第１０５話 ウサミミキマイラの実力
ハンナとウサミミ姿をしたキマイラが戦闘を開始していた。接近戦タイプのハンナと、同じく接近戦タイプのウサミミが戦い、他のメンバーは様子を見ながらサポートする作戦のようだ。２人のオッパイはほぼ互角、激しい接戦になる事が予想された。
「ふん、死なない程度に甚振ってあげるわ！ 上級賢者にはまだ敵わないけど、同級生同士の戦いなら絶対に負けないんだから！」
「それはこっちのセリフ。賢者能力とキマイラの力を合成した私の実力、負けるわけにはいかないの。死んで！」
ウサミミとハンナのバトルスタイルは同じだった。２人とも空中を飛んで接近戦に持ち込む戦い方だ。接近戦でもカウンター攻撃を喰らわない、超絶反射神経と防御力を兼ね備えた高速の戦いだ。
直線的な攻撃スタイル同士がぶつかっているが、どちらもダメージを受けていない。ハンナはバリアーで自分を守っているが、ウサミミは自分の耳を鉄の凶器に変えて切り裂くスタイルのようだ。その力を持った２人が空中で激しくぶつかり合っていた。
「どんな賢者能力か知らないけど、私も勉強なら力を入れているわ。キマイラタイプは、賢者能力と変化能力を併用できるけど、ある程度弱点がある。まず、賢者能力は超能力者タイプに絞られるはずよ。ウサミミの賢者能力は、念動力といったところかしら？」
「ちっ、ご名答。私の賢者能力は、サイコキネシスよ。だけど、分かったからといって対応できるとでもいうのかしら？ スピードは互角だけど、トリッキーな攻撃ができるのはこっちの方なのよ！」
ウサミミは、ハンナの攻撃と動きに合わせるように変化を繰り返す。ウサミミが鋭い刃に変わるばかりか、自分の体を鉄に変えて体当たりを多用してきた。ハンナがいくらバリアーで自分を守っても、バリアーを超えたダメージを受けたらヤバイのだ。
「くう、バリアー対策もバッチリされてる！？ たしかに、攻撃の面が増えれば、私自身が踏ん張らないと衝撃は吸収し切れないからね。その上、バリアーのしにくいナイフ攻撃、これはヤバイかもね……」
「死んで！」
ハンナは、ウサミミに押され始めていた。彼女には、ウサミミを倒す決定的な方法はない。バリアーを併用した特攻攻撃でも、ウサミミの鉄のボディーには太刀打ちできないのだ。次第に、ハンナの体に傷ができ始めてきていた。
「つっ、コイツ、強い！」
「バニーガール姿だからといって舐めてもらっては困るわ。こっちは、このスタイルで戦い抜くと覚悟を決めたんだから。この勝負、私が絶対に勝たせてもらう。あなたの命を奪ってね……」
ウサミミの鋭い刃が、ハンナの体を切り裂こうとしていた。ハンナが動く事で激しく揺れる彼女のオッパイ、それが脅威に晒されているのだ。ハンナも黙ってやられるほど弱くはない。なんらかの突破口を考え付いているようだ。
「やはりトドメは、ウサミミによるナイフ攻撃か。あなた、攻撃は正直過ぎるのが欠点よ」
「何を……」
ハンナは、迫り来るウサミミのナイフに向かって、瓦礫を投げ付けた。バリアー能力によって、瓦礫が高速でウサミミの方に向かって行く。ウサミミは、反射的に自分を守って、瓦礫を真っ二つに切り裂いていた。
「このお！」
「うふふ、ほら、動きが限定された。これであなたを捉えることができたわ♡」
ウサミミが瓦礫に気を取られた一瞬で、ハンナは彼女の背後に回り込んでいた。バリアーを使った事によって、ハンナ自身の筋肉を全く使う事なく投げ付けたのだ。その為、彼女に近付くスピードも数段速く感じられていた。
「ぐっは……。私の動きを捉えられるなんて……。悔しいけど、単独での勝負は私の負けね。だけど、チームプレイならまだ負けてない！」
