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『賢者タイム』という科学的過ぎる魔法制限 〜賢者魔法のご利用は計画的に〜  作者: ぷれみあむ猫パンチ
第2章 『3つの(トリプル)王冠(クラウン)』の絆(きずな)
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第38話 心眼のアリッサVS六神通のダイアナ

 私達がプールサイドに集まる前に、ジャックとグロリアスが話し始めた。私達が遊園地に行けないようにした張本人は、この2人だったのだ。


「遊園地が偶然メンテナンス中とは、ローレンとハンナも付いていないな……。まあ、温水プールがあって助かったが……」


「くっくっく、偶然などではないぞ。お前の話を聞き、ローレンちゃんとハンナちゃんの水着が見れると確信したのだ。その為、時期をズラして、この日に遊園地のメンテナンスをする事にしたのだ。ああ、自分の才能が怖い!」


「まあ、こちらとしても助かった。ローレンがプール内でのヒントを見付けて、水属性の能力を開発してくれれば良いが……。それに、ジャックもいるから安心だ」


「その通りだとも! ふふ、ハンナちゃんやローレンちゃんが溺れた時には、僕が2人を人工呼吸してあげるよ。いくらでも溺れてくれて構わない。いつでも、僕が2人を助けてあげよう!」


 ジャックはリップを塗り、人工呼吸の準備をしていた。水泳帽子を被り、ゴーグルをセットしている。まるで水泳選手のような引き締まった体付きをしていた。ちょっとでも溺れようものなら、私達のファーストキスが奪われてしまうかもしれない。


「やっぱ、ちょっと不安が……」


 グロリアスが私達の脅威を感じ始めていると、ハンナも脱衣所で恐怖を感じていた。この壁を越えたプールサイドには、かつて味わったこともない程の怪物が待ち構えているのだ。私だけは、恐怖を感じてはいなかった。


「どうしたの?」


「いや、ちょっと悪寒がしただけ……。多分大丈夫だけど……」


「大丈夫なら、早く泳ぎに行こうよ! といっても、泳ぎ方も良く分からないけど……」


「うん! 少しなら、私も泳ぎ方を教えられるから……」


 こうして、私とハンナは、仲良く手を繋いでプールサイドに出て行く。ジャックが匂いを嗅ぎ、私達が出てくるのをいち早く嗅ぎ付けていた。壁があろうが、水の中だろうが居場所をすぐに見付けられる迷惑極まりない能力を発揮していた。


「うおおおおおお、ハンナちゃん可愛すぎる! このままお持ち帰りしたいくらいだよ……」


 ハンナは、薄い緑色の水着を着こなしていた。確かに、褐色の肌とマッチして、女の子の私でも可愛く感じる。健康的な体が、スポーツ万能である事を示していた。身体を訓練していることにより、彼女もアスリート並みの体付きをしているのだ。


 しかし、私と同い年にしては発育が良過ぎる。Dカップはあろうオッパイは、水泳では邪魔になるであろう。良い体付きの体格が仇となり、きっとスピードを上げる妨げとなるはずだ。私は、自分の体型と比べて、そう感じていた。


 私の体格はAカップ程度であり、体の凹凸も少ない。青いワンピース姿の水着を着ているが、完全に子供の体型だった。ジャックは大して感想も述べる事はない。クッソ、美女になって見返してやる。私の中に、なんか闘志が沸き立っていた。


 私がジャックとハンナに気を取られていると、背後から歓声が上がる。何事かと驚いていると、Eカップの巨乳を持つアリッサが姿を現していた。ピンク色のビキニを身にまとい、ゆさゆさとオッパイを揺らす。


 あんな男を悩殺する凶器を身に付けていては、水泳では速いわけはない。私は、彼女にも闘志を燃やし出していた。水泳経験はないが、習えば私の方が速いと確信する。凹凸のないスレンダーな体が、私の武器なんだと言い聞かせていた。


 アリッサは、当然のようにグロリアスの隣に座る。座る衝撃でオッパイが揺れて、プールサイドの男達の視線を一気に集めていた。ジャック以外のほぼ全ての男が、彼女のオッパイに釘付けになった。


 賢者能力じゃなくても、一定時間男性の動きを止めるという恐るべき能力が発動していた。当然、間近にいるグロリアスには効果抜群だった。彼女に見惚れて、しばらく身動きさえも取れないでいた。


