10/20
この子の名前は…。
お父さんらしき人は「ま、頑張れよ~」と気楽に言ってまた帰っていった。
すると、後ろから「君、誰?」と聞こえた。
「え?」
振り向くと、小さな男の子がこちらを木の陰から見ていた。
「あ、や、君、初めて会う子だなぁ…って…」
当たり前よ、今日初めて来たんだもの、と言いたいのをぐっとこらえ、
「そういえば、そうね。私、ユカっていうの」
と言った。
「ユカか…。分かった!ねぇ、どうしてユカはここに居るの?」
巫女になるため…よね?
「巫女さんになるのに選ばれたみたいなの…」
男の子は、「巫女?あぁ、そっか。前の人は居なくなっちゃったんだっけ」と呟いた。
「じゃあ、お姉さん、この森のこと、分かんないんじゃない?ここ、よく分かんなかったら崖とかに落ちて死んじゃうよ」
「そ、そうなの?」
こくりと男の子は頷いた。
あれ、でもここ、崖なんてあったっけ?
まぁ、この子が言ってるんだからそうなんだろう。
「ねぇ、君…」
ここまで言って気がついた。
男の子の名前、聞いてない!
けれど、男の子もそれに気付いたのか、「あ、僕はね」と言ってくれた。
「僕はね、竜桜!」
タツザクラ?
え、でも、タツザクラは…!




