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(自称見習い)魔法使いの放浪の先  作者: 橄欖石
第一章 魔法具商店手伝い時々ボランティアの日々
2/8

2話

「って夢だったんだけど、あの女の人誰だろう?」


「誰だろう?って、フシギ空間にポツンと立ってる女って情報だけで、何処の誰だか分かる奴がいたら、むしろそっちに会ってみたいよ。」


「はぁ。毎度の事ながら変な夢見てんなぁって思ったら、・・・・そうか、とうとう美女の登場か。やっぱ顔はアレでもアルトも男だったってことだな。

あ~、夢でも良いから田舎っぽくない洗練された美女ってものに会ってみてぇ~。」



 不思議な夢,初の登場人物である謎の女性は、自分と目があった瞬間に消えてしまった。

・・・・訂正、目があった瞬間俺の目が覚めてしまった。

一瞬の事だったので記憶は定かではないが、美人だったような気がする。ん?


「あれ?俺その人が美人だったなんて言ったっけ?」


 言った覚えがない。そもそも、一度見ただけの印象というか雰囲気で、なんとなく美人っぽいと判断したにすぎないのだから、コイツが如何にも反応しそうなキーワードを口にしなかったと断言できる。

にも拘らず、目の前の悪友・・・・クラトは、何当たり前の事を聞くんだ、と言わんばかりの呆れ顔をする。


「お前なぁ、今まで,それこそ年単位で見続けてきた夢に初めて現れた女。風光明媚な背景付きっていったら、これは美女以外アリエナーイ。むしろ違ったら詐欺詐欺。」


「風光明媚の使い方がおかしい気がするのは私だけ?」

「俺も今同じこと思った。」


「え?風光明媚じゃなかったら、何って言えばいいんだ?明鏡止水とか?」

「「全然違う!!!!」」


 何だか疲れてきた。いつもの不思議な夢に変化があった。ただそれだけを報告するつもりだったのに、話がドンドン変な方向に流れていく。

クラトの頭がおかしいのは今に始まった事ではない、どころか物心付いた頃からずっとこの調子なので慣れてはいるが、付き合っていると疲労が蓄積されていく。ああ。まだ仕事中なのに。

・・・・・仕事中なのに?!


「はぁ。ようやくアルトもミドリムシ男子卒業かと思ったのに、まだまだだな。

で、その美女ってどんなだった?やっぱ場の雰囲気に沿ったクールビューティ系?それとも知的美人系?いや、逆に幻想的な空気を妖しくさせる、ボン・キュッ・ドンな魔性の女系?」


「・・・・それ、死語だろ。というか、今俺、」


突っ込み所は満載だが、それどころではない。なのに、


「・・・・・男って。

いい、アルト。あんた唯でさえ残念な感じなんだから、絶対にこんな残念過ぎちゃってもうどうしようもないダメ男になんてなっちゃダメだからね。」


「ダメ男って、どういう意味だよ。」


ッパーーーン!


 収拾のつかなく成りつつあった場で、特徴的な音と共に、近くにあった謎の石が弾けて光を放った。思わず目を隠すが、目蓋の裏側は残光でチカチカする。

こんなことが出来るのは、この集落ではただ一人。(そもそも此処は、彼の領域(=生活拠点)だ)

只今仕事中。その事を思い出したのはあまりに遅すぎた。今はただ、これから訪れる嵐が大きくないことを祈るばかりである。


「若いうちから論議を尽くすのは大いに結構ですが、いくらお客が薄い雨の日の午前中とはいえ、営業中の店の中でお喋りに耽るのは感心できませんね。」


『アトリエール・サラ』


世界の端っこの集落の更に端っこにあるこの商店は、世界でも数少ない魔法具を扱う雑貨屋で、オーナーは(多分)凄腕の魔法使い。

更に言えば俺の職場でもある。


「いくら暇でもお友達とおしゃべりするのは店員としてどうなのかな?アルト君。

・・・・時間をもて余してるみたいだし、ちょっと手を貸してもらおうか。」


 俺の上司であり師匠でもある魔法使いを、俺は尊敬している。

ただし・・・・彼は底意地の悪いSでもある。


そういえば、クラトが言っていたミドリムシ男子って何だろう。思わず現実逃避をした俺であった。


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