初夏の出来事
今日も暑い日
熱帯夜とかにもなってるらしいね
暑くて全然眠れねぇの
それなのに昼間に学校行かないといけない
単位たりねぇからな
こんなことならちゃんと授業出ればよかったとか今更後悔なんてしてるし
夜対して寝てねぇから昼間に睡魔がやってくる
学校にクーラーがあるから多少は暑さをしのげる
けど、湿気が酷くてやってらんないし
暑い、そして
「ねみぃ」
「授業中に堂々と言うなよ義孝」
俺は稲村 義孝
高3年
進路を決めないといけない時期
ほとんどの奴が進学か就職かを決めて真剣に取り組み始める
でも、俺は決まってない落ちこぼれに部類されるボンクラ
学生最後の夏休みなのにみんな必死になって勉強してる
馬鹿みてぇ
とか、思ってるけど
やらないといけないのはわかってる
でも、俺にはなりたい人とかなりたくない人とかもいないし
目標なんてない、ただ生きてるだけ
こう半端な奴で自分に苛立つ
こう思うのもただの嫉妬みたいなもん
それすらに苛立つ
今は自習の時間
俺の隣の匂坂 竜司もなんだかんだ言って勉強してる
俺だけが何もやってない
机に頬杖をして外を眺めてる
「ワーク提出あんだろ
お前もやれば?」
「やだよめんどくせぇ」
「また、提出しないつもりかよ」
竜司が苦笑いで俺を見る
やらないといけないのは分かる
でも、今更やったって付け焼き刃にもほどがある
「義孝」
「あ?」
振り向くと
珍しく真剣な表情になってた
「もう終わりなんだな
お前の隣に居られるのも」
「……」
寂しそうに言う竜司
さっきまでワークに書き込んでいたペンを回し始めてる
「はぁ?何言ってんだお前」
「へ?」
「お前は進路が決まってて
俺は決まってねぇけどさ
友達終わるわけじゃねぇだろ」
と、言うとキョトンとした顔をしてから吹き出し笑い出す
「な、なんだよ、いきなり笑うな」
「だってお前ww
そうだよな、終わるわけじゃないよな」
「つか、俺はお前と居たいんだけど」
「俺もだよ」
うっすら苦笑う竜司
なんかさっきと雰囲気が全然違う
なんか、吹っ切れたみたい
よかったな、大事な試験の前に吹っ切れてよ
「義孝、俺お前のこと好きだわぁ」
「そりゃぁ、どうも」
3階の教室で真面目に勉強をしている奴らの中に何もしてない俺たち
外では煩いほどの蝉が鳴き散らしてて
こんな時でも心の何処かで『精が出るねぇ』とか関係ないことを考えてた
うん、今日も暑いねぇ
進路が関係すると一緒に居たいと思う友人とも一緒に居られなくなります
それは悲しいけど
本当に仲良いと友達は終わりません
友達って大事