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第83話 ジャック、完全消滅!?

 本来は恋の歌であろうが、真火流まひるとジャックが歌っていると、変態の歌に聞こえる。その歌声を聴き、女性陣はドン引きしていた。赤馬あかば凛子りんすもトリハダを感じながら、真火流まひるを応援する。一瞬だが、彼と目が合っていた。


「その目、その口、その体、君の全てを体で感じていたいんだぁああああああああ! 今、君を抱きしめるぅううううううう!」


「うげっ、目が合った。でも、任務遂行のためには、仕方ないよね?」


 チョロインと化した凛子りんすが、ビジネススーツの上着を脱ぎ、白いシャツから黒いブラジャーを透けさしていた。黒い下着は、上に着る服によっては透けてしまうので注意が必要だ。だが、今の真火流まひるにとっては、絶大な効果を発揮させていた。


「ジャック、神は一途な愛には応援してくれると信じている。女の子を取っ替え引っ替えするような男は、誰の目から見ても悪いと感じる。


 お前は、その点では立派な男だと思うよ。だが、賢者協会のボスという邪悪な男を許すわけにはいかない。そいつを守るというのならば、私はお前の命を容赦無く断つ!」


「ふん、きさまの弱点は、意外と理想的な神父を追い求めているという事だ。邪悪は許せないが、完全に悪を行っている者でなければ容赦してしまうという弱点がある。死闘においては、それが生死を分ける事もあるのだ!」


 ジャックは話している内に特大の火炎を放つ。炎だけでなく、風も含んだ恐るべき威力の火球だ。最強レベルの賢者が放つ火球の3倍以上の威力を持っていた。15メートル級の最大火炎が真火流まひるを襲う。ジャックの不意打ちに、ハンナがドン引きしていた。


「ああ、相手が格好良いセリフを言っているのに容赦なく撃った! しかも、避けられないくらいの超弩級の火球だ!」


「くっくっく、生身の状態なら焼死する。炎の体になって耐えようとするなら、火球と一緒に体も吹っ飛ばされて強制賢者タイムに入る。そうなれば、空中でただの人間になった賢者などドラゴンの一撃で殺せる。『バックドラフトキャノン』でチェックメイトだ!」


 ジャックは、ほぼ勝利を確信していた。この状況で対抗するには、ジャックよりも強い技を繰り出すしかない。それが出来なければ、真火流まひるの負けが確定する。超弩級の火球を前にしては、ジェット推進で逃げる事さえ難しいのだ。


「ジャック、本気で来てくれて嬉しいぞ。故に、全力で君を倒すことが出来る!」


 真火流まひるは、火と土属性を合わせた『隕石メテオ直撃ストライク』を放つ。威力は、ジャックの火球の3分の2くらいの威力だが、石がジェット噴射で突き抜けるように、ジャックの放った火球を貫いて行く。


「なるほど、一点突破というやつか。これなら、火球に穴を空けることで、攻撃を防ぐ事ができる。ならば、今度は、そこの穴だけを攻撃すれば終わる。どっちにしてもチェックメイトだよ!」


「それはどうかな?」


 ジャックの超弩級の火球に、真火流まひるの隕石が突っ込むと、隕石の後方で爆発が起こり、ジェット推進のような加速が起こる。隕石の後方に水が仕込んであり、超高温に当たる事で水蒸気爆発を起こしていた。


「ふふ、お前の火球は3倍だろうが、私の攻撃は2段ロケットになっている。これなら、火球の攻撃を突き抜けて攻撃できる」


 急な加速によって、ジャックは対応でき難くなっている。


「くうっ、強過ぎる! 対応ができない! 普通の賢者ならば、絶望的な状況だろうな。だが、僕には通用しないよ!」


 普通の賢者ならば、隕石の直撃を受けるだろうが、ジャックには対応できる経験が豊富にある。高速で隕石を破壊する事も可能だった。小型の火球でなんとか隕石を破壊して攻撃を免れていた。


「しっ、しまった!」


 ジャックは、高速で火球を吐き出したが、隕石を砕いた瞬間に焦り出していた。


「ふふ、気付いたようだね。だけど、遅い!」


 隕石の陰に隠れて、真火流まひるがピッタリと後ろにくっ付いていた。ジャックの火球攻撃が強ければ勝負は決まっていただろうが、丁度隕石を破壊できる程度の威力に抑えられていた。


「くう、なんて強いんだ。僕の攻撃力まで考えて、接近されるとは……」


「ふふ、チェックメイト、終わりだよ!」


 真火流まひるは、ジャックの目の前に接近して、恐るべき攻撃を繰り出した。眩い光によって、ハンナ達は目を伏せる。それほどまでの激しい光攻撃だった。


「『核爆弾ニュークリアボム』!」


 真火流まひるの攻撃は、火球を超える更なる威力を秘めていた。核爆弾までの威力を秘めており、生物には危険な放射能まで帯びている。ジャックのドラゴンでさえも、死に追い詰める恐るべき光源となっていた。


「この攻撃、私にもダメージを与えますが、あなたを倒すには、このくらいの犠牲は覚悟の上ですよ。ジャックがどんな生物に変化しようが、確実に息の根を止めてやる!」


 光が消えて、ハンナが空を確認できるようになると、ジャックの姿はどこにも無くなっていた。空には、真火流まひるただ1人だけが飛んでいた。


「ジャック、どこに消えたの!?」


「死んだよ。あの技を喰らっては、どんな生物も死滅するしかない。そういう技だからね」


 赤馬あかば凛子りんすがそう説明すると、ハンナの目から涙が流れ出る。数万度の熱によって、ジャックは消し飛んだのだ。完全なるジャック対策により、真火流まひるの勝利が決まったように思われた。

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