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夢と記憶
夢をみた。
森でのあの記憶。
全部一緒。
___たった1つを除いては。
『お兄ちゃんの名前は?』
『僕?僕はね、竜桜だよ』
『タツザクラ?じゃあ、お兄ちゃんはあたしと一緒だね!あたし、達座倉 ゆか!』
『そうか…君、だったのか…』
『え?なんて?』
ガバリと飛び起きた。
ハァハァと肩で息をする。
すると、いきなり声が聞こえた。
いや、違う。
頭に響く感じ。
"きっと全て思い出すよ、そのうちにね"
「だ、誰…!」
言ってみたものの、既に「声」は余韻すらも残さず、消え失せていた。
お母さんが一階から叫んだようだ。
「ゆかぁ!漣くんが来てくれたわよー!早く降りてらっしゃい!」
…漣?
なんで休みの日なんかに寝坊助のあいつが…。
「分かったー!今降りるからちょっと待っててー!」
パジャマから私服に着替える。
その間もあの声のことを考えていた。
どこかで聞いたことのあるような気がするのはどうしてだろう?