異世界旅行(第12部)
薫
「今日は何処の
異世界ヘ行こうかな?」
翔
「うん、今日は理沙さんに
聞いてみようか?
お薦めみたいな場所」
薫
「そうね」
2人は、鏡の間に行った
理沙
「おはようございます
今日は何方へ行かれますか?」
薫
「今日は理沙さんの
お薦めに行ってみたいと
思います」
理沙
「私のお薦めですか…」
理沙は、暫くの間考えていたが
理沙
「そうですね…
こちらは如何でしょうか?」
数枚のパンフレットを並べた
その中から1枚を選び
理沙に手渡した
理沙
「こちらですね」
理沙は鏡の間を抜けて
別室へ案内した
理沙
「こちらは特別な異世界ですょ
きっとお気に入られると
思います」と微笑んだ
別室は、まるで書庫の様な作りになっている
幾つもの本が並び
書棚の中央あたりに、額縁がある
額縁は木枠で作られていて
その装飾も素晴らしい
書棚は十数個並べられ
その中央に額縁があるので
額縁も、十数個あった
一番手前の書棚の前に立った
薫と翔平は、額縁に手を当てる
「シュン」微かな音
着いて振り返ると、窓があった
足元から小高い丘まで一面に
草原が広がっている
薫
「心地よい風が吹いてるわ」
翔
「ああ、気持ちいいね
あっちに行ってみよう」
翔平と共に、住宅らしきものが
建っている所へと、歩いて行く
「こんにちは
珍しいわね?お客様なんて」
明るい声が聞こえてきた
薫
「こ…こんにちは、私は薫
こちらは翔です」
そう言いながらも、薫は驚き
焦っていた
声をかけてきた女性は
楓に、そっくりだった
薫
「すみません
知り合いの女性に
よく似てらしたから」
叶恵
「えっ?似てる?もしかして…
楓の知り合いなのかしら?」
薫
「…楓さんを御存知なんですか?!」
叶恵
「やっぱり、そうなんだ!
素敵ねこんな偶然」
薫
「楓さんもここに来られたのですか?」
叶恵
「楓から聞いてない?」
薫
「はい、楓さんも異世界に来られてたなんて!存じませんでした」
叶恵
「そっかぁ…」
薫は、隆史についても訪ねてみた
叶恵は、隆史の事も知っていた
薫は、部屋に飾ってある鏡が
一瞬光った様に見えて
触れようとした
叶恵
「あっ!それに触れちゃダメよ!」
薫
「えっ?…あっ…はい」
少しビクッとしながら
手を引っ込めた
叶恵
「ごめんね
触れると大変な事になるから」
薫
「そうなんですね…す、すみません」
叶恵
「こちらこそ、驚かせたわね
ごめんなさい」
叶恵
「隆史さんの従兄弟なのね
私が喜んで案内するわ」
3人は草原を抜けて街へと入り
楓が、住んでいた場所や
森や湖を見て廻った
叶恵の家へも訪れた
そこで
叶恵から、隆史達の話を聞いた
その話は、以前聞いたマーシャル
の話とも符号していた
薫も翔平も、叶恵の話を聞きながら
2人が大変な思いをしていたかを
改めて知った
薫
「やっぱり凄すぎるわね
隆史さんと楓さん」
翔
「うん、言葉が出てこないよ」
更に、薫はマーシャルから聞いた
話や提案を、叶恵にも話した
叶恵
「そう…相当な覚悟がいるわよ
もし薫さんや翔平さんも
扉を守るのなら…」
薫と翔平は、叶恵の話を
固唾を飲みながら聞いていた
話が終わると
最初に、マーシャルから
聞いたときの様に
何も、言えなくなってしまった
薫は自分には無理だと痛感し
叶恵には、扉を守る覚悟も出来ず
難しいだろうと話した
叶恵
「そうね
それがいいかも、しれないわ
それじゃあ
異世界旅行を楽しんで」
そう言って
叶恵は明るい笑顔を向けた
叶恵は一冊の古書を出し
薫と翔平に見せ
古書に書かれた事も話してくれた
叶恵は日記のようなものを
つけていて、思い出しながら
叶恵や、隆史達が体験した
異世界の出来事を、細かく
話して聞かせてくれた
辺りはすでに夜になっていた
薫と翔平は
叶恵にお礼と別れを告げて
窓へと、戻ってきた
窓枠を3回叩く
「トントントン…」
窓枠は額縁へと、変化した
薫と翔平は
その額縁の中央に手を当てる
「シュン」微かな音
鏡の間へと、戻ってきた