「何を、負け惜しみを……」
ハンナがウサミミを捉えたと思った瞬間、ハンナの背後にイヌミミの少年が回り込んでいた。どうやらハンナの動きを読んでいたらしい。イヌミミも賢者能力とキマイラの力を併せ持った怪物だった。ハンナ１人では、到底２人を相手にする事はできない。
「ぐっは……、バカな……」
「ごめんね、ハンナちゃん。本来なら単独で君を倒したかったけど、君は強い。だから、仲間と協力し合わない今しか倒せる機会がなかったんだよ。君はたしかに強い。だけど、単独プレイが多過ぎるという弱点があるんだ。僕とウサミミの連携には敵わないよ」
イヌミミは、ハンナを手刀で気絶させる。お姫様抱っこでハンナを抱きかかえて、地面にぶつからないように支えていた。どうやらイヌミミは、ハンナを殺す気はないらしい。殺意剥き出しのウサミミをなだめて、ハンナが危害を受けないように注意していた。
「くっそ、イヌミミ、その女を殺させなさい！ 私の体に触れやがったわ！」
「やだよ、君の負けだったでしょう。僕の目的は、あくまでも彼女達の足留めで、殺す事じゃない。それに、これだけの美女なら殺すのは惜しいよ。僕が彼女と付き合ってみたいくらいさ！」
「くうう、こんな女のどこがいいんだか……。オッパイくらいしか良いところがないじゃない。イヌミミ、女の子を見る目がないわね」
「自分が負けたからって僕に怒るなよ。これからは、２人であと３人、いや２人を倒さないといけないんだからさ……」
イヌミミは、ハンナを地面に降ろす。ダンジョンの部屋内の隅に、彼女の体を横たえる。寝心地の良いマットが敷いてあり、あらかじめそこに寝かせるように設置してある事が見て取れた。
どうやらイヌミミには、ハンナとウサミミが戦って、ハンナが勝つところまで読んでいたらしい。そうでも無ければ、ここまでの完璧な対応はできていない。ハンナの実力まで完全に考えて対策を練っているようだった。
私とハンナが戦闘をできない状態に追い込まれていた。イヌミミとウサミミの攻撃対象がベネットとステラに移る。どうやら２対２のチーム戦となりそうな雰囲気になっていた。ベネットとステラの賢者能力も、私には判明していない。
「さてと、まずはそっちの黒髪ショートの女を殺そうかしら。そこのピンク色のお嬢様は、イヌミミに譲ってあげる。好みでしょう、そういうタイプの美少女が……」
「ウサミミ、待て……」
ウサミミは、一気にステラを斬り殺そうと突っ込もうとしていた。すると、突然に彼女の足が止まる。彼女の足は素足だったが、地面に張り付いたように足だけが動かない。ウサミミの高速の動きが止まり、ただのバニーガールとなった少女が突っ立ていた。
「くう、足が全く動かない……」
「あんまり動くと、皮膚がベリッと行くわよ♡ これが、私の賢者能力なんだから」
ステラは、どうやらウサミミとハンナが戦っている時に罠を仕掛けていたようだ。その賢者能力を使った罠が発動して、ウサミミはセクシーなだけの女の子と化していた。動きの取れない彼女ならば、傷付いた私の動きでも余裕で近付ける。
「うわぁ、バニーガールちゃんだ。オッパイもそこそこある、可愛い♡」
「いやあ、もう回復してる！ さっきまで虫の息だったはずなのに……。ああ、オッパイを揉まないで……。まだ、誰にも触られた事ないのに……」
私は、ウサミミのオッパイを思う存分に揉んだ。不思議と力が漲ってきて、いくらでも触る事ができた。やはり、可愛い女の子を目の前にして倒れてなんかいられない。私の攻撃により、ウサミミが戦意喪失していた。
「ああ、もうお嫁に行けない……」
