クレイジーボーイ「穂模川芸太郎」2
僕たち三人は図書館に到着して図書館の外にあるベンチに腰掛けた。
「よし!お前らスマホをだせっ!ゲームでマルチプレイだ」
芸太郎がスマホを取り出してそう言った。
そして僕たちはゲームで協力プレイをした……。
芸太郎はゲームで負けるたびに僕と極知君のせいにしてくる。
「おい。お前らのせいで敵のボスに負けたじゃないか。お仕置きだ」
いや、君が自分のキャラクターのレベルの強さを過信しすぎて一番強い敵に挑んだのが悪いんじゃないかな?
「いやいや。君が強すぎるんだろ。僕たちはこのゲーム始めたばかりだぜ?」
極知君はそう言うが、確かにそれは事実だ。だけど芸太郎は戦略がクズだ。戦い方が下手。
「極知君はまぁいいか。それよりけんじ君。お仕置きだ」
「はぁ?」
おいっ!それはないだろう?
クソ、全責任僕に押しつるけるというのか。
一番自分勝手な行動していて単独行動とって先に死んだのはお前だというのに僕と極知君を悪く言うなんて自分勝手にもほどがある。
理不尽だっ!
「背中をこちらに向けるんだ。さぁ、早く」
「う……うん」
いったいこれから何をするつもりなんだ……?
「けんじ君。背中を出せ」
「え……?」
ドカッ!
「痛っ!叩くな変人!」
「けんじ君。早く君の背中を僕に見せるんだ。服をめくれ」
「……。」
……っておぉぉぉぉぉぉいッ!
服をめくれって何だよ。
僕の背中をみて何するつもりなんだ?
僕は仕方なく服をめくった。
「けんじ君?君は弱すぎるなぁ。君はクズだよ」
パシンッ
痛っ!こいつッ!手加減なしで本気の平手打ちを僕の素肌に食らわせてきやがった!
しかも暴言とともに!
「叩くな!やめろよ!」
「やめないぞぉ?」
……このクソがっ!
「けんじ君。君の事をこれから生ごみって呼んでいいかなぁ?だって君。ほんとうに生ごみみたいじゃん」
パシンッ
お前がな!
お前こそ生ごみだ。しかも生ごみみたいな口臭と体臭だったし……。
こいつ……暴言を浴びせながら人を叩きまくるのが楽しいのか?
僕はドMのホモではないからそんなことされてもうれしくないぞ?
僕は君の性的嗜好についていけない。
まぁ、こいつは「マルチセクシャル」なんていう能力を持っているからこいつが変わった性的嗜好であっても仕方がないか。
「マルチセクシャル」は、簡単に言ってしまえば異性、同性、物体、動物といったようにどんなものに対しても性的に好きになれる能力だ。
だけどこの芸太郎は自分自身を抑制できないからそこが困ったところだ。
「君はゲームが下手すぎるんじゃァないのかなぁ?弱すぎるよ」
パシンッ
ドカッ
ドカッ
ドカッ
殴りすぎだっ!
もうこれ完全にいじめだろ!
「気持ちいいいいいいいいいっ!」
ふざけんな!僕は気持ち悪くて仕方がない。
「どうしてだろう。人間を痛めつけることはいつも僕を楽しい気持ちにさせてくれる。ああ。殴り足りない。もっと叩きたい。もっと叩きたいよ。ひゃははは」
ドカッ
「僕の手に伝わる殴った時のこの衝撃……すばらしい。僕に殴られて嫌がるけんじ君……すばらしいよ本当に最高。僕はもっと人をいじめたい」
……こいつ、いかれているよ。
こいつの頭蓋骨の中にはいったい何が入っているのだろうか。
今、ここに脳神経外科医の人がいましたらこちらに来てください。
こちらに病人がいますから。
図書館の扉近くのベンチというという通行人が結構いる場所でこんな事されたら頭おかしい奴だと思われてしまう!
「お……おい。芸太郎。こんな公共の場でSMプレイじみたことするなよ……」
「極知君、黙っていろ」
「いやいや。君こそ黙ったほうがいいと思うよ。もうこんなもんでいいだろう?」
「まだ物足りないなぁ」
「おいおい……。僕もうそろそろ帰ってもいいかな?」
「えっ!帰っちゃうのっ?いかないでっ!極知君」
「ふぅ。困ったやつだ。あ。雨が降ってきた」
「お……雨か。よし。けんじ君を外に連れて行こう。もっと濡らしてやる」
「あ……雨か。僕は徒歩で学校に来ているから帰るよ」
僕はそういったが芸太郎は僕が帰ることを許さない。
「おい。けんじ君。まだ帰るな。ちょっとこっち来い」
「何だよ。もういい加減帰らせろよ。しつこいよ」
「うん。僕はしつこいぞぉ?本当にしつこいぞぉ?わかっているならとっととこっちに来い」
ドカッ
芸太郎は僕を後ろから蹴って転ばせる!
「うわっ!」
「ふふふふ。」
「いきなり蹴ってくるなよ。水たまりに着地しちゃったじゃないか」
グシャッ
奴は僕の背中を踏みつける。
何度もたたかれた背中はおそらく真っ赤に腫れ上がっているだろう。激痛をを感じる。
その腫れ上がった背中に水がしみて痛いしそのうえ靴で踏まれている。
「うぅ……やめろ。踏むな踏むな。水たまりの上から起き上がれないじゃないか」
僕が起き上がろうとしても奴は何度も僕のことを本気で踏みつけてきて僕は水たまりの上から起き上がれない。背中の痛みのどんどんひどくなっていく。
「ついでに君のバックも水たまりに浸しちゃおうか」
バシャン
バッグが深い水たまりの上に着地する!
「あぁっ!僕の……僕の教科書がぐちゃぐちゃになっちゃうじゃないかっ!しかもぼくの大切な漫画も……」
「だから何だ?教科書ぐらいいいじゃないか。はははは。楽しい。」
「……ッ!」
「極知君。そろそろ帰ろうか」
「うん……。けんじ君。お疲れ様です……」
「そんなことはどうでもいいからさっきの続きしようぜ。また負けたらジュース一本おごれ」
「う……うん」
芸太郎たちの姿は僕の視界から消えた。
僕は奴に叩かれたり蹴られたり踏まれたり……とにかく散々な目にあった。
僕は水たまりの上で叫んだ。
「このクソがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!」