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男男帝国  作者: %s
1章~穂模川芸太郎編~
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転校生?2

 僕が振り返るとそこには銃を持った高校生がいた。つまり僕は今、命の危険にさらされている。特権階級のみが入学を許されるエリート高校の薔薇百ばらゆり合高校の制服を着ている男女三人。

 そのうち僕に銃を向けている人がこう言った。

 「お前ら。恋人同士か?」

 「違うよ」

 「嘘だ。さっきまで体を密着させ会っていたじゃないか。ちゃんとカメラで撮っておいたぞ?」

 「私たちは、友達だよ?まぁ、こんなところで銃なんて人に向けているところ見られたら面倒なことになると思うから人通りのないところで詳しい話をしようよ」

「くそ、めんどくせぇけど仕方ない。お前ら、いくぞ」

 異性愛者狩りかな?異性愛者ハンターで略して『イセハン』。元々は特権階級の学生たちで流行っているストレス発散法だったけど今ではこの国ではイセハン専門の犯罪組織がたくさん存在している。異性愛者を殺したり痛めつけたり捕まえて人間生産工場に売ったりするそうだ。この国では異性愛者に人権はないからもし異性愛者を殺しても罰金で済んでしまう。

 しかも特権階級の人は大金持ちが多いから異性愛者殺害罪によって発生する罰金ぐらいなら安いようなので今でも特権階級の人たちにとって異性愛者狩りはストレス発散や遊び感覚でできる行為である。

 まぁ、やりすぎても社会的地位が落ちるけどね。殺している相手が人間であることにに変わりはないんだから。

 僕たちは人通りの全くない裏路地に移動した。

 「おい。IDを見せろ。お前たちが異性愛者じゃあないなら正式な個人IDを持っているはずだからな」

 「はい。」

 殺那はイセハン達に携帯電話に映るIDをイセハン達に見せた。

 「……お前は対物愛者か。異性愛者じゃないことはわかった。次にそこのお前のIDを見せろ」

 イセハンは僕にそう言ってきたので僕はイセハンにIDを見せたようとした瞬間……

 

  バン


  バン 


  バン


 「ッッ!」

 銃声と同時に三人のイセハンの頭部から鮮血が飛び散る。

 そしてイセハン達は地面に倒れる。

 僕の近くにいたイセハンが倒れてそこに見えたのはサイレンサーを装着した拳銃を持った殺那の姿。

 この人……人間を三人殺しちゃったよ?

 殺那は持っていた銃をバッグの中にしまった。

 しかもこの人、人を殺したのにこんなにも笑顔でいるなんて……。

 うッ……やばいよこの人。危ない人だよ。僕も殺されるのかな……。

 地面に倒れたイセハンたちから血だまりが広がっていく。

 そして三人分の血だまりが合わさり、一つの大きな血だまりと化す。

 警察呼ぼうかな?……

 でも、僕が警察を呼ぼうと携帯いじくったら絶対この人は僕を殺すよ?僕が警察に連絡しようとした瞬間この世とおさらばするはめになってしまう。

 「もしもし」

 殺那は携帯を取り出して電話を掛ける。

 まさかこの人、仲間を呼んで僕を殺すつもりか?

 ……これはまずい。それとも僕を誘拐して僕を男穴マンホールにでも連れて行くつもりか?

 この国には男団だんだんという組織がある。男穴は男団の施設であって、男男帝国のいたるところに存在する。

 男団は、男を捕獲してホモにするという組織であり、男穴は、そのホモにするための儀式を行う施設である……行きたくない。

 僕が色々考えているうちに殺那は通話を終えていた。

 殺那は携帯電話をしまった後、僕のほうにゆっくりと歩み寄り、彼女が近づくとともに僕は後ずさりをするが、壁まで到達してもう後ろに下がれない。

 殺那は僕の前にまで来て僕にこう言った。

 「ごめんね?怖い思いさせちゃったかな?」

 「当たり前だろ!僕たち異性愛者じゃないんだから僕たちは殺されなかったはず。なのにこれはやりすぎだろ!」

 「大丈夫だよ」

 平然と言いやがった。この人も芸太郎みたいに頭いかれてるのかな。

 人間殺しておきながら『大丈夫だよ』って頭いかれてるだろ。

 「君はいったい何なんだ?」

 「簡単に言えば『殺し屋』かな?」

 「ッ!」

 うわっ!何だよこの展開。

 たまたま出会った少女が殺し屋でした!なんてまた僕の周りにさらに変な奴が一人増えたよ。

 オブジェクトの芸太郎もそうさ。「何をしても許される」とかずるすぎるだろ!

 「大丈夫。そんなに驚かなくても大丈夫。私はあくまでも暗殺対象しか狙わない。それ以外の人間には絶対に危害を加えない」

 「僕は暗殺対象には入っているのか?」

 「あなたは大丈夫。暗殺対象外」

 「……君はどうして殺し屋なんてやっているんだ?」

 「詳しいことは明日話す」

 「う……うん」

 僕はその後、彼女からSNSアプリの連絡先を教えてもらった。そして彼女も僕のSNSアプリの連絡先を登録した。



 僕は暗い夜道を自転車で帰る。

 特権地区の方角には超高層ビルや宇宙エレベーターがたくさん見える。夜は天まで続くたくさんの光の柱が束になっているように見える。

 しかしよそ見してたら事故って今度こそ本当に死んでしまいそうだから僕は前を向いて、自転車をこぎ、帰宅した。

 

 

 

 

 

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