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『賢者タイム』という科学的過ぎる魔法制限 〜賢者魔法のご利用は計画的に〜  作者: ぷれみあむ猫パンチ
第2章 『3つの(トリプル)王冠(クラウン)』の絆(きずな)
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第31話 夜のショッピングモールに忍び寄る恐怖

 私とハンナは、無人となったショッピングモールを回り始めていた。1時間前までは賑やかだった場所も、従業員がいなくなると途端に怖い場所に変わる。秘書室からマスターキーを貰い、順番にショッピングモールを歩いていく。


 回数は10階まであり、ここの店に入る必要はないが、通路を全て確認しなければならない。レストランや商店は、シャッターが降りていて、中を確認する事はできるが、通り抜ける事はできなくなっていた。


「秘書室は分かり易い場所で良かったわ。後は、このくらい通路を順番に通り抜けるだけなんだけど……。暗いとやっぱり怖いわね。お化けとかは信じてないけど、怪しい人物がいるかもしれないし……。ローレンのライトが頼りなんだから、しっかりと照らしてよね?」


「うん、分かってるけど……。なんで、私の魔法技術マジックスキルに合った仕様に改造されているんだろう? 常に電気を発生させていないと、明かりが消えちゃうよ……」


「一応、充電されているみたいだけどね。賢者タイムになって、明かりが付かなかったら大変だし……。そういう意味では、あんた無限賢者に近いのかもね。電気を充電さえしていれば、賢者タイムに陥ってもある程度は武器を使えるわけだし……。


 このライトも、ちょっと変わっているけど、ちゃんと武器の形になっているわ。ちょっと形が変だから気になったけど、スタンガンに変化するんじゃない? ちょっと弄ってみなさいよ……」


「スタンガンって、何? 拳銃なの?」


「ああ、知らないのね。殺傷能力を抑えた電気ショックを与える武器よ。高電圧が発生して、敵に接触させる事でダメージを与えつつ、行動不能にさせるの。電気ショックを浴びせるだけだから、気絶するかどうかは分からないけどね。


 後は、電気が発生する金属製の弾を発射させて、遠距離から電気ショックを与える物もあるみたい。これ、多分高性能だから、どちらもできるように改造されているんじゃないかしら? 子供が扱うには、ちょっと危険な武器よね?」


「あっ、本当だ。なんか変化して武器になった!」


「危険だから、必要がある時だけ使いなさい。今は、ライトだけで充分よ!」


 銃型の武器に変化させると、高電圧の電気が発生して、バチバチと音を出していた。雷が発生しているようで、綺麗な光に見惚れる。ハンナの警告を聞き、すぐにライトの形状に戻しておいた。


「あの秘書、ちょっと気に食わないわね。何か、企んでいる感じがする。私達のことを観察するようにじっくりと見てきたし……」


「美人だったよね! 良い匂いもしたし、優しそうな感じだった。将来は、あんな感じの大人になりたいな!」


「まあ、美人で服のセンスが良い事は認めるけど……」


 私とハンナが話していると、遠くの方で物音が聞こえた。どうやら、何者かがいて、不注意で何かを倒したような音だった。私とハンナは、音のする方向に注目する。


 お客さんがまだ残っているだけかもしれないし、従業員が作業している可能性もある。音がした原因を探る必要が出てきた。


「うう、暗くて怖いのに、変な人と遭遇するのはやだよ」


「そうは言っても、確認して見ないことには……。大方、大したことのない理由かもしれないし……。


 私は、格闘スキルもあるから、怪しい人物がいた場合でも倒すことができるとは思うわ。不意打ちを喰らわない限り、こっちが有利だから安心しなさい」


「うう、そうは言っても怖いよ……」


「ゆっくりと辺りを確認して、警戒していなさい。そろそろ、音がした場所に近付いているわよ」


 私達が近付いていくが、音はしない。その代わり、ハンナが謎の気配に気付いていた。どうやら居場所を察知する能力もあるらしい。一気に気配のする方に近付いて行く。格闘センスと自分の魔法技術マジックスキルが分かっているからこそ、できる芸当だった。


