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異世界旅行  作者: 肥後 椿
17/29

異世界旅行(第17部)

理沙はこの朝も

いつも通りの朝を迎えていた


理沙は鏡の異世界の住人で

各異世界への案内人でもある


理沙

「うーん…今日も頑張らなくちゃ」


大きく背伸びをして

ベッドから起き上がる


朝の準備を始めるのは

毎朝7時

着替えを済ませ

鏡の間へとやってきて

全額縁の掃除を始める

いつも数時間はかかる


掃除の合間に

朝食の準備をする

鏡の異世界の朝は遅く

旅行者は10時頃鏡の間へとやってくる


それまでに済ませるのが

毎日の日課だ

この日も早めの朝食作りを始め

額縁の掃除から

各異世界のチェックを始めた

時間は午前9時


理沙

「今日もどの異世界も

 異常はないわね」


午前8時には調理人や館内の掃除等従業員が出勤してくる

そういう点では

異世界もこの世界と変わらない


奥の部屋へとやってきた

ここは特別な異世界

楓達が一番関わった

異世界の額縁がずらりと並んでいる


理沙が

ここも調べる

この異世界の額縁が

特別なのには

他にもう一つ理由があった



楓達で言うところの

異世界の扉に亀裂ヒビ

入った異世界でもあった

つまりは要注意な異世界でもある


気をつけていないと

額縁の真ん中辺りから

光の点滅が起こる


光が点滅した際には

理沙が持っている

鍵型のスティックを

額縁の真ん中の鍵穴に差し込み

右へ回す


すると

点滅が収まる


この特別な異世界では

一日の内に数回このような事が起こる為理沙は特に気をつけて

この異世界をチェックしている


ある異世界の額縁の前に

立ったときやはり点滅が始まっていた

首から下げている鍵型のスティック

を鍵穴へと差し込む


「かチャリ…」と音がして

点滅が収まる


理沙

「ふうー今日は多いわね?

 あと3箇所ね」


と言いながら順番に回って行く


特別な異世界の額縁の点滅を

ほっておくと扉の亀裂が大きくなり

不安定な扉が開かれてしまう


それを防ぐためにも

日々のチェックは

欠かせない


全ての確認を終えて

鍵を締める


そうこうしている内に

午前10時になって

旅行者が部屋から鏡の間へと

次々にやってくる


理沙

「もう10時だわ、急がなくちゃ」


最後に鏡の間にある

大きな姿見を拭き上げる


特別な額縁のチェックのあとは

普通の額縁の異常を確認して回る


額縁は個々に装飾や材質

大きさも異なっている


各テーブルの上に

ティーセットを、セッティングして

いつ旅行者が

テーブルについてもいいように

準備をする


「おはよう理沙さん」


明るい声が聞こえてきて

理沙がが振り返り挨拶を交わす


薫と翔平が

すぐ後ろに来ていた


理沙は薫に

朝食のメニューを渡す


薫は翔平と何にしようかと

話している


その間も

テーブルに着いた旅行者に

理沙はメニューを渡している


テーブルに置かれた

ティーセットから薫が

珈琲をカップに注ぐ


理沙の仕事は

旅行者にメニューを渡したあとは

また引き続き

額縁のチェックを始める


異世界の世界では

季節もバラバラで

冬の所もあれば

夏の所もある

その異世界によって


時間も様々

時の流れも、遅かったり早かったり

と個々に違っている


テーブルに朝食が運ばれて来た

薫はふんわりと柔らかく

温かいパンと

いい匂いのスープを口へと運ぶ


理沙は旅行者が食事を

楽しんでいる頃

額縁のチェックを済ませ

各旅行者の好みの異世界を

確認しピックアップしたり

パンフレットの整理をしている


そんな中

早めに朝食を済ませた旅行者から

順番に、理沙の元へとやってきたて

行きたい異世界を告げたり

決まっていない旅行者は

理沙から貰った、パンフレットを

見ながら談笑しつつ行き先を決める


時には朝食を済ませ

そのまま部屋に戻り

ゆったりと過ごす、旅行者もいる


薫と翔平も

この日は部屋に戻り

ゆっくりと過ごす事にしていた


理沙は他の旅行者を

額縁へと案内し見送る


「行ってらっしゃいませ

 良い旅を…」


一組の旅行者が額縁に手を当て

異世界へと旅立つのを

見送ったあとは

書類に、名前と時間を記入


その後、理沙も部屋に戻り

束の間の休息を堪能する


基本旅行者はお昼は大抵

異世界で済ませて来るため


旅行者が帰ってくる

夕食の準備までは、のんびり出来る

部屋に戻ってもパンフレットの

準備や、旅行者の意向に沿う

パンフレットを発注したりと

軽い仕事をしながらになる


部屋で過ごす旅行者には

お昼の準備を

しなければならないので

数時間経過したらまた鏡の間へと

戻り、昼食の準備をするが

それも数部屋分なので

さほどかからない


理沙

「あっ…そうだわ今のうちに…」


電話をとると早速彼氏へとかける


理沙の彼氏は

別の異世界の住人で

電話と言っても、携帯ではなく

下敷きのような1枚のフィルム

を空中に浮かせる

TV電話のような感じた


暫く彼と話をしたり

休みの予定を合わせて

デートの約束をしたりしていた


午後4時頃になると

最初に異世界へ旅行に行った

旅行者達が、帰ってくる


またテーブルに新しいティーセットを置く


「おかえりなさいませ

 如何でしたか?」


こうやってまた次々に旅行者が時間差で帰ってくる


その合間に特別な異世界の額縁の

鍵を締めに数回特別室に入って

鍵を締めてくる


午後7時頃

ようやく、最終の旅行者が

鏡の間へと戻ってくる


理沙の一日は

こうやって過ぎていく


鏡の異世界では

薫達と同じ世界の時間の流れに

なっている


理沙が全てを終えて

部屋に戻れる時間は

午後10時


部屋に戻るとシャワーを浴びて

明日の準備を部屋でしながら

ゆっくりと過ごす


鏡の異世界では

周りが

鏡の家々に囲まれているため

夜も、真っ暗になることはない

外からの明かりが

部屋に差し込み

夕暮れ時の明るさに、なっている


鏡の異世界の季節は現在春

桜に似た樹木から

花弁が舞って、家々の鏡に

反射し乱舞する様は

桜の花弁が乱舞する様に似ている


理沙は、窓を開けて

掌に花弁を乗せる

風とともに甘い香りが

部屋の中へと入ってきた


理沙

「うーん、いい香り!」


窓を締めて

掌の花弁を数枚

お皿に乗せて部屋に飾った






















































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