「ウヘヘヘヘ、可愛い♡」
変態と化した私を横目に、イヌミミとステラが話を続ける。冷静にステラの能力を分析していたようだ。イヌミミの分析能力は、相当凄いらしい。おそらくなんらかの賢者能力を使っているのだろう。
「ふう、ウサミミが瞬殺されるとはね。その『ボンド』の力が君の能力かい、ステラちゃん」
「初見で看破されるとはね。イヌミミも相当凄いね。地味な力だから目立たずに邪魔者を排除できるのに……」
「地面に付けたボンドへ、ウサミミを誘導させる事で足止めをし、ローレンちゃんとかいう変態少女が回復するのを予想していたとは恐れ入ったよ。これで、ウサミミはお嫁にも行けないし、この勝負にも参加できない。予想外だったな……」
「後は、イヌミミと相性の良いベネットが勝負を決めるわ。その後は、タップリ可愛がってあげるわ。イヌのように全裸にさせてね」
「それは、怖いね。でも、君も油断し過ぎだよ。ローレンちゃんは戦いには参加できない。今、僕の動きに対応できる子はいないよ。ほら、捕まえた♡」
イヌミミは、ステラが事前に張った罠を軽々と避ける。どこに罠が張ってあるかを事前に知っているような動きだった。一瞬でステラの後ろに回り込み、手錠で彼女の手足を封じる。ステラもまた、無防備な体勢で倒れ込んでいた。
「くっそ、なんて奴なの……」
「ほらほら、喋ってる暇はないよ。ローレンちゃんは、可愛い女の子には誰でも攻撃するんだから……」
無防備に寝っ転がるステラに反応して、私は攻撃を彼女に加えようとしていた。ダンジョンに入る前に失敗していた為、無防備なステラのオッパイに激しく反応していた。飢えた狼のように、私はステラに飛び付こうとしていた。
「いや、ローレン、今ウサミミの胸を思う存分揉んだでしょう？ もう、満足したんじゃないの？ 私ね、ちっぱいだからそんなに期待されても困っちゃうな……。ねえ、見逃してくれないかな？」
「ぐるるるるる……」
ステラの必死の言葉も、今の私には聞こえていない。ただ、オッパイを揉むだけのケダモノと化していた。ここで攻撃を止める私ではない。イヌミミは、自分は安全圏にいる事を知って、ステラに絶望を与えようとしていた。
「はっはっは、どうやらもう言葉も分からないようだ。仲間にやられるなら本望だろう。仲良くレズりなよ……。せいぜいオッパイ止まりだろうからさ……」
「いや、いやああああああああ！」
ステラの華奢な体とオッパイに、私はしがみ付く。ちっぱいだろうが、優しく揉んで堪能させてもらった。オッパイ自体は小さいが、それでも男を魅了するだけの素晴らしい体付きをしている。私は満足して、理性を取り戻していた。
「はっ、私はいったい何をしていたんだ？」
「いや、あなた、私の親友を戦闘不能にさせておいて、その言い方はないんじゃない？ 全く、敵と相打ちになったようなものだから良いものの、ステラがウサミミを捉えてなかったら２対１になっていたわよ。あなたは休んでいなさい。コイツは、私が倒す！」
私が前方を見ると、イヌミミが戦闘態勢を取って、ベネットと睨み合っていた。そして、私の後ろでは、ウサミミとステラがトロリとした目をして横たわっていた。どうやら何者かにオッパイを激しく揉まれたらしい。２人とも可愛い表情をしていた。
「はん、ローレン、揉み過ぎ……」
「うう、酷いよ、酷いよ……」
私は、とりあえず倒れている２人は無視して、ベネットに協力する事にした。イヌミミの表情と態度を見る限り、かなりの強者のようだ。さすがのベネットも苦戦するだろうと予想する。ハンナを一瞬で気絶させた奴らしい。油断していたら全滅もあり得るだろう。
