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男男帝国  作者: %s
1章~穂模川芸太郎編~
15/28

ジーニアスガールと似非天才2

 奴は固まった。

 自分の目の前にならんでいる数字に目を疑った。

 殺那の成績表にはスイスのエリート高校の名が書かれていた。

 ちなみに彼女の言うところ、この時の学年第二位の人の成績は合計点数700点のようだ。二位の人に対して圧倒的な点数の差をつけている。

 つまり殺那は、天才的な学力の持ち主であった。

 彼女は芸太郎とは違い、正真正銘のエリートである。

 しかも彼女はスイスでは、高校三年生であった。つまり「飛び級」だ。

 おそらく男男高校において彼女を超える頭脳の高校生は存在しないであろう。

 芸太郎はその成績表をみて笑みを浮かべた。

 そして次の瞬間、奴は殺那の机のほうに向かって、殺那の教科書の入ったバッグを担いで教室を出て、廊下を走っていった。

 殺那は奴がトイレに入っていくことが教室から確認できた。

 そして奴はトイレから出てきたが、奴の手に殺那のバッグはなかった。

 奴は殺那に言った。

 「君。そんなに頭いいならあんな教科書いらないよねぇ。がり勉ちゃん。君の教科書たちは汚いお水の中で君の助けを待っているぞぉ」

 「トイレの中ね」

 「うん。あれれ?君、泣き眼になっているねぇ。それぐらいで泣いちゃうのかなぁ。まったくよわよわしいお嬢様だなぁ。どうせ君なんて何の苦労もなく人生を歩んできたんだろう?いいよなぁ天才は。僕の愛する勉強ちゃんたちとあんなに仲良くできるなんて羨ましい」

 「ううぅ……」

 「あららら。僕の可愛い奴隷ちゃんが泣くのをこらえているぞ。頭をなでなでしてやろう」

 「さ……触らないでよっ!」

 「うわぁ。僕の手を振り払ったね。生意気だな。お仕置きしちゃうぞ。」

 奴は奴のリュックの中に入っていたレモン味の炭酸飲料を取り出して、床にかがみこんで殺那の頭の上からその飲み物をぶっかけた。黄色い水たまりが殺那の周りに広がり、まるで殺那が漏らしたかのような光景になっていた。びっしょり攻撃だ。奴の性的な趣味である。

 奴は男女構わずびしょ濡れになって困っている人間を見て性的に興奮するのだ。 

 奴はびしょ濡れになっている彼女に向かって言った。

「脱がせてやろうか?」

 はぁ?死んでしまえ。ゴミ。変態。


 少女がびしょ濡れになりながら床にかがみこんでいてその周りには黄色い水たまりのあるこの光景は周りの人たちにとってもかなり衝撃的な光景である。

 しかもその少女に向かって「脱がせてやろうか」はさすがに犯罪級だ。


 「いや……自分で脱ぐから遠慮しておくよ」

 しかし奴は、殺那のベストをつかんで引っ張る。

 「遠慮する必要なんてないんだぞ。トイレの中なら人目につかないぞ。ほら君の教科書をトイレの便器の中から救出するついでだよ」

 まさかこいつ本気なの……?嫌だ嫌だ嫌だ。

 「やめてよ。放してよ」

 「放さないぞぉ。早くしないと風邪ひいちゃうぞ?」

 奴は私を無理やりトイレの中に連れ込む。もちろん彼はオブジェクトなので誰もそれを止めようとはしてくれない。

 止めたところで何かひどい仕打ちを受けるだけだしね。

 奴は私を自分の方向に向かせて私のネクタイに手を伸ばし、私の首からネクタイをほどく。

 「次はそのベストを脱ごうか」

 奴は私のベストを無理やり脱がせる!

