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みちくさ

世紀の大発見?

作者: 斎木伯彦

※尚、当該ページにおきましては、特定の個人団体や関係者を誹謗中傷する意図は全くありません。関係者等が『侮辱』『中傷』とお受け取りになるとすれば、残念です。

 世紀の大発見です。

 ついに信長の首の行方が判明しました。

 事の起こりは海外の動画チャンネルで、ゲームに登場する歴史的な出来事や事物が正しいのか専門家を呼んで検証する動画です。

 そこに登場した日本史の専門家が、「弥助は信長の首を持って逃げた」と主張しています。

 我が国の歴史専門家でも信長の首どころか、遺体すらどこへ消えたか判明せず論争の種になっているのですが、この海外の専門家先生はどの文献から信長の首の所在を知ったのでしょうか?

 是非とも我が国の歴史学会はこの専門家を招いて、ご高説を拝聴すべきでしょう。

 密室会談ではなく、この専門家の講演として全世界に向けオンライン配信、生中継で質疑応答も全て包み隠さず公開するのが良いと思います。


 私が最も真実に近いと目をつけているのは、本能寺の変が起きた時にとあるお寺の僧侶が集まって本能寺に入り、信長の遺体を運び出してその寺院の境内で荼毘に付したとする説です。

 実際のところ、弥助が逃げるとその巨体が目立ってしまい、すぐに取り押さえられると思います。

 記録に拠れば、当日の弥助は信忠の居所近くで素手で格闘しているところを、光秀の部隊が降伏を呼び掛けて捕縛したとなっています。

 その後、光秀が弥助の処遇を「何も知らない動物と同じだから」という理由で南蛮寺へ移送してポルトガルの宣教師に返還しました。

 弥助はポルトガル宣教師に黒人奴隷として我が国へ連行され、見掛けた信長が物珍しさから譲って貰った経緯があります。

 その巨体を活かして信長の護衛の一人に任じられますが、通常は荷物持ちを任されていたようですね。

 西洋にもフットマンと呼ばれる役職があり、平民出身の護衛担当が他の護衛と同じ服装で付き従っています。平民出身はフットマン、貴族階級はエクスワイアと区別されていますが仕事内容はほぼ同じです。

 弥助の場合も、近習である森蘭丸らと共に信長の護衛を任されていたと考えれば、同じような服装をして同じ敷地の屋敷に居住していても不思議ではありません。

 それを過大評価して「侍」とか「旗本」と勘違いするのは、歴史に無知な証左でしょう。

 我が国の歴史に詳しい専門家であれば、例えば輜重隊が戦国時代には民間人を徴発していたことを知っているはずです。

 現在の軍隊では輜重隊も兵隊の一員ですが、戦国時代は村へ兵糧の供出を分担させ、村から戦場まで運ばせていました。それらを手配し統括する兵糧奉行は侍身分ですが、実際に運ぶのは徴発された農民たちでした。

 こうした事情を知らないと、輜重隊の一員として戦場へ行けば、その人々は兵隊だから「侍」や「武士」と勘違いするでしょう。

 日本史の専門家であれば素人の私以上に詳しくなければなりません。

 黒人で侍身分に至った人物は誰一人として文献に残されていません。

 更に徳川幕府の政策により、海外から来た人物はほぼ全てが日本国内から追い出されています。

 ですので、西洋の一般人が信じているような「黒人が侍に大きな影響を与えた」というのは全くの与太話で、イギリス人作家のデタラメです。

 そしてどうやら今回の日本史の専門家と自称している人物も、このイギリス人作家の与太話を信じてしまったようです。

 私は西洋史なども調べることがありますが、騎士物語などの話からは当時の習俗の概略を知り、続いて学術研究などの資料に目を通すようにしています。できれば原語資料を当たるようにしていますが、大体は翻訳資料に頼っていますけれど。

 その上で注意が必要なのは、我が国の歌舞伎のように上演された当時の習俗を反映していて、出来事が起こった当時の習俗ではない事例や、後年の創作が交雑して原型が脚色されている可能性があることです。

 お隣の中国の歴史物語である三国志演義も、かなり脚色されていますので、正史と違うところが多くあります。

 また近現代で起こった事件でも解明されていない真相や、事実と異なる風説の流布があるのですから四百年も昔の事物を正しく把握できるはずがありません。

 我々の先祖が西洋人を一括りに「南蛮人」と表現したように、西洋から見ても中国、韓国、日本などは「アジア」で一括りにされています。我々自身も「外国人」と一括りで認識しているのですから、お互い様です。

 問題は、そのような雑な認識なのに物語や一部の創作を事実と盲信して、我々日本人の意見を無視する横柄な態度ですね。

 欧米人には幼稚園児に言い聞かせるぐらいに懇切丁寧に説明しなければならないのかもしれません。

 未だに南京虐殺や慰安婦問題などを信じている情報弱者がいるぐらいですから。

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