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スライムな俺は魔王様!!!!  作者: スノーマン
2/2

2話 スライムと試練


「どうじゃった?」


魔王でした。

とはさすがに言えないよなぁ。


「【変身(メタモルホーゼ)】も【変形(トランスフォーム)】も一応使えたよ。」


「ほぉ、使ってみてはくれんか?

自然発生したスライムがどんな【変身(メタモルホーゼ)】をするか気になってのう。」


人間、というか俺の姿をイメージして【変身(メタモルホーゼ)】を使ってみる。

体中の細胞が振動するような感覚の後、俺の体は人間の形を取り始めた。


「これは、凄いのう。」


俺の体は、子供の頃の人間の体に変わっていた。体が子供なのはスライムとしての体の質量が足りないせいだろう。もっとスライムの体が大きくなれば元の体とそっくりになれるに違いない。


「へぇ、【変身(メタモルホーゼ)】って凄いんだな。」


更に【変形(トランスフォーム)】も使ってみる。

すると、手だけが銀のスライムとなった。これなら手を伸ばして鞭のように活用できそうだ。


コンコン


「お祖父様、レイシアです。」


女の子の声が村長の書斎の扉の向こうから聞こえた。


「入ってきなさい。」


俺は一度スライムに戻るか迷ったが、俺は人間体の方が落ち着くのでそのままでいることにした。


入ってきたのは人型のスライム。身長は今の俺と同じくらい。


「お祖父様、なぜ人間がここに?」


俺を見て驚くレイシア。そういえば、普通のスライムは【変身(メタモルホーゼ)】できてもまるでマネキンみたいな姿で、今の俺みたいにほぼ完全な人間体にはなれないんだったな。


「そやつは人間ではない。儂等と同じスライムじゃよ。」


「嘘よ、だってこんな完全な【変身(メタモルホーゼ)】ができるスライムなんて聞いたことがないもの。」


「レイシアがそういうのも無理はないが、こやつは銀の子じゃからのう。不可能とも言い切れんじゃろ。現に人の血も混ざってないのにここまで完璧な【変身】をして見せておるし。」


「信じられないわ。」


「信じなくてもいいけど、これが事実だよ。」


俺の存在が空気と化していたので、自己アピールしてみた。俺の夢なのに俺が蔑ろにされるのは我慢ならない。


「まぁ、良いわ。私の邪魔にさえならなければそれで。」


「そういえば試練は何をすればいいんだ?」


このレイシアというスライムと試練に行くのは良いがどこに行って何をすればいいのか聞いていない。


「お主等には【試練の森】に行ってもらう。そして森の奥地にいるワームの卵を手に入れ戻ってくるのじゃ。それが終わればお主等は一人前のスライムとして認められる。

では今日は休んで明日に備えるのじゃ。」


それでこの場は解散になった。


村長の書斎から出ると、レイシアに引き止められた。


「私の名前はレイシアよ。この試練、あなたは私の足を引っ張らないようにしてくれさえすればそれでいいわ。

また明日。」


マネキンに高飛車に攻められてもな。まったく萌えない。


「俺のことは……銀って呼んでくれ。」


自分の名前を言うのは何故か躊躇われたから銀と名乗る。俺の特徴もよく表しているから覚えやすいだろうし。


「覚えておくわ。

でも自分が銀の子だからっていい気にならないでちょうだい。」


それだけ言い残してレイシアは去っていった。


もう一度言うがマネキンに高飛車に言われても萌えない。



「レイシアは生まれた時から魔法が使えたからか、他のスライムを見下す傾向にあってのう。

どうにかしたいのじゃがな。」


中から今の会話が聞こえたのだろう。村長が外に出てきていた。

本当に心配なのだろう、声にそれが滲み出ていた。


「俺に期待するなよ。」


人を更生させるなんて面倒なことやってられるか。


「わかっておる。

とにかくお主にはレイシアを生きて連れ帰って欲しいのじゃよ。」


「俺、今日生まれた赤ん坊だぜ?

そんな赤ん坊にそんなこと頼むか、普通。」


人格はともかく体は生まれたてだ。


「そうじゃったな。お主が生まれたてだとすっかり忘れておった。

じゃが、お主にしか頼めんのじゃよ。


レイシアをよろしく頼む。」


村長が俺に頭を下げる。


「はぁ、できる限りはやってやるよ。」



そのあと、俺は村長に客間に案内された。


ベッドに入って今日のことを考える。


「……あれ?

これって夢じゃなかったっけ?」


途中からまるで現実のように感じていたが、あくまでこれは夢だ。

だが、何かおかしい。まるで俺が二人いるような感覚に時折陥るのだ。一つは人間としての俺、そしてもう一つはスライムとしての俺だ。


「馬鹿馬鹿しい、きっとこれで眠ったら夢が覚めるに決まっている。」


そう考えると少し寂しい気もする。これだけこと細やかな夢を体験できるなんてそうはないだろうから。

と言っても、いつまでも寝ている訳にはいかない。夢からは覚めなければならない。


そんなことを考えているうちに俺は深い眠りについた。
















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