転校生?3
次の日。
今日は春休みの初日だけど僕が起きた時にはもう十時であった。
携帯電話を見てみると殺那からのメッセージがあったので僕がSNSアプリを開くと「図書館の昨日のところに十一時ぐらいに来るから待っていて」とメッセージが来ていた。
僕は自転車に乗って図書館に向かう。
僕の家から図書館までは約一時間で着くのでぎりぎり間に合うか少し遅れる程度で済むだろう。
僕は自転車を全力でこぎ、図書時間にちょうど一時間後に着いた。
図書館の前にあるベンチに目を向けると、そこには殺那が座っている。
……少し待たせちゃったかな?殺那ちゃんは怒らせたら怖いだろうな。昨日みたいに人間を三人も殺してしまうような人なんだから。
僕は僕が遅く来たことに殺那が怒っていないかどうか不安になりながら彼女に近づく。
ああ。今の僕はまるでシャワーを浴びた後みたいにびしょ濡れだよ。
自転車を全力でこいできてかいた汗と恐怖によって出てくる冷や汗。二つの理由によって汗をかいた僕は服を雑巾みたいに絞れば汗がコップ一杯分ぐらい出てくるのではないかというほど濡れている感じがする。
シャワーを浴びて濡れることは気持ちいが、それが汗となると汚くて気持ちが悪いものだ。
僕は体中から汗を滴り落としながら殺那に声をかけた。
「ごめんなさいっ!遅れました。あとでジュース三本ぐらいおごるから許してください」
僕は深々と頭を下げながら殺那に謝った。
「大丈夫だよ。それよりけんじ君?すごく濡れているけどどうしたの?今度は水たまりの上でこけちゃったのかな?」
「自転車を全力でこいできたから汗を大量にかいた……てところかな」
「わざわざありがとう。少し急がせちゃったかな?少しぐらい遅れても大丈夫だからそこまで無理しなくても大丈夫だよ?ごめんね」
逆に謝られた。
僕が思っている以上に優しいのかなこの人……。
「けんじ君に話したいことがあるの」
「何?」
「私は穂模川芸太郎の殺害を本部から命じられた」
「はぁ!?」
「私が男男高校に転校する理由は芸太郎を殺すため」
……素直に喜べない。確かに奴を殺してくれるなら嫌な奴が一人減って僕にとっては嬉しい事実だ。だけどどうしてわざわざそんなことを僕に伝えてくるんだ?
もしかしたら僕も殺されるんじゃないのか?
「私の知り合いからの情報なんだけどけんじ君、芸太郎に相当ひどい扱いされているみたいだね。しかも昨日実際に奴にひどい事されているの見てしまったし。あなたは現時点では第二下僕なのでしょう?しかも一番辛いポジションでしょう?
なぜなら第一下僕は一番弟子で優秀だから離れられては困るということで奴は第一下僕である極知君には比較的優しく接するけど第二下僕であるあなたはひどい扱いを受けている」
「ッ!」
「嫌なら逃げればいいことなのかもしれないけど逃げたら極知君の身に危険が及ぶんでしょ?そしてけんじ君自身にも」
ど……どうしてこの人はここまで知っているんだ?
そして殺那の知り合い?
殺那の知り合いっていったい誰なんだ?