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出稼ぎ

「あはははっ、よしよしっ!」

 鈴はさっきから嬉しそうに子犬と戯れている。

 俺は汁を作りながら銭勘定をしていた。

 と……今回ばかしは金が足りんな。少し狩りをして増やすか、もしくはあいつから仕事を紹介して貰うかな……。

「ねぇねぇ、孟起、この子、胡桃(くるみ)って名前でいいかな?」

「うん?」

 俺はそっちに顔を向けると鈴は子犬を抱きかかえてにっこりと笑っていた。

 ………ッ!

 胸が熱くなって俺は顔を背けた。

「ねぇねぇ、孟起、無視しないでよー。」

「俺が口出すすることではないだろう。」

「でも、お金を出してくれたのは孟起じゃん。」

「関係ないことだ。お前が決めろ。」

 俺は素っ気なく言いながら、汁をかき回した。

「そう……。」

 鈴は落ち込んだようにとことこと奥の部屋に入っていく。

 さすがに素っ気なくし過ぎただろうか?

 俺は罪悪感が湧き、はぁ、とため息をつくと充分煮込まれた鍋に蓋をして立ち上がった。

「おい、鈴、飯だぞ。」

 返事はない。

 もう一つため息をつくと中に入った。

「なぁ、悪かったから。早く出てきてくれよ。」

 すると、鈴は嬉しそうな顔でひょこっと出てきた。

「ありがとっ、孟起!」

 俺は三度目のため息をつくと、囲炉裏に再び腰を下ろして汁を椀に注いで彼女に突き出した。


「え?遠征?」

 鈴は汁を啜りながらきょとんと首を傾げた。

 俺は金の補充のために友人の元へ仕事をもらいに行くことを話したのだ。

「ああ、状況次第ではな。三日……いや、七日か?」

 今の季節は秋。奴の仕事次第だが、かなり掛かるのは間違いないだろう。

「え~、じゃあ、孟起に長い間会えないの?」

「……まぁ、そうなるな。」

 俺は頷くと、彼女は寂しそうな顔をした。

 ……阿呆、そんな顔するなよ。行く気が失せるじゃないか。

 俺は心の中でぼやきながら汁を啜った。

「で、お前一人じゃ何かと心配だからあいつの元に預ける。」

「あいつ……ってお友達さん?」

 鈴の質問に俺は頷き一つで答えた。

「奴は信頼に置ける存在だからな。」

「そうなんだ。そうだよね。」

 彼女は妙に納得したように頷きを繰り返す。

「ん?何故にそう思った。」

「だって、孟起、あの人にしか会っていないじゃん。お友達が少ないの?」

 からかう口調。俺はため息をついて汁を椀に注いだ。

「軍にいた時は、いたさ。だが、どいつも強欲だ。だから山に籠もった。」

「え……?」

「さぁ、早く寝ろ。明日は早くに奴の所に向かわねばならん。支度もしておけ。」

 話題を半ば断ち切るように言うと、俺は立ち上がった。

 そして、外に出ると剣を抜いて素振りをした。


 頭がもやもやして眠れそうになかった。


 翌日、俺は鈴と犬の胡桃を馬に乗せて友人の住まいまで駆けた。

「やぁ、そろそろ来ると思っていたよ。」

 友人はニヤッと笑って出迎えてくれた。

「そろそろ……って昨日、会ったばかりだろうが。」

 俺は唸りながら鈴と胡桃を友人の住まいに追いやる。

「金が足りないだろうから今日辺り都合をつけに来ると思ったのさ。」

「……ご名答だ。仕事をくれ。」

「盗賊の討伐だ。」

 友人はそう言うと、盗賊の特徴と団体の人数を簡潔に述べた。

 俺はそれを記憶すると、いくらか?と訊ねた。

 奴は笑って指を三本突き出した。

 コイン三百。上等だ。

「ファンテリーか?」

 俺は訊ねながら支度をする。剣よし、食料よし、手当道具よし。

「ああ。」

「じゃあ、鈴を頼んで良いか?」

「分かった。依頼料から引いて一日コイン十枚だ。」

「高い。六にしろ。」

「じゃあ、七だ。」

「構わん。」

 俺らは交渉を終えると、俺は颯爽と馬に乗りこんだ。

「鈴にはうまく伝えておいてくれ。」

「分かっている。彼女には手を出さないから安心しろ。」

「当たり前だろうが。手を出したら首が胴から離れているぞ。」

「怖い怖い。」

 友人は肩を竦めると、頼んだぜ、と言って背を向けた。

 俺は深呼吸をすると、馬の腹を蹴り飛ばした。


 さぁ……狩りの時間だぜ?

ハヤブサです。


やばい、珍しく連載できちゃっているよ。

まぁ、孟起さんですからね……。


某無双ゲームでも自分は孟起さん推しですからね。


いやー、久しくやっていないなー。


感想お待ちしています。

次は孟起の過去を垣間見る?

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