ」


行き先が決まり

カップをテーブルに置くと

理沙の元へとやってきた


理沙

「お決まりですか?…はいこちらですね?それでは、こちらへどうぞ」


鏡の間の額縁に立った

額縁の真ん中に手を置く


「シュン」…微かな音


2人が着いた所は

一面がシルクのカーテンで

覆われているような場所だった


そっと触れてみると

柔らかく

持ってみると

重さをまるで感じない


風がふくたび

フワフワと揺れてカーテンが

揺れるように揺れる


足元はわりとしっかりとしていて

雪を踏む感覚に似ていた


遠くを見ると賑やかな街が見え

薫は以前異世界で買った

シルク生地のようなドレスを

1枚身に纏っていた


触感はツルツルとしているが

肌触りがよく思ったよりも

暖かい


「買っといて良かったわ

 この異世界にピッタリね」


「うん、似合うよ」


そう言いながら

少し照れくさそうに見えた


2人は、街まで歩いてやってきた

街に来ると

華やかなシルクのような衣装を

身に纏った人々が

大道芸のようなものを見ていた

薫達も、その中へと入っていった


街の中には

大道芸やイベントが各所開かれ

賑わっていた


建物も白に統一されており

見てるだけでも

絵画の様な、美しさだった


その中に美術展があっており

中に入ると

幾つもの絵画と額縁が置いてある


額縁は異世界への扉になっており

ここも鏡の間と同じく

異世界へ行ける事が出来るようだった


ここの額縁は少し変わった形をしていて

四角ではなく

三角や丸い形のものや

楕円形のものまでと様々な形をしている


何処かの観光客が

額縁の前に立っていた


その様子を眺めていると

鏡の間とは少し違い


額縁の縁を左から右へと

なぞっている

一周なぞり終わると

観光客が

異世界へ行ける仕組みに

なっているようだった


薫と翔平は数組の観光客が

異世界へ行く様子を暫く眺めていた

案内人らしき人物に

近寄り話を聞く


ここの異世界は

鏡の間の異世界とはまた異なっており

たまに、危険な目に合うらしい

スリルを楽しめる観光客が

多く集まり行くとのことだった


美術展の観光客と

絵画を堪能した

薫と翔平は、数時間程で後にした


美術展を出ると露天が並んでいる

場所へと移動


可愛らしい服やアクセサリー

美味しい食べ物の露天が

並んでいる


暫く見ていると

雨が降ってきた

急いで店頭へ雨宿りをする


ここの雨は文字通り水色を

していて白い建物に水色の雨が降り

建物も水色へと染まっていく


一角にテントを見つけて

そこへ移動すると薫の世界で言うところのサーカスの様なものだった

違っているのは

全ての動物達が話せる事だ

可愛らしい動物達の劇のようで

見ていて飽きない


劇の内容はドラマに出てくる

恋愛物

時には、笑いながらその劇を

眺めていた


劇を見ている間に雨も上がり

劇が終わって外に出た頃には

夕日が差していた


ここで一番薫が気に入ったのは

露天に売っていたフランクフルトのような食べ物だった

薫の世界よりも

2倍程大きいもので

2つも食べれば

お腹いっぱいになった


露天のあちこちを見ているうちに

夕日も沈み

薄暗くなっていた


シルクの町並みは

薄暗くなると街全体が

薄っすらと明るく照らされ

人工のライトのように輝いていた


雨に濡れたシルクのカーテンの

部分に触れるが

濡れておらず


ラメを入れたように雨粒が

光って落ちる


すっかり街が暗くなってくると

まるで花がしぼむように

街全体をシルクが覆い出し


全体を薄っすらと照らし始める

すると

日差しはないが

色とりどりの仄かな明かりが

全体に広がり


星のように美しく輝いた


薫と翔平は

元の額縁へとやってきて

鏡の異世界へと戻った


理沙

「お帰りなさいませ

 如何でしたか?」


「ええ、とっても素敵だったわ」


理沙

「そうですか、良かったですね

 今ご夕食の準備をいたします

 テーブルでお待ちください」


薫と翔平はテーブルについた


テーブルの上には

ワインが置かれていて

メイン料理はステーキだった


翔平はステーキを

おかわりすると

あっという間に食べ終わっていた


鏡の間のテーブルには

美しい蝋燭の灯りがチラチラ

と揺れていた














































評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