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内海所長と黒崎くん。  作者: R884
4/18

カブトムシよりクワガタが好き

4.未知との遭遇


プシューと気が抜ける音とともにカブトムシ(仮)の足が畳まれて仁王立ちの女性が立ってる胴体が潰れたように地面まで降ろされる。大きさ以外どう見ても潰された虫にしか見えない。

虫女(仮)がヒョイと軽いステップで降りてくると白衣のお姉さんに駆け寄っていく。


「所長!!テストの途中で何フラフラしてるんですか!

今日はライトガスガンの実弾も使うから本部テントでじっとしてて下さいって言いましたよね!!」

まったく、GPS付けてるからすぐに場所はわかりますけど流れ弾だってありえるんですよ!」


なんかすごい剣幕で女の人が内海さんに詰め寄って肩を掴んで揺らしている。ベリーショートのボーイッシュな自衛隊員みたいな格好の女の人、身長高いな、俺より有るかも?

どうやら知り合いらしいな。テストってなんだ?


「ちょ、ちょっと待て香織ちゃん。ストップ、ストップそれ以上べらべら喋るな」

「なんですって!所長いきなりいなく…」


「ん、ところで所長、後ろにいる青年は?」


「あっ、どうも黒崎です」


やっと目が合ったので挨拶をしてみる。


「あっ、どうも自分は陸上自衛隊松本駐屯地所属、魚谷香織うおたにかおり 一等陸曹であります!」

「あほかーっ!!!なにあっさり身分バラしてるんだ!!」


内海さんが魚谷さんに両手をあげて激オコだ。ピョンピョン跳ねる姿がちょっとかわいいなとのんびり思っていたら俺の方に振り向いた。ちょっと目が怖いんですけど。


「黒崎少年、質問だ。今君の目の前には何があるかね?」

「白くてでっかいカブトムシ? あっ、その角って機銃ですか!!」


「う~む。…黒崎少年、こうゆう時大人は、何もありません、何も見てませんと答えるんだよ」

「香織ちゃん、とりあえず少年を確保だ」

「え、あっハイ!」


事態についていけず呆然としていると、魚谷さんにあっという間に足を払われて地面に押さえつけられる、うわぁ!関節決められて全然動けない、本当に自衛隊の人なのか。


「あっ、やっぱり何も見てません。白い虫も自衛隊の人も見てません!」

「ちょっ〜と遅かったな。お・は・な・しが必要だ。すまんが付き合ってもらうぞ」


内海さんはスマホをポケットから取り出して通話ボタンを押した。


「……内海です。ウチのCH-47チヌークまわして下さい。ええ一曹の白蜘蛛も回収します。」


魚谷さんに後ろ手をとられながら2、3分すると前後2つのローターをヒュンヒュン鳴らしながら採石場の上空に災害救助の映像で見たことあるような大きなヘリが飛んできた。

カーキ色の機体に9番の文字が描いてある機体がフワっと静かに降りたつと後ろのハッチから白衣を着た長髪の男が降りてきた。


「内海所長、何してるんですか? テスト終わっちゃいましたよ」

「やぁ、山崎課長すまん、すまん。ちょっとトラブルがあってね」


山崎課長と呼ばれたお兄さん?はちょっとたれ目の甘いマスクをしていた。手で長髪を抑えながら俺と魚谷さんを指差し。


「まさかとは思いますが、一般の人に見られたんですか?」

「あはは、私のせいじゃないよ。香織ちゃんのせいだよ」


「えっ、私のせいなの?」


「おかしいですね。今日はここに繋がる一般道は全部封鎖してあるし、センサーも設置してるんですがね、どこから入ってこられたのか」


山崎さんと呼ばれた人がタブレットでなんか調べはじめた。道路閉鎖なんてしたあったかな?


「あっ。そういえば地蔵峠の頂上にへしゃげたゲートみたいなのありましたよ。」

「どれどれ、本当だ。このルートのセンサー死んでますね」

「おーっ、原因が判明したね。このゲート担当した者が悪い!私悪くない!仕事はきっちりやろーう!」


内海さんがパチパチと手を叩きながらニコニコ自己弁護してるとタブレットを見ていた山崎さんが冷ややかに言い放った。


「このルートの担当、内海所長ですね」

「あれ?……でもほら…ね…」


内海さん目がおもいっきり泳いでますよ。


「はぁ、原因は分かりましたけど、そこの青年にはラボに来てもらうと言うことでいいんですか?」

「黒崎君って言うんだよ。山崎課長」


う~む、これは拉致られる流れなのか、ハイエースじゃなくてヘリだけど。つまり俺は自衛隊さんの見ちゃいけない虫さんを見てしまったもんだから口封じされるかもってパターンか、内海さんのおかげで緊迫感がないから妙に冷静に考えられるな、魚谷さんに聞いてみるか。


「魚谷さん。これからどうなるんです?」

「もうしわけありませんが研究所までご同行いただけますか」


申し訳なさそうに頭を下げる魚谷さん。年上の女の人に謝られると弱いんだよな、姉貴の教育(洗脳?)の賜物だな。


「よーし!撤収するよ!白蜘蛛と少年のバイクも乗っけちゃって」


ヘリに乗せられハッチが閉められるとフワッと浮遊感がしてすごいスピードで地面が離れていく、エンジン音が全然しない。ヘリって初めて乗ったけどこんなに静かなのか?

時々飛んでるのを見かけるヘリってもっとバタバタうるさいんだけどな。違和感を感じて首を傾げていると、


「どうだ黒崎君、ウチのチヌークの乗り心地は?」


内海さんがニコニコしながら肩をバシバシ叩いてくる、距離感近いなこの人。


「なんかすっごい静かですね。初めて乗りましたけど地上からだと結構うるさいんだろうなって思ってたんですけど」

「陸自の鈍臭くて重い川崎重工のエンジン取っ払って私が設計したモーター組み込んでるからな、

もはやでっかいドローンだなワハハハ!」

「えっ? このヘリを内海さんが設計したんですか?」

「ワハハ、褒め讃えてくれていいぞ。6000馬力級タンデムローター内海スペシャルだ。静かでパワフル!ヘリの理想だな、ジェットエンジンだとうるさくて話しも出来ないしな!」


うわ、なんだかよく分かんないけどえらいハイテンションだな。

ヘリで6000馬力とか言われも凄さがピンとこないのだが、FIって何馬力だっけ?(後でわかったが6000馬力が2機搭載で合計12000馬力になるらしい化物モーターだった、ちなみに現在F1は1.5リッターのハイブリッドターボで700馬力位らしい)


「おっ、着いたぞ」


乗り込んで3分もしないうちに目的地に着いたらしい、えらい近いな。皆神山の裏に大きな穴が開いていて、そこにヘリが吸い込まれるように降りて行く。少し怖い。

穴の底に降り立つと内海さんが白衣をばたつかせながらテッテケテーと降りてクルリと振り向く。



「ナイン・エンタープライズ 極東支部、松代技術研究所へようこそ!黒崎君」


満面の笑顔でそう言う内海さんに一瞬見惚れる。


「あっ。長峰にメールしちゃだめかな?」

お読み頂きありがとうございました。続きは書きため出来たら投稿します。

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