「グロリアス、どうしたの? ボーッとして、大丈夫?」


「いや、何でもないよ。良い女の子だと思ってね」


 グロリアスが正直にアリッサを褒めると、彼の背後から更なる凶器を隠し持った暗殺者が出現した。Cカップのオッパイを持つダイアナ・フィリップが、グロリアスの背中にオッパイを押し付けて抱きついて来た。


「あらん、そんな巨乳と若さしかない女の子より、経験とテクニックを持つ私の方が良い女よ。ほら、触れてみれば、私の体の方が良いと判断できるでしょう?」


 彼は、完全に油断していただけに、衝撃も半端ではない。ドロリと鼻から血が流れ落ちていた。アリッサとは接触しなかったのでなんとか耐えられたようだが、ダイアナの不意打ちによって血が流れていた。耳にも息を吹きかけ、彼を悩殺しようとする。


「ダイアナ!?」


「うふふふ、気が付いた? 昔は恋人同士としてラブラブだった時もあったのに、今では仕事で会えなくて寂しい……」


「お前の仕事が忙しくて、なかなか会えないだけじゃないか。それに、恋人同士だった記憶は全然なかったが……」


「ああん、私を騙したのね。酷い……」


 ダイアナは、茶髪のセミロングをした美女だった。見た目は若く、二十代前半に見える。彼女は医学の知識を学んでおり、六神通の賢者能力を駆使して、体を若い状態に保っているのだ。肌もスタイルもアリッサと同じくらいに可愛いだろう。


 初めて見る強敵を前に、アリッサが焦りを感じていた。グロリアスの周りには、自分に匹敵するような女の子はいないとタカを括っていたが、髪の毛サラサラのCカップを持つ美女が彼氏に近付いて来たのだ。


 しかも、オッパイを背中に押し付けるという積極的な誘惑だ。競泳用の水着を着ているが、そのスレンダーなスタイルが引き締まってより美しく見える。ムッチリとした太ももが、彼女の運動神経の良さをアピールしていた。


「ちょっと、グロリアスから離れなさいよ!」


 ダイアナは、アリッサに腕を掴まれ、ムリやり彼から引き離された。表情がムッとなり、ちょっと怒った顔になる。彼女は、自分より年下で、いつも一緒にいるアリッサを気に食わないといった表情だ。情報だけならアリッサの事を知っているらしい。


「ふーん、私と同じ超能力者タイプの『心眼』のアリッサさんね。丁度良いわ、どちらが上か確かめてみたかったのよ。私、超強くて相手になる人がいないから、あなたのような引き篭もりじゃないと競争さえもしてくれないのよね」


「ああん、やる気? 相手になって差し上げるわよ!」


「ふふ、あなたのショボい『賢者能力アビリティ』を知っておくのも仕事のうちよ。プールサイドにいる事だし、水泳で勝負しない? 泳ぎが苦手でなければ、50メートル自由形で勝負と行こうかしら?」


「ふん、返り討ちにして差し上げるわ!」


 こうして、アリッサとダイアナの水泳対決が始まった。グロリアスは意識が遠のきかけていたが、2人が離れて行ったのでなんとか意識を保つ。アリッサも、ダイアナも、彼にとっては魅力的で刺激的だった。


「はあ、はあ、はあ、もう少しでゲームオーバーだった。やはり女の子は苦手だ……。食事までならなんとか大丈夫なんだが……」


 そう言いながらも、2人のことが気になっていた。彼女達の勝負を見守って、どちらが有利な状況であるかを分析する。アリッサは、体を相当鍛えている。心を読む『心眼』という能力は、相手よりも身体的能力が有利だからこそ脅威となるのだ。


 普通の女の子の体で、凶暴な男性と戦った場合、たとえ心が読めても力や身体能力で圧倒されてしまう。その為、彼女は重点的に人よりも体を鍛えていた。身体的な実力だけで言えば、泳ぎはアリッサの方が上である。


 だが、ダイアナには『六神通』という物の動きや流れなどを完璧に見極める眼が備わっている。更に、彼女もアリッサには及ばないものの、相当体を鍛えていた。勝負はどちらが勝ってもおかしくない状況だった。


「これは、俺にも予測ができん。超接戦になる可能性が高い!」


 勝負してみなければ、アリッサとダイアナのどちらが上なのかも分からない。グロリアスは、静かに勝負を見守っていようと思っていた。

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