 「おぉ!うおおおおおお。ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 こ……こいつ。わ……私の胸を凝視している……。

 「服がびしょ濡れで、む……胸がうっすらと下着がうっすらと見えるぞ」

 い……嫌だ……。こいつ……息がすごく荒いよ。さっきまで走っていたかのような呼吸しているよ。私の事を見て興奮しているよ……。

 「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!殺那ちゃん!写真を撮らせてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ。

 死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!

 こいつはきもすぎる。エロリストだ。私はこいつのエロ行為の被害者よ!

 決闘が楽しみだわ。こいつを存分に痛めつけてやる。地獄を味あわせてやる。

 死ぬこと以上の苦痛を味わえ!

 「嫌だよ。やめて。早く私をここから出して……」

 「はい。チーズ」


 パシャ

  

 い……嫌だ……嘘でしょ……?

 今、カメラのシャッター音鳴ったよね。

 この糞人間。

 こいつを倒したら山森君にこいつの今まで行なってきた悪事やホモ行為やエロ行為などを動画サイトにアップしてもらって世界中にこいつの悪事を知らしめてこいつが世界中の人間から死ぬまで迫害されてしまえ。

 「興奮しちゃうなぁ。君の事をもっと触らしてくれ!」

 「ゴミみたいな手で触らないで。体が腐る。」

 そう言って私は奴の手を振り払った。

 「おぉっ。いいねぇ。随分と僕の事を馬鹿にしてくれるじゃないか。よし。僕をもっと馬鹿にしてくれ」

 「はぁ?」

 「僕を罵ってくれ」

 「え……?」

 こいつ、何言っているの?こいつはとてつもなくSな奴だと思っていたけどドM でもあるのかな?さすがはマルチセクシャル。様々な性的嗜好を持っているね。

 「僕は馬鹿にされないと本当の力が発揮できないんだ」

 いったい何を言っているんだ?仕方ないわね。

 「死ね」

 私は奴に死ねと言ったが……

 「おいっ!ふざけんな!」

 うわっ!自分から言っておいて逆切れしてきたよこいつ。こいつ、いかれてるよ。

 「『死ね』だなんてそんな普通の小学生みたいな悪口言われても全く傷つかないよ。もっと僕の心を深く傷つけるような酷いことを言ってくれ」

 そこ怒るところかよ!本当に気持ち悪い。

 「あなたは粗大生ごみ。早くゴミ捨て場に帰りな。臭い。汚い。私に近づな。何なら私が処分してあげる。ばらばらにしてあげる。あなたは人間じゃない。見た目が人間なだけで本当はゴミなんだ」

 「ほわぁぁぁぁぁぁぁッ!」

 「はぁ?」

 「最高っ!やっぱり頭のいい奴に馬鹿にされると興奮するぅぅぅぅっ!」

 きもい。何言っているんだこいつ。

 「よ~しお前なんかに負けないからなぁ!次のテストで僕の頭の良さを証明してやる!お前なんかよりいい成績撮ってやるぞ!絶対だからな。」

 何言っているんだこいつ。『本気を出せない』というのは勉強のことだったのかな?

 私、こいつとはまともな会話ができる自信がない。こいつの発言は常にいかれていると思ったほうがいいね。

 それにしても……こいつも運が良い男ね。もし、こいつがオブジェクトでなければ私はとっくにこんなやつ殺しているわ。それもとっても苦痛の伴う方法でね。たとえば四肢を胴体から切断した後に水の中に沈めちゃう……なんてね。


