異世界旅行(第13部)
薫はこの日
マーシャルに会おうと
決めていた
理沙
「おはようございます今日はまた
マーシャルさんに
会いに行かれるのですね?」
薫
「はい色々お聞きしたいですし
お話もあるので…
理沙
「そうですかわかりましたでは
楽しんでいらしてくださいませ」
薫
「ありがとう理沙さん」
薫と翔平は
早速扉へと向かった
扉を開けて
一面草原の中に立つ
その少し先に
マーシャルの船がある
船の側へ行き
扉を開ける
音もなく
スッと空間が出来る
マーシャル
「やあ、いらっしゃい」
マーシャルの表情を
読み取る事は難しいが
微笑んで、くれているのだろう
薫
「おはようございます
マーシャルさん
今日も、ありがとうございます」
マーシャル
「こちらへ、どうぞ」
銀色の丸いテーブルに
銀色の、椅子に腰掛ける
座るときほんの少し冷んやりと
冷たい感触がするが
すぐに暖かくなってくる
椅子には暖房が入ってるような
感じだった
マーシャルも、椅子に腰掛ける
マーシャル
「今日は先日のお話なのですね」
マーシャルは
脳内に直接話しかけてくる
2度目とはいえ、中々慣れない
マーシャルが暖かいココアを
薫と翔平の前に置いた
ココアの甘い香りが漂ってきた
薫
「美味しいわ、ありがとう」
翔
「うん、美味いね」
2人は、早速マーシャルの
先日の提案へと、切り出した
叶恵に会って、楓や隆史達の話も
聞いた事を、マーシャルに話した
マーシャル
「そうですか叶恵さんから
色々聞かれてのですね」
薫は、隆史達の大変な思いは
自分には、想像しかできない
薫には、隆史達と扉を守ることは
難しい事だから、出来ないと応えた
マーシャルは、深く頷くと
ケーキを、差し出しながら
話を続けた
異世界の、扉の亀裂を守る事は
生涯に渡って
行わなければならない
それを
薫達2人にも、させることは
難しいと、思っていたと述べた
せっかく、来ていただいたのでと
マーシャルは、テーブルの上にある
数枚の下敷きの様な
フィルムを、手にとって宙に浮かべた
宙に浮いたフィルムを
スラッシュすると映像が現れた
どうやら
マーシャルの星での
生活の様子のようだった
幾人もの
マーシャル似た人物達が
フィルムを見ながら
何かを、操作している様子だった
薫
「何をされている
ところなんですか?」
マーシャル
「これは、異世界の均衡を
保つために映像を
チェックしながら
操作しているのですよ」
1人が、幾つものフィルムを
宙に並べ、何もない空間に
手を翳したり、動かしたりしている
またマーシャルが
別のフィルムを
前のフィルムの横に浮かせた
そのフィルムを
スラッシュすると
今度は船内の様子が、映っている
船内には何もなく
壁の一点を押す素振りをしている
すると、壁の中から
テーブルと椅子が、表れる
何もない壁に手を当て
左から右へと動かすと
窓らしき物が現れて
外の様子を、見られるようだった
マーシャルが
もう一枚のフィルムを
その横に、浮かせる
映像が映し出された
大きな温室の様な物があり
その中で
地球の植物を、育てている様子が
映し出されていた
薫
「マーシャルさんの星は
船の中で
生活されてるのですね?
外ヘは出ないのですか?」
マーシャル
「私の星には
外には何もないのですよ
だから、船内で生活しています」
薫
「そうなんですね
地球とは随分異なるのですね」
マーシャル
「ええ、私達は全ての物を
船内で
作り出すことが出来ます」
それから
マーシャルは
更に数枚のフィルムを
宙に浮かせて見せてくれた
フィルムの映像は
プロジェクションマッピングの様に
大きく映し出され
フィルム自体の大きさは小さい
マーシャルは
船内の壁に手を当てる
何もない壁から
ロッカーの様な物が浮き出てくる
中には、数千枚のフィルムが
入っていた
その中の1枚を取り出し
薫と翔平に見せてくれた
それは
楓と隆史、叶恵達の映ったものだった
薫と翔平は、興味深く
その映像を、見つめていた
またたく間に
時間は過ぎた
マーシャル
「今日はこちらへ
お泊まりください」
そう言って、船内にある別室へ
2人を、案内した
マーシャルが壁に軽く触れると
ベッドが表れた
銀色のベッドには薄い絹の様な
布団と枕が付いていた
薫
「ありがとうマーシャル」
翔
「うわぁ凄いなあ布団が
かなり軽い」
薫と翔は早速もぐりこんだ
布団自体には重さはなく
まるで羽根の様な軽さだった
マーシャル
「それでは、おやすみなさい」
薫
「おやすみなさい」
マーシャルが部屋から出ていくと
部屋の中の壁全体が薄っすらと
明るくなった
月明かりくらいの明るさが
部屋全体を、包み込んでいた
薫も翔も、宙に浮いたベッドで
眠りについた