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第85話 レッドラムVSハンナ

 ジャックが排除された事により、レッドラムの次のターゲットはパーティー会場にいる者達移る。レッドラムはお城の塔の上に陣取り、上から室内を確認する。自分の姉である赤馬あかば凛子りんすが捕まっており、ダイアナやキマイラ達はボロボロだった。


「まずは、あの女の子にしようかな? 同い年だし、良い勝負ができるかも……」


 レッドラムは、ハンナをメインターゲットに決めたが、それ以外にもカステラやロバート、ダイアナにも注意を払っていた。歌を歌いながら、動ける人物全てに攻撃を仕掛ける。


「肺がボン! 脾臓ボン! 腎臓ボン!」


 レッドラムは、まず凛子りんすからダイアナを引き離すように、銃弾で2人を遠ざけた。ダイアナは2発の銃撃を避けて、凛子りんす)から数歩ほど遠い場所まで引き離された。そして、3発目の銃弾で凛子りんすにかけられていた手錠の鎖を破壊する。


「くう、何という正確な射撃……。避けるだけで精一杯……」


「ふん、とりあえず退散させてもらうわ。この手錠には、賢者能力アビリティーを封じる仕掛けがしてあるみたいだしね。手錠の鎖は壊せても、まだワイヤーやダイナマイトを作り出せない。逃げる方を優先するしかないね!」


 凛子りんすは部屋から出て、お城の外へと避難する。レッドラムが出てきた以上、部屋の中に留まっているのは危険なのだ。レッドラムは、今度はハンナに攻撃をする。


「突然破裂してようやく気が付く致命傷。あなたにとっては衝撃的な出会いだったね。でもね、本当は私にも刺激的な出会いだったんだよ」


「確かに、刺激的な出会いよね」


 ハンナは、自分の賢者能力アビリティーを使い、動く事なく銃弾を処理する。彼女の能力はバリアであり、どんな攻撃も軌道を変える事ができるのだ。彼女が動き回らなくても銃弾を避けられる事を知ったレッドラムは、対処法を考え始めた。


「撃たれるって知らないあなたの顔がとてもクールだったんだもん。私の銃弾で、あなたに私の存在を気付いて欲しかったの♡」


「何、ターゲットを変えた!?」


 レッドラムは、今度はカステラをハンナの近くに誘導させるように撃つ。カステラとハンナがぶつかり合い、ハンナの集中力が分散されていた。


「なによ、アイツ。ターゲットが定まらないのかしら?」


「次の標準はどこにする? デートスポットを決めるようで、ちょっと楽しいね」


「こっちは楽しくないのよ!」


 ハンナは、バリア能力を応用して、空中を飛ぼうとする。それを阻むかのように、レッドラムは頭を狙い始めた。


「頭? 頭? 痛みもなく、あなたの脳を直接ぶち抜いて、すぐに逝かせてあげるよ! 印象は強烈!」


「ちっ、空中への攻撃を警戒しているようね。危なかったわ!」


 ハンナは、レッドラムの狙撃を警戒して、足へのバリアを解除して、頭の方をガードする。それにより、空中への攻撃を中断させていた。そして、次はロバートに狙いを定める。彼は、ダイアナを守りながら戦っていた。


「心臓? 心臓? あなたのハートを貫いて、絶対的な恋愛を教えてあげるね! 私しか、愛する事ができないってね!」


「ふっ、私のハートは、ダイアナ様にしか貫けません。あんな少女など、アプローチされようとも、魅力的に感じる事は……。うっ、ちょっとダイアナ様に似ている!?」


 ロバートは、レッドラムを遠目から見て、ダイアナと似た雰囲気を持つ事を感じていた。確かに、どちらも分析能力に長けており、目も非常に良い。だが、その邪悪さは、ダイアナでさえも持っていないほどだった。


「腹部? 腹部? 大切なあなたと私の愛する(デート)時間タイム、すぐに終わらせちゃうのはつまらないよね♡ カラオケにでも行って、あなたの素敵なシャウトを聞いてみたいな。きっと私の心にもビートが響くから」


「くう、今度は私に攻撃を戻して来た」


 ハンナが状況を見ながら銃弾を避けていると、自分達が一箇所に集められているような気がして来た。その事を裏付けるかのごとく、ダイアナが脅威を感じ取って叫ぶように指示を出す。しかし、無情な恐るべき刃が、ハンナとダイアナ達に迫ろうとしていた。


「みんな、早くこの場所から逃げ……」


「スコープ越しの刹那に出会う一期一会の機会。最後は、私のキュートな笑顔で逝かせてあげるわ。バイバイ、マイダーリン♡」


 レッドラムのライフルの1発により、部屋の天井にある巨大なシャンデリアが降って来た。その下には、ハンナとダイアナ、カステラとロバートがいる。巨大なシャンデリアでは、ハンナのバリアでも避ける事も受け止める事もできない。


「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 ガッシャンというガラスが割れる音が聞こえる。それと共に、ハンナのけたたましい叫び声が上がっていた。ハンナとダイアナは無事だったが、カステラとロバートが巨大なドラゴンに変化して、跪くような形でシャンデリアを受け止めていた。


「ダイアナ様、お怪我はありませんか?」


「ロバート、それにカステラちゃんも……」


 ロバートとカステラは、シャンデリアを彼女達に怪我がないように地面に下ろす。すでにかなりのダメージを喰らっており、フラフラの状態になっていた。賢者タイムに入り、人間姿のまま、床に倒れ込んだ。レッドラムがはしゃぐように笑う。


「あはははははは、王妃様とお姫様に跪いて守るなんてナイトの極みだね。でも、肝心の王妃様とお姫様も私の攻撃を避ける事も受け止める事もできない。チェックメイトだよ!」


 レッドラムは、ダイアナとハンナに対しても攻略法を考え出していた。彼女達が戦闘を継続して来ても勝てる自信と対応策ができていた。


(六神通の眼力も、彼女の体自身が対応できなければ脅威ではなく、自らの死ぬ瞬間を知るだけだし、バリアを張れる女の子も賢者タイムまで銃弾を浴びせかければ対応できない。まあ、今の放心状態では、私の考案した対抗策も意味なくなってるけどね……)


 レッドラムは、呆然とするダイアナとハンナに標準を合わせる。ライフルの引き金を引いて2人を射殺しようとしていた。ダイアナもハンナも、腰を抜かしている。2人には、もう避けるだけの体力も気力も残っていなかった。

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