夏休み 第1日目!
ざわっ
風が吹いても夏じゃ全然涼しくない。
というかむしろ暑い。
寒かったり暑かったりする冬や夏とは大違いの春が私は好き。
少し古くなった制カバンを担ぎ直し、服の下に忍ばせているペンダントにそっと触れ、お隣さんで幼馴染の清水漣の家のピンポンをおす。
これはもはや習慣。
「れぇーん!」
叫ぶとガラッと二階の窓があいて「朝っぱらからうっせぇよ!」としかめっ面の漣の顔が出てきた。
これも、習慣。
「だったら早くして!」
10分後、やっと支度を終えた漣が出てくる。
「さ、早く学校行こ!どやされる!」
「あ、ちょ、おい、引っ張んな!おい、聞いてんのか!?ゆか!!」
学校に着く。
教室の自分の席に座ると
「ゆかぁ~、見てたぞぉ~?」
と私の親友の紫乃が机にやって来た。
「スポーツバカのくせにイチャイチャしやがって~!」
「別にスポーツバカとイチャイチャは関係ないでしょ!あとイチャイチャって言わない!!」
「普通逆だろ、その場合。言ってることの順番が無茶苦茶だな」
「う、うるさいな!」
漣のやつめ。
さっき引きずったこと、まだ根にもってるな!?
まぁ、いいんだけどね。
「すいませーん、もうすぐ終業式が始まるので講堂に移動してくださーい」
「行く?」
「行こっか!」
「だな」
☆☆終業式終了☆☆
つまらんつまらん終業式をやっとの思いで乗り越えた!
つまり!
待ちに待った夏休みなのだッ!
こんだけテンションがあがりまくっている訳がお分かりいただけただろうか!
さて、遊びに行く…
「行くのか?ゆか」
…前に。
私は今年、夏休みが始まる前に"森"へ行く、と漣に言っていた。