「そこになんかいる!」


 怪しい影は、高速で彼女から逃げる。素早い動きだったが、彼女も速い。床を蹴る力と彼女の魔法が合わさり、高速で動けるようだ。まるでバネでも付いているかの如く、跳躍していた。直線距離で素早く追っていき、早くも謎の生物を追い詰めていた。


「ふう、ちょっと手こずったけど、なんとか角に追い詰めたわ。ローレン、ライトでコイツを照らして。私が一気に捉えるから……」


「うん……」


 私は、彼女に言われた通り、謎の生物にライトを向けた。一瞬だけだが、ヒョウのような巨大な猫が姿を見せていた。私がライトを向けると、その生物は一気に私の方に突進して来た。直撃を受ければ、私でも吹っ飛ばされるくらいの大きさだ。


「うわぁ、向かって来た!」


「怖がらないで。スタンガンで感電させるのよ!」


「そっか!」


 私は、素早くライトからスタンガンに切り替える。バチバチという音と共に、謎の生物を攻撃した。ギャンという鳴き声が響いて、謎の生物は気絶していた。動かなくなったのを確認すると、ライトを当てて姿を見る。


「あれ、思っていたより小さい。子猫みたい……」


「どうやら、ペットショップから逃げ出した猫みたいね。暗闇で怯えていたんだわ。とりあえず、ホテルまで連れて行って世話しましょう。一応、ペット用のカゴも持っていきましょうか?」


「うん、怪我してないと良いけど……。思いっ切りスタンガンを当てちゃった。こうして見ると、可愛いね」


「とりあえず、私が抱いておくわ。気が付いても、逃がさない自信があるからね。なんだったら、私の家で飼おうかしら?」


「うー、私の部屋でも飼いたいよ……」


 こうして、私達は、ショッピングモールの見回りを続けた。その猫以外には変わった様子はなく、猫もずっと大人しいままだった。私は、猫が死んじゃったのではないかと心配するが、心臓も動いており生きているようだった。


「うーん、綺麗だから衰弱している様子もないけど……。きっと疲れて寝てるだけだわ。しばらく抱いたまま寝かせてあげましょう。それなら、起きても暴れたりしないと思うし……」


「うわぁ、ハンナちゃんのオッパイに包まれて気持ち良さそう……。私もそのくらいあったら良いのに……」


「ちょっと成長し過ぎかな……。肩凝りやすいのよね。たぶん、格闘技とかを習って体を鍛えているから、他の子達よりも成長しているだけだと思うけど……」


「ちょっと触って良い?」


「ダメ! 猫なら触っても良いけど……」


「えー、じゃあ、猫さんを触るよ……」


 私は、膨よかなハンナの胸を見ながら、猫を撫でる。猫の頭がスッポリとオッパイの間に挟まれ、彼女が巨乳である事を確認していた。触りたい衝動を抑えて、ひたすら猫を撫でる。撫でる毎に、彼女のオッパイがポヨンと揺れていた。


「はう、揺れている……」


「ちょっとお触り厳禁だからね! 今、私のオッパイに触れて良いのは、猫ちゃんだけなんだから……」


 ハンナは、ずっと猫を抱いたまま、ショッピングモールの警備を続けていた。粗方見回りを終え、秘書室へ戻る。鍵を返せば、今日の仕事は終わりなのだ。


「ふう、なんとか見回りました。1匹猫が脱走していましたが、それ以外は問題ありませんでした」


「そう、ありがとう。その猫、気に入ったのなら持って帰って良いわよ。後、そのスタンガン付きライトもね。何かに役立ててくれたら嬉しいわ」


「はあ、ありがとうございます。じゃあ、猫とライトは貰っていきますね!」


 2人は、なんの疑いもなく、猫とライトを持って帰る。私達が帰るのを見守り、ダイアナと呼ばれる秘書が笑っていた。


「さて、本番はここからよ。あなた達、生きて、グロリアスのところまで辿り着けるかしら?」


 不気味な笑いが薄暗いショッピングモールの一室で響いていた。

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