 「あ。髪の毛がびしょ濡れだから乾かしてやるよ」

 こいつ、私の頭に向かって臭い息を吹きかける。臭い。きもい。

 腐ったチーズと炭酸飲料と生魚を混ぜたような臭いがする。こいつの口は腐っているのかな?私はこいつに毎日三食ミントガムを主食にすることを勧めたいよ。

 「お。眼鏡がびしょ濡れだぞぉ?びっしょりびしょびしょぉ~。それじゃ僕のお顔がよく見えないよね。拭いてやるよ」

 そう言って奴は私から眼鏡を取り上げる。そして奴はハンカチをポケットから取り出して眼鏡を拭いた。そして奴は拭いた私の眼鏡を自分の眼鏡の上にかけた。

 「おぉ!よく見えるぞぉ!おぉ~ッ!よく見えるぅ~」

 きもい。本当にこいつ、嫌だ。私はこの学校にいる人尊敬しちゃうな。

 今までこんなゴミと一緒にいたなんて凄いですよ皆さん。まぁ、この学校は年間10人と異常なまでもの高い自殺率を誇っているのだけれどそれはこいつのせいだね。

 「返して……」

 「ほうら僕から奪い返してみろ!」

 いい加減返してくれませんか変態さん!

 「ほうらこっちだ、こっちだ」

 こいつ……眼鏡が好きなのね。

 「返して」

 え……こいつ、私の眼鏡に何するつもり?

 奴は私の眼鏡をなめようとする。

 「私の眼鏡がッ!」

 う……うわ……舌を私の眼鏡につけて舐めまわしている……。

 こいつは眼鏡好きとしか言いようがないね。

 「おいしいねぇ。レモンジュースの味がまだ少し残っていたみたいだね。しかも君の匂いも混ざっていてとってもおいしいよ。」

 うわっ!本当にきもい。この変態。わ……私の匂い?こいつ、匂いフェチでもあるのかな……?

 仕方ない。トイレットペーパーで眼鏡に着いた唾液を拭くことにするよ。

 それにしても……体が濡れていて寒い。

 「ふふふふふふふ。そんなに震えちゃって。寒いの?まるで僕に温めてほしいとでも訴えているようなそれか僕が君に抱きつくように誘惑しているかのような目つきだねぇ。あまりにもエロいものだから抱きしめたくなってきちゃったなぁ。体も心も温かくなるぞさぁ僕の体の温もりを存分に味わえ!」

 その瞬間、私はもう嫌になってきたからこいつにナイフを突きつけてみた。

 こいつ、びびるのかな。

 「はぁ。もう我慢できない。あなた、死にたいの?」

 私はサバイバルナイフを奴の首に突き付ける。

 「あぁ?い……今、お、お前は、な、何をやっているのかわかっているだろうな」

 「それは十分承知の上よ」

 まぁ、私は政府公認の殺し屋ですから。

 だから私はこいつを今ここで殺しても罪に問われることはないけど今ここでこいつを殺したら私は校長の権力で殺し屋をクビにされるかもしれない。

 この高校の校長はこの国の中でも強い権力を持った人間のうち一人だから。

 ん?何だかこいつ……顔が青ざめているよ?

 しかも体が震えてる?

 まさか……怖いのかな?

 「わかった。君を抱きしめない。しかし、決闘で僕が勝ったらもっとエロいことしよう」

 ……あら?

 殺すことを前提で試しに脅してみたらあっさりと屈した!

 「あれ?怖いのかな?随分と弱気になっちゃって。あなたはオブジェトでしょ?」

 「いや・・・。だって、僕は君を怒らせてしまったことを申し訳なく思っているんだ。僕は君のことが好きだからね」

 やばいよ・・・。まさかこいつ、本当に私のことを好きになったの?  

 さっきまでの行為もまさかこいつは私のことを好きであるからやったの?

 こいつの愛情表現は狂っている。完全に異常。性欲を制御できない人間。

 こいつは限度を知らないようだ。こいつ、どんなことでも思ったことをそのままする人間だ。をそれがどんなに悪い事でもね。

 決闘で必ずこいつを殺す。

 いや、それじゃつまらない。拷問してあげちゃおうかな。

 「許してよぉ~。殺那ちゃぁん。許してぇ~」

 奴はオカマ口調で私にしがみついてくる。(とっても気持ち悪い!)

 「仕方ないわね。許してあげるわ。(絶対許すか!ゴミ!)」

 私がそういうと奴はトイレの個室のカギを開けて私を解放した。



 私は決闘でほぼ確実に勝つ。なぜなら私はある能力を有しているから。 

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