表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

狭い世界

拝啓、空割り

作者: ごみばこ


 六月二日、金曜日。明け方、落雷の音で目を覚ます。続いて届くは雨がアスファルトを叩く音。

 僕は、自転車で通学する心配だけして再び意識を闇に預けた。


 起きなければと、目を覚ます。空を見やれば、眼前に群青が広がった。柄にもなく、声を出した。


 枕元のカメラに手を伸ばす。窓から顔を突き出して、右半分には青空、左半分にはひび割れた雲。

 境界は引きちぎられたように、そこからひびが広がり、雲はうっすら光を通した。雲の隙間を、ぱしゃり。切り抜く。

 正直写真は上手くない。目に焼き付けて補った。


 いつもよりゆっくり家を出た。本気で漕げば間に合う時間。でも、こんな日にまで急ぐ必要はない。空を見あげて、ゆっくりいこう。遅刻したとて、世界は俺を罰することなんてできやしないんだから。


 爽やかな、夏の入りかけ独特の青草の匂いが鼻をつく。すぅ、と大きく深呼吸。

 行き先は最寄り駅。調べてみれば、あと一本だけあると言う。ホームに降りれば、別の学校へ進んだ想い人を見かけた。同じ電車に乗るらしい。


 急くことはない。人生は長い。気分次第で、歩けばいい。なにか不幸があったとしても、きっと幸福を拾えるから。


 明日は土曜日。いつもより早起きして、たまには散歩でもしてみようか。


                       


                         了

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