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暗殺す

 夜、俺は食事をしていた。

 運良く、鹿の群れに出会い、三頭仕留めることが出来た。

 鈴に手土産が出来た。今度の汁は鹿汁としよう。

 何て考えながら生け捕りにした鹿を脇に放ると、一匹を丸焼きにして半分食った。

 さて、残りは後で……。

 そう思うと、俺は剣を持って立ち上がった。

 夜襲は当然、夜に行う物だ。

 

 予め割り出しておいた地域を見て回ると、人の気配を感じ取れた。

 どの場所に向かうと、とある洞窟から炎が漏れている。

 話し声、気配から判断すると……。

 十人以上。これは意外とアタリかも知れない。

 ファンテリーという賊は少数で分かれて各地に住む。

 それで一網打尽を防ぐそうだ。

 だが、さすがに頭領のいる場所は人が多いだろう。

 つまりは、ここに頭領がいる可能性が高い。

 俺は音無く剣を抜くと、表に小便に出てきた男の喉をまず掻ききった。

 そして、屍を静かに地面に置くと中にサッと忍び込んだ。

 中の物陰に身を隠すと、中で声が響いた。

「全く、あいつは小便が長いなぁ。」

 奥から男の声が聞こえた。

「全くだ。大でもしているのではないのか?」

「まさか。最近もおなごを逃がすという大なることをしているのだぞ?」

 冗談を言うような三人目の男の声。

 ……鈴のことか?

「奴の部下は信頼に置けん。こんなことなら私の部下にやらせるべきだった。」

 最初の男がふんと鼻を鳴らしていった。

「しかし、あの少女は一体、何なのだ。」

「知らぬ。上の達しだから我々が動いたまで。そうだろう?」

「その通りだが……。しかし、野郎、遅いな。」

「少し、様子を見に行くか。」

 男が動く気配。

 俺は気配を消すと同時に脇を男は歩いていった。

 咄嗟に組み付いて口を塞ぎ、喉元を掻ききる。

 そっと屍を音を立てないように置くと、その男の腰に差してあった短刀を拝借した。そして地面から石ころを拾う。

 そして、中にいる男の一人の喉元にめがけて短刀を投げた。

「うぐっ!」

 見事男の喉に命中し、彼は喉をかきむしりながら倒れた。

「何だ!?」

 男達……残り八人のようだ、一斉に立ち上がった。

 が、反応する隙は与えない。

 石ころを投げて一人の戦意を喪失させながら一太刀に男を寸断する。

 返り血を浴びながらも、返す剣で二人目の男の首を刎ねた。

 三人目にかかる時には連中にも余裕が出来ていた。

 雄叫びを上げながら槍を突き出す。が、俺は男の胸に剣を突き立てると槍をもぎ取り、四人目の男に投げた。その男の胸を槍が貫通するのを見ながら三人目の男の胸から剣を引き抜き様に投げた。

 五人目の脳天にそれが刺さる。

 その光景を唖然と見ていた六人目の男に組み付くと一瞬で首をへし折った。

 七人目の男と八人目の男は同時に剣を突き出したが、その六人目の男を盾にして防ぐとその男を引き寄せることで男達を引き寄せ、拳に一発ずつ腹にお見舞いした。

 二人の男は同時に血を吐きながら気絶した。

 俺は一旦落ち着くと、その洞窟にあった鎖で二人の男を縛ると水を掛けてその男達を起こした。

「おい、起きたか。」

「な……貴様!何者だ!」

 男の片割れは呻くが、俺は剣を突きつけることで黙らせた。

「貴様らが誘拐した少女についてだが。」

「き、貴様、どこかで顔を見たと思ったら……。」

「それ以上、余計なことを言ったら殺すぞ。」

 俺は脅した後に、洞窟の中を照らしていたたき火にこぶし大の石をいくつかいれた。

「それで、何か知っていることはないのか?ん?」

 俺は剣をちらつかせて訊ねたが、男達は黙りこくった。

 仕方がない。

 俺はたき火の中からさっき入れた石を剣で取り出した。

 石はすっかり真っ赤になって熱そうだ。

 それを一人の男の腹の上に置いた。

「ぐああああああああああああああああああああああ!」

 男は耳を劈く悲鳴を上げて悶えた。

「さて、もう一個……。」

 俺は呟きながらまた焼け石を取り出すと、男は叫んだ。

「分かった!話す!知っていることを全て!言うから生かしてくれ!」

「よろしい。」

 俺は石を再び火に戻すと、男は安堵したように息をついた。

「貴様!裏切るつもりか!」

 もう一人の男は喚いたが、俺がその男の口に木片を突っ込んで火の中に放り込むという荒っぽい手段で永遠に黙らせた。

 男は青い顔をしてその光景を見ていたが、俺の顔を見てまくし立てた。

「といっても俺が知っていることはあの少女が有力な血筋育ちということだ。あとは……そこの資料に載っている。それとそこの小箱に入っているのはその少女の持ち物だ。」

 男の示した場所には木簡がいくらか積んであった。小箱が脇にある。

「これを全てか。」

「そうだ。」

「分かった。……じゃあ、寝ていろ。」

 俺はそう言うと蹴りを男の腹に叩き込んで再び気絶させた。

 その木簡を掴むと目を通した。

 が、如何せん、俺は文字が読めない。

 帰ったら奴に読ませるか。

 次の小箱を開くと、そこには光り輝く石が入っていた。

 何か文字が刻まれているが、これもまた読めない。

「高貴な出身……なのか?」

 分かり得ない。

 俺はそれらと首印をまとめて持ち出すと、洞窟から出た。

 道端に程良い大きさの岩があったのでそれで洞窟を栓した。

 約束は守った。だが、ここから出させない。

 俺は木簡、小箱、十個の首印(洞窟の外に小便に出た奴も首は取った。)を引っ提げると馬を待たせている場所に駆けていった。

ハヤブサです。


何となく、タイトルが苦しいですね……。

まぁ、暗殺していますが。


さて、鈴は有力な血筋のようですねぇ……。

孟起が漢字が読めないのが残念ですね。


いや、それはそれでいいかも……。


感想、お待ちしています